典拠といえば主に著者のファイルを作成しているチーム。
なのですが、すべての著作に必ずしも著者がいるわけではありません。
いやいや、世に本という形で出版されているのだから、絶対いるでしょう。
仰る通りではあるのですが、作品の著者が定かではない、特定できない、というケースがあります。主に古い時代の作品がこのケースにあたります。
新たな装丁で、本という形になって刊行される過程での編集者や監修者、訳者、そのほか諸々のひとの手に渡る以前。その著作の原作者は何者なのか?
夏頃、こんな本が刊行されました。
アレクサンドロス大王物語
タイトルの通り、マケドニアの王、アレクサンドロス大王について書かれた古典の大作です。
「集英社世界文学大事典」によると、アレクサンドロス大王物語は「中世フランスの古代物語の一つ。12世紀以降,何人もの作者によって書き継がれ,書き換えられて発展した」とあります。上記の図書の著者表記には「伝カリステネス 著」とありました。
紀元前4世紀に生きたアレクサンドロス3世について、紀元前200年頃カリステネスの史書に発する伝承をもとにして中世、様々に書き改められたようです。
伝、すなわち「一説によれば」「伝え聞くところによると」と名が書かれている場合もあれば堂々と「作者不詳」と書かれている場合もあります。
こういった著者が定かではないケースでは、MARCの責任表示には採用はせずに、名が書かれていても典拠ファイルを作成しないことがあります。
上記の図書もMARCの責任表示の著者に「カリステネス」を採用しませんでした。
かわりに責任表示に関する注記として記録をしています。
タイトル:アレクサンドロス大王物語
責任表示:橋本/隆夫//訳
著者注記:責任表示:伝カリステネス著
作者不明といえば竹取物語や平家物語がまず浮かびますね。
文学に限らずですが、そんな作品を何百年と時を経た現代でも目にすることができるということは、本当に素晴らしいですね。