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ややこしくってあきらめてしまう......

本日は「週刊新刊全点案内」2293号の発行日です。
掲載件数は1080件でした。

*こんな本がありました*

「スラッジ 不合理をもたらすぬかるみ」

キャス・R・サンスティーン(著),土方 奈美(訳)
早川書房(2023.1)

みなさんは「ナッジ(nudge)」をご存知でしょうか?

人の認知や行動の傾向をうまく利用し、強制することなく望ましい行動をさせる手法として近年話題です。2017年にノーベル経済学賞を受賞したセイラーと、本書の著者であるサンスティーンにより提唱されました。

例えば......
臓器提供の同意を求める際、「同意しない場合はチェックを入れる」というオプトアウト方式にすることで不同意率を減らす。
食べ放題のお皿を少し小さくすることで、無意識のうちに取る量を少なくして食品ロスを減らす。


一方、本書のテーマである「スラッジ」はその反対。
人々が合理的な行動や社会的に望ましい選択をとるのを阻む、ぬかるみのような存在であることからこの名がついています。

みなさんも経験したことがあるのではないでしょうか?
ネット回線の「○○円キャッシュバックキャンペーン!(※ただし適用には手続きが必要です)」に惹かれて契約したのに、キャンペーン申込ページがあまりに見つけにくかったり、提出書類が煩雑だったりで手続きを後回しにして期限を過ぎてしまう、なんてことが......。


特に行政手続きにおいては、何ら悪意がなくともスラッジが生じがちです。
行政は透明性や公正性を求めるあまり申請者にたくさんの申請書や証明書を課すことも多く、その内容は複雑です。すると本来給付を受ける資格のある人が申請を諦めたり、申請の不備により給付を受けられなかったりといった弊害が生じます。
特に「本当に必要な人にだけ給付を届ける」という目的で実施された不正防止策が、手間をかけるだけの時間的・金銭的な余裕がない人や、病気や障害などで精神的・体力的に厳しい状況にある人だけを狙い撃ちする方向に働いてしまう場合もあります。

スラッジは社会にどんな形で存在するのか?
スラッジを削減するには一体どうすればいいのか?
それらを考えるきっかけになる本です。

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