本日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名標目のお知らせ」を掲載しています。新設件名はTRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。
2月は17件の件名を新設しました。その中に「地歌舞伎」があります。「地芝居」「地狂言」「子供歌舞伎」を参照形としています。
(「日本十進分類法 新訂10版」では、774「歌舞伎」の下に、774.29「地歌舞伎」が新設されました)
「地歌舞伎」には、学生時代の思い出があります。
当時、受講していた「博物館学」の担当の先生が、歌舞伎関係を専攻する教授や大学院生と「地歌舞伎」を見に行くので興味のある人は一緒にどうですか、と声をかけてくださいました(先生は「地芝居」とおっしゃっていたかと思います)。
歌舞伎座などの歌舞伎を見始めていた私は、興味しんしんで、ありがたくお供させていただくことにしました。
1泊2日で、中部地方で2つの「地歌舞伎」を見ました。
最初の日は、岐阜県下呂市の「白雲座」という、昔の芝居小屋で、地元の方が演じる「地歌舞伎」を見ました。
次の日は、愛知県の方で(何分かなり昔のことで正確な地名がわからなくなってしまったのですが)、学校の体育館で、地元の子供たちが演じる「子供歌舞伎」でした。
どちらも地元の方々が熱心に演じいて、伝統を守っていこうという情熱を感じたものでした。
そして、歌舞伎の古典的な演目が、こうしていろいろな地方で演じられて、親しまれていくことにも感慨を覚えました。
私の地元の兵庫県にも「地歌舞伎」があることを教えていただきましたが、その後は、見る機会がないまま過ぎてしまいました。
とはいえ、あの折の経験は心に残るもので、「地歌舞伎」という件名から、当時のことを思い出しました。