データ部ログの「分類/件名のおはなし」シリーズ、前回まではNDC10版のおもな変更点を類ごとにご紹介してまいりましたが、お読みいただけたでしょうか。
そのなかでは取り上げていなかったのですが、10版の改訂箇所で私が個人的に注目しているのが「199 ユダヤ教」の細分化です。
10版でどのように改訂されたかをご紹介する前に、NDCの第2次区分表(綱目表)を見てみましょう。宗教に関する分類は、
16 宗教
17 神道
18 仏教
19 キリスト教. ユダヤ教
となっています。
(※ちなみに、「16 宗教」の下に、イスラム教[167]、ヒンズー教[168]、道教[166]があります)
ご覧のとおり、「19」にキリスト教とユダヤ教の両方が分類されます。元をたどれば同じ宗教ですので、2桁目が同じなのは頷けます。さらに、第3次区分表(要目表)まで見てみると、190~198はキリスト教で、199がユダヤ教です。そして、NDC9版までは、ユダヤ教の分類は「199」のみ。つまり、199より下位の分類項目がなかったので、ユダヤ教の資料はすべて「199」という分類記号でした。
ですが、10版で主題の細分化が行われ、下記の8つの分類項目が新設されました。
199.1 教義
199.2 ユダヤ教史.伝記
199.3 聖典
199.4 信仰録.説教集
199.5 会堂:シナゴーグ
199.6 典礼.儀式.戒律
199.7 布教.伝道
199.8 教派
日本では出版点数が多い分野ではないので、199の3桁どまりでも困らないかもしれませんが、大学で宗教を専攻していた私にとっては、ユダヤ教の分類が細分化されたのは嬉しいニュースです。これで、古代イスラエルの宗教史やユダヤ思想家に関する研究書も検索しやすくなります(ニーズは少なそうですが...)。
ユダヤ関連でもう1つ、10版で新設された分類をご紹介しますと、西南アジア・中東の歴史の分類「227」に、「227.99 パレスチナ」が追加されました。9版までは、イスラエルとパレスチナの歴史は、どちらとも「227.9」に分類するようになっており、資料が混在している状況でしたが、10版からは別々に分類できるようになります。こちらも利便性が高まりますね。