« 板チョコはかっこいいのだ | メイン | ぶう太のデータ部見学記~雑誌編~ »

調査の苦難を超えて ~典拠のはなし~

典拠班にいると、有名な歴史上の人物は
あらかた典拠ファイルを作り終えたもの、と
考えてしまうのですが、
意外にこの人まだ作成されていなかったんだというケースに
あたることがときどきあります。

先月ベーリングなる人物の典拠ファイルを作成しました。
そう、ベーリング海峡や、ベーリング海の由来となった、
あの探検家のベーリング(1681~1741)です。
今回刊行された図書はベーリング自身が
直接書き記した著作ではないため、
著者ではなく、被伝者として、
個人名の典拠ファイルを作成することになりました。
まるまる一冊、主題として扱われるのは今回がはじめて。
これまであまり、知られてこなかった彼の生涯、
探検の足取りを頭の隅で想像しながら、
人物事典などの調査資料を駆使して、調べ上げていきます。
ベーリングの生まれはデンマークですが、
帝国ロシアの艦隊に所属し、
アジア大陸とアメリカ大陸が陸続きなのか、
または間に海峡が存在するのかを確かめるために、
カムチャッカ探検隊の隊長をつとめ
大規模な調査へ乗り出すことになります。
資料類では彼の母語デンマーク語の綴りと、
活動地ロシアのキリル文字による綴りが確認できました。

調べた資料類から優先順位や多寡などを考慮して
見出しとする統一形を検討した結果、
資料類で多く確認できたデンマーク語綴りの形を選択しました。
採用しなかったキリルによる綴りは
アルファベットに翻字して参照形として作成しました。

統一形 12000301384-0000
    Bering,Vitus Jonassen
参照形 12000301384-4001
    Bering,Vitus Ionassen
        ↑
    Беринг,Витус Ионассенからアルファベットへ翻字

今でこそ世界地図を見ると海峡は当然のように存在していますが、
まだ世界の形が明白ではなかった当時、
この海域は荒々しく、先行きの見えない不安を伴う調査は
非常に過酷で、命懸けのものとなりました。
偉大な足跡を名称とともに典拠作成の資料調査から辿るのは、
いつも胸が熱くなります。

コメントを投稿

(投稿されたコメントは、TRCデータ部の営業時間内にアップいたします。投稿から掲載までお待ちいただく場合がありますがご了承ください。なお、メールアドレスはTRCデータ部から直接ご連絡する場合にのみ使用いたします。第三者への公開・提供はいたしません。)

2024年7月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

アーカイブ

全てのエントリーの一覧

リンク