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ドライな事情?~新設件名のお知らせ2018年10月分~

明日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名標目のお知らせ」を掲載しています。
新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。

10月は8件の件名を新設しました。その中に「ドライアイス」があります。

もちろん、モクモクと煙を上げて跡形も残らず消えていくあの氷のことです。新設する前の件名には「二酸化炭素」を使っていました。
私がまだ小さい頃は、生菓子を買う時に保冷材としてよくもらっていた記憶があります。親に触っちゃだめだよ、と言われたのに、目の前の不思議な氷に好奇心が抑えられるはずもなく。明確な意思を以て触ってしまって、突然の痛みに思わず叫んでしまい怒られた思い出が...。

そんなドライアイス、最近は原料不足や需要の大きさのために供給が追い付かなくなっていることもある、という新聞記事を見つけました。
今年の夏は特に追いつかず、出荷制限もしていたとか。とても暑かったですからね。
ここ数年、渡される保冷材としてはあまり見かけなくなったなあと思っていたのですが、それらの影響もあるのでしょうか。
結構身近にあるものだと思っていましたが、その裏に様々な事情があるんだな...と件名から気付くきっかけになりました。

コメント (4)

拙長得:

こんにちは。いつも興味深く拝見させていただいております。
このところの新設件名のお知らせでどうにも気になってしまったので質問させていただきます。
まず、件名の新設は新しく刊行された図書が、その概念についてを主題として扱っている場合と理解しているのですが合っておりますでしょうか?(ここから間違っていると話にならないのですが…)
その上で今回の「ドライアイス」はどういった本が刊行された結果新設に至ったのでしょうか?(先月の「訪問看護ステーション」は『訪問看護事業成功の条件』、8月の「校則」は『ブラック校則』による新設かなと推測がついたのですが…何分情報源がNDLサーチなのでまだNDLサーチに掲載されていない図書によるのでしたら申し訳ありません。)
また、2月の時点では新設に至らなかった7月分の「スマートスピーカー」はなぜ新設に至ったのでしょうか?そのころ刊行されているのは『子どもと育てるスマートスピーカー』かなと思うのですが、それまでに刊行されたスマートスピーカー関連の本のほうが主題として扱っていたような気がしなくもありません。それまでは別の件名で対応していたのに、今回新設することにした決め手をお教え下さい。(同様の疑問は6月分の「バーベキュー」や、3月分の「潮干狩」でも強く感じました。かつてからあった概念についての件名の新設の場合は、記事の中に新設の理由を少しなりとも入れていただけると納得できるかと思うのですが…)
疑問ばかりで申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

分類 C.J. :

拙長得さん、コメントありがとうございます。

件名を新設する場合、まず既存の件名では表せない概念であること、そして原則としてその概念を主題に扱う図書が複数出ていることを基本に検討しています。ただし法律名や地名など固有名詞的なものについては図書が1冊目の段階から新設しています。
新設するタイミングとしては、おっしゃるとおりその概念を主題とした図書が刊行された際になることが多いのですが、複数の類書が刊行されてから遡及的に新設を検討するケース、参考資料(辞書類)で言葉が確定することを待つケースなどもあります。

今回の「ドライアイス」については、少々レアケースで、新刊書ではなく図書館からお預かりした蔵書をもとに作成しました。1959年に福聚ドライアイス商会から刊行された「ドライアイス三十年」という本です。

また「スマートスピーカー」については、初めて該当図書が刊行された当時はまだ参考資料に載っておらず、「スマートスピーカー」という呼び方のほかに「AIスピーカー」という呼び方もあり、どちらが優勢となるかを見極めてから新設しようと考えていました。その後、「イミダス2018」「現代用語の基礎知識2018」「デジタル大辞泉」などに収録されたことが確認できたタイミングで新設に至りました。ちなみに新設した際に最初にこの件名を付与した書誌は「Voice User Interface設計:本格的なAlexaスキルの作り方」(日経BP社刊)ですが、それ以前に刊行された図書の書誌に対しても「スマートスピーカー」を付与するメンテナンスを行いました。

「バーベキュー」「潮干狩」については、ご指摘のとおり昔からある概念で、もっと早くに新設すべきだったかもしれません。バーベキューには「料理」、潮干狩には「貝類」という件名を付与してきたのですが、バーベキューは「バーベキューの歴史」(原書房刊)、潮干狩は「潮干狩りの極意 2018」(つり人社)が刊行された際にあらためて検討した結果、各々件名として新設する方が良いだろうという判断に至ったものです。

また何か疑問などありましたらお寄せください。

拙長得:

返信ありがとうございます。

>新刊書ではなく図書館からお預かりした蔵書をもとに作成
なるほど、そうでしたか。失礼しました。


>既存の件名では表せない概念
とのことですが、件名以外の部分との兼ね合いは新設の際には考慮に入れないのでしょうか?
「スマートスピーカー」はご指摘の通り「AIスピーカー」や個別の商品名なども有名であり、件名にする意味はあるかと思います。
>もっと早くに新設すべき
とのご回答ですが、個人的な意見といたしましては逆で新設の必要性をあまり感じなかったがゆえに「決め手」をお聞きしたのですが…。図書はあったとのことですが、その本が今までの本と違いどうしても「二酸化炭素」ではだめで「ドライアイス」の新設の必要性がったのでしょうか?

それに「ドライアイス」ですと、ほぼ「ドライアイス」が主題の本でしたら、フリーワード「ドライアイス」+件名「二酸化炭素」(あるいは「冷凍」等関連しそうな件名、もしくは9類等の分類を弾く)、
「バーベキュー」でしたらフリーワード「バーベキュー(BBQという表記もあり得るでしょうか。ですがその場合もどこかにはバーベキューという言葉が入っているかと思いますが。)」+件名「料理」(ないしは「野外活動」等関連しそうな件名もしくは同上の分類による除外)、
「潮干狩」でしたらフリーワード「潮干狩」+件名「貝類」(もしくは「海水浴」や「野外活動」等関連しそうな件名もしくは分類による除外)で十分検索可能であると思われ、こうしたほぼ書誌に単語そのものが入るような概念の場合、件名までその単語で一致してしまうよりは、どういった側面からの本なのかを別の用語で件名でも表してあったほうが便利な事もあるかと思うのですが…
側面の表現は分類だけでよいという考え方もあるかとは思いますが、分類は基本的には一意であり、微妙な判断となる場合もあるという分類と件名の両方を付与している意義等を考えますと分類だけでよいとは考えにくいのではないでしょうか。

一意見としてご一瞥いただけますと幸いです。

分類/件名 高橋:

拙長得さん、再度のコメントありがとうございます。

本日は常が不在のため、代わってお返事させていただきます。
フリーワード検索でニアイコールの結果が得られる言葉などをどこまで新規の件名とすべきかは、常に悩むところです。目録に詳しい方であれば、分類など他の書誌的事項との組み合わせで検索可能ですが、そうした検索があまり浸透していないこともあり…(それを言ってしまえば、件名検索自体がなかなか利用されていないという問題もあるのですが)。今後もよく検討していきたいと思います。

件名についてご意見をいただくことが少ないので、拙長得さんのコメントは件名の担当者全員で共有させていただいています。貴重なコメントをありがとうございました。
ご意見を心に留めながら今後に活かしていきたいと思います。

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