MARC MANIAX 目録2022の第2回は、図書の情報源にある文字情報のうち、タイトル関連の諸々をまとめてご紹介します。
さっそく各項目を見ていきましょう。
★本タイトル
いわゆる「タイトル」です。本を同定識別するための第一のキーになるもの。
とても大切ですが、簡単には決められないことも多いのです。
基本は、図書の表示のままに採用します。表示が情報源によって割れているならば、前回ご紹介した優先順位に従って採用します。
「改訂版」「新装版」等は「版表示」という項目に入れますので、タイトルとくっついた表示でも本タイトルには含めません。
本タイトル決定に際しては、実は「全集かシリーズか」という大きな命題もあるのですが、それはまた別の機会にまとめて解説させてください。
★並列タイトル
日本語と外国語のタイトル表記が併記されている本は、探してみると案外多いもの。こちらの本のように複数の言語でタイトルが併記されている場合、本タイトルとは別の言語のタイトルは並列タイトルとして採用します。
★タイトル関連情報
「サブタイトル」等とも呼ばれる、本タイトルを限定・説明する文言や、「歌集」「××論文集」のような図書の形式を表す文言はこちらへ。複数ある場合にはそれぞれ入力していきますが、ごちゃごちゃしたデザインの本ではきりがなくなってしまうことも。TRC MARCでは、煽り文句のようなものや帯の位置にある文言はあまり採用していません。
★巻次
「Vol.1」「2007年度版」「上巻」「続」のように、ひとまとまりのタイトル(全集)の中での順序をあらわすものはこちらに入れる、と思っていただければ、とりあえずよいかと思います。
「基礎編・応用編」「筑豊篇・自立篇・放浪篇」「鬼の巻・神の巻・龍の巻」のように明確な順番とも言えないものも、巻次として扱います。
図書の表記のままに記録することが基本ですが、巻次の数字の部分だけは、図書の表示が漢数字やローマ数字だとしても、「二十二年版→22年版」のようにアラビア数字の形に変えて採用します。
★巻タイトル
「水漬く魂 第3部 白に燃える」「水漬く魂 第4部 青に燃える」の「白に燃える」「青に燃える」のように、各巻ごとに独自のタイトルがある場合には、こちらの項目へ。
★シリーズ・シリーズ番号
「岩波新書」「新潮文庫」などから「九大アジア叢書」「かがくのとも傑作集」などまで。同じ体裁で出版されている等、複数の図書が所属しているグループがある場合、そのグループ名をシリーズとして入力します。もしシリーズに番号が付いていたら、シリーズ番号の項目を別に立てます。
シリーズは、表紙や背にしか表示がなかったり、表示がとても小さいケースがあるので要注意です。
手元の本から何をどんな項目で採用するかが決まったら、さっそく入力です。
漢字・ひらがな・カタカナ・数字・記号etc. フォントの大小までは再現できませんが、漢字の新字旧字やアルファベットの大文字小文字は図書のままに転記していきます。
もしも図書に誤植があったら、正しい形に直して入力します。
最後に、漢字とかなの国ならではの話題を。ルビの扱いです。一語の中に色々な意味を込めたいためでしょうか、著者・編集者たちが知恵を絞って繰り出してくるルビは様々です。
2021年までは、本タイトルにその漢字本来の読み方でないルビが付されていたら、漢字の直後に丸がっこに入れた形で入力していました。
例:妖怪・神様に出会える異界(ところ)
例:読書狂(ビブリオマニア)の冒険は終わらない!
例:謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル)
ですが、日本目録規則2018年版の採用により、本タイトルにルビを丸がっこに入れた形での入力は行わなくなりました。上記の例は以下のとおりルビを入れない形で入力します。
例:妖怪・神様に出会える異界
例:読書狂の冒険は終わらない!
例:謎の謎その他の謎
「ルビを丸がっこに入れた形で入力する」というルールに慣れた身からすると、すこし寂しい気もしますが...。なお2021年以前に作成したMARCの記述については、基本的に修正はしません。
また、特殊な読み方をするタイトルについては、読みから検索する時に役立つ工夫が別途あります。それは第4回で取り上げる予定。第3回は「カナ読み」についてです。お楽しみに!