TRC MARC/Tタイプは、2022年1月から新しいデータ項目のご提供を開始しました。そろそろ2年が経過しますが、改めて特に大きな改定のひとつ、「著作」についてご紹介します。
『日本目録規則NCR』の最新版(2018年版)で「著作」という概念が新たに規定されました。これは、知的・芸術的創作の結果生み出された作品そのもののことです。作品は単行本、文庫、外国語版、大活字本、電子書籍など、様々な形で世に出ます。TRC MARCはこれらのバージョンひとつひとつにMARCを作成していますが、もとはすべて同じ創作物から生まれたものです。
そこで、TRC MARCでは2022年から「著作典拠ファイル」を新たに作成することにしました。MARC内に「著作アクセス・ポイント」という項目を新設し、「著作」単位で複数のMARCを管理することで、世に出た様々なバリエーションをまとめて管理・検索することができます。
例えば...
複数の邦訳がある作品「The catcher in the rye」の場合。
まずは、著作典拠ファイル「ライ麦畑でつかまえて」がこちら。
著作優先タイトル ライ麦畑でつかまえて
←著作異形タイトル キャッチャー・イン・ザ・ライ
←著作異形タイトル 危険な年齢
この著作に紐づく図書の例がこちら。
「ライ麦畑でつかまえて」
(白水Uブックス)
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」
「The catcher in the rye」の邦訳タイトルには「ライ麦畑でつかまえて」以外にも様々なバリエーションがありますが、「著作異形タイトル」として同じ著作に紐づいています。
次に、さまざまなバージョンが刊行される古典作品「源氏物語」の場合。
こちらも、まず著作典拠ファイル「源氏物語」をご覧ください。
著作優先タイトル 源氏物語
←著作異形タイトル The tale of Genji
続いて、この著作に紐づく図書の例をご覧ください。
「げんじものがたり」
「源氏物語」
(TUTTLE CLASSICS)
抄訳版も英訳版も、同じ著作に紐づいています。
このように、著作は典拠ファイルを作成し、MARC内に項目を新設することで、同じ創作の様々なバリエーションをまとめて検索できる機能です。
2023年11月現在で著作典拠の数は、3万件以上になりました。ぜひご活用ください。