新刊目録 大谷です。
小林多喜二「蟹工船」。
文学史の教科書には必ず出てくるこの作品ですが、学生のころ、最初の数ページであまりの悲惨さ暗さにくじけ、読み通すことができませんでした(すみません)。
2、3年前、ふとひっぱり出してみたところ、単なる「かわいそうな話」に終わらない、人間の尊厳回復の物語であることを知りました。歴史に残る名作には何かしら人をひきつけるパワーがあるんですね。
現在いろいろな形で再刊されていますが、マンガになったものが2冊あります。
前者はデフォルメもストーリーの表現も大胆。ただし絵柄が最近のマンガになじんでいて、とくに若い方には手に取りやすそうです。この「まんがで読破」シリーズ、がんばっていて現在20冊ほど。ほかの作品も気になります。
私の好みはどちらかというと、後者のほうです。白樺文学館多喜二ライブラリーの力の入った企画。原作のテイストを残しつつ、方言など意味がとりにくい言い回しには注を付けるなど親切なつくり。ただ、一般の書店では見かけないし入手しにくいかも。
残念に思っていましたら、なんとこのたび講談社から文庫化されました。
読み比べてみてください。
(なんて…わざわざ両方読んでるって私だけ?オタクですね…)
ついででは失礼かもしれませんが、マンガといえばこちらも。
よろしかったらぜひ。