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紙の方舟

本日は、週刊新刊全点案内2020号の発行日です。
掲載件数は1111件でした。

*こんな本がありました*

最近動物園が賑わっているというニュースをよく耳にします。
動物園といえば個人的には爬虫類館のような屋内施設が好きなのですが、メインはやはり屋外展示。
ところが、雨の多い今の季節は動物たちも小屋にこもりがちで、訪れた展示スペースに動物が何もいないということもしばしば。
そんな折、こんな本を見つけました。

紙の上の動物園

シャーロット・スレイ(編著),堀口 容子(訳)
グラフィック社(2017.7)

この本は18~19世紀に描かれた生き物の絵を集めた図録です。
魚や虫を含む様々な動物画がおさめられており、異国の生物・自国の生物・家畜・奇怪な生物の四つに分類されています。

今まで近代的な動物画というと、博物図譜のように背景のない画面に生き物が静かに横たえられたものをイメージしがちだったのですが、この本で紹介されている絵は、一つの画面の中に種類もサイズも様々な生き物が同時に描かれていたり、ポーズや絵のタッチが独特だったりとバリエーション豊か。ある程度系統だってはいるものの、背景まで書き込まれたそれらにあまり学術的なにおいはせず、むしろ若冲の動植綵絵のような風合いさえ感じられます。

個人的に面白かったのは、奇怪な生物の項目で、実在・非実在を問わずまとめられた変な生き物たちの絵はカオスを極めておりそれだけでも壮観なのですが、加えて当時の人々がどんな生き物を「奇怪」ととらえていたのかもわかり、価値観の一致・相違を感じられる点でも楽しめました。

天気が悪かったり良すぎたり、何かと外に出るのが憂鬱になりがちなこの季節、紙上の動物園で空想散歩なんていかがでしょう。

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