突然ですが、分類クイズです。
Q.同じ著者による小説は、必ず同じ分類になる
<はい>
<いいえ>
答えは...<いいえ>!
「日本十進分類法 新訂10版」(NDC10版)を開いて900文学の項をみますと、注記に
「*文学作品は,原作の言語によって分類する;次いで文学形式によって区分し,さらに特定の言語の文学に限って,時代によって区分する」
とあります。
これに依って分類してみると、たとえば、ウラジーミル・ナボコフの「ロリータ」は英語の小説ですのでNDC10版933.7、「マーシェンカ」はロシア語で書かれた小説ですので983。どちらもナボコフの小説ですが、執筆言語によって違う分類になります。図書館では配架の際に「あれ、ナボコフ作品が同じところに並ばない?」と気づく方も多いかもしれませんね。
というわけで、クイズの答えは詳しくは、「1言語で執筆する著者の小説は同じ分類になりますが、複数の言語で執筆する作家の小説は必ずしも同じ分類にはなりません。」です。
ほかに複数言語で執筆する作家というと、サミュエル・ベケットが有名でしょうか。
ベケットの場合は「ゴドーを待ちながら」のようにフランス文学の下に分類されるものと、「マーフィー」のように英米文学の下に分類されるものがあるといった具合。
ちなみに、評伝については、1つの分類に集めています。どの分類に集めるかは代表作や作品数などをふまえて検討し、TRCではナボコフの評伝は英米文学の下NDC10版930.278、ベケットはフランス文学の下950.278としています。
それにしても、複数の言語で、しかも文学作品を執筆する...母語で文章を書くのにさえ四苦八苦している私には想像もできない世界です。