典拠班に異動した初日、「これ使ってね」と渡されたものがあります。
検索結果記入シート。えらいシンプルです。
人名典拠ファイルを作るには、まず、その人が「典拠ファイルに本当にいないのか」を確認せねばなりませんが、そのための検索と結果をすべて書き出しましょう、というのです。自分で作った典拠ファイルだけでなく、検索のやり方も先生がチェックしてお直しが入ります、と。
いやいやいや...こちとらMARC作ってン年ですよ!?何をいまさら、と思ったのですが、実際に人名典拠を検索してみると、知らなかったテクニックもあり、新鮮でした。入社ン年目にして初めて知った典拠検索技をご紹介します。
今回探すのは、
漢字形:出田/作郎
カナ形:デエタ,ツクロウ
さん。
(以下ご説明するのは、姓/名の形をした人名の検索方法です。ペンネーム等、姓名に分かれていないものでは、一部使えません)
★テク1:漢字形、カナ形でそれぞれ探すべし
探したい人の表記ママの「出田作郎」、カナヨミの「デエタツクロウ」、両方で探しましょう。検索の基本ですね。これはOK。
★テク2:わかち検索を使うべし
はいはい、わかちってこういうのよね。要は「デエタ」と「ツクロウ」をAND検索すれば良いのでしょう?と思ったら、「漢字形でもわかち検索してください」と言われました...??漢字形でわかちとはいったい?
→人名典拠ファイルでは、漢字形も、スラッシュやスペースで区切られた部分ごとにワカチの単位として検索可能なのでした。「出田作郎」ではなく「出田」AND「作郎」で検索することで「田作」さんを除外でき、検索結果がかなり見やすくなるのが実感できました。万一「出田/ジョン・作郎」さんの形でファイルができていても、この方法なら見逃しません。これは便利だ!
(図書館専用ポータルサイトTOOLiでも、セレクトボックス使用でワカチ検索が可能です)
★テク3:色々な読み方を想定すべし
「出田」は「データ」「イデタ」、「作郎」は「ツクロー」「サクロウ」「サクロー」の読み方でファイルに存在するかもしれません。典拠ファイルの他の人の読み方を参考に、読み方のバリエーションを挙げて、掛け合わせて検索します。この検索法を始めてから、「徹」さんは「トオル」さん「テツ」さんだけでなく「アキラ」さん「ツヨシ」さん「イタル」さん「オサム」さん...こんなにあるのか!と、驚くことが増えました。
以上、「典拠ファイルにその人がいない」ことを確認するための検索テクニックでした。
典拠作成メンバーが、細心の注意を払っているのが、名ワレの阻止です。
井上/洋介
←イノウエ/ヨースケ
←いのうえ/ようすけ
←ヰノウヱ/ヨースケ
といった表記のバラエティをもれなくつなげるために、上記技のほか、過去に本を書いているとあればその本を探し、別名があれば探し、変わった欧文表記があれば探し...ファイルを作る前段階に、惜しまず手間をかけています。