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20年ぶりの気づき

今月の雑記、テーマは「恋愛ものの本」です。


若い頃はそればかり読んでいたから本棚には結構あるはず!と眺めて、久々に手に取ったのは5冊。
角田光代さんの「八日目の蝉」は別れる時のセリフで号泣、でも親子愛(親子じゃないが)か。小川洋子さんの「博士の愛した数式」は慈しみ深いが恋愛じゃないか。小池真理子さんの「欲望」は正真正銘だが、豪華すぎて私に書く自信がない。山田詠美さんなら「トラッシュ」。しかし本の厚み程には内容を覚えていない。よし、古都を舞台にした伊集院静さんの純愛小説「白秋」にします。

白秋」

伊集院静(著)
(講談社文庫)(1995.8)

心臓を患う(それは美しい26歳の青年)真也は鎌倉・長谷で看護婦(女の盛り40歳独身)の志津と二人、療養生活を送っている。寒さや湿気すら体に悪い真也は、外にも出ず、楽しみと言えば画集を開いたり骨董をめでる程度。実母は既に亡くなり、後妻を迎えた裕福な実家とは付き合いもない。献身的な志津は真也の心を慰めたいと、ある日家に花を活けてもらうことを思いつく。そうして(控えめだが芯の強い可憐な22歳)文枝が出入りするように。(思った通りに)真也と文枝は惹かれ合うようになる。自分が連れてきた文枝だが、二人の恋心に気づくにつれ、志津は嫉妬の炎を燃やします。志津の邪魔に対し、文枝を娘のように思う華道の先生や真也に亡き息子の姿を重ねる骨董屋が味方となり、二人は結ばれるのですが...。

初めて読んだ20年前も古風な二人だと思いましたが、今読んでみるともはや古典のような美しさ。携帯電話もメールもない時代、今よりも会うことは困難で、それがまた恋人たちの気持ちを強くします。「LINEするね!」「写メ送る!」で伝える手段は簡単便利な現代ですが、なければないで良かったこともあったよなと昔に思いを馳せたり。志津と同年代になった今、真也を恋人のように息子のように大事に思うあまり、思いつめる気持ちも少しわかるような気もします。

かつて読んだ本も、年齢を重ねることで、感情移入する登場人物が変わったり、わからなかった感情が少しわかったりするものですね。面白そうな本はないかと新しいものを探すのもいいけれど、昔読んだものを再読したい気持ちになりました。

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