こんにちは、月に一度のMARCや検索の話。今回は、この仕事の中で感じる小さすぎる悦びについての小話です。
この仕事を始めてから、新聞で目につくとつい読んでしまうようになった欄があります。それは、新聞社の校閲部が書いたコラム。同じ誤字脱字と戦うお仕事ということで、何だか「読まねば」という気にさせられるのです。
そこで何年か前に読んだのですが、「本社へりから撮影」という文を慌てて直したという話がありました。
どこに赤を入れたか分かりますか?
そう、「ヘリ(カタカナ)」ではなく「へり(ひらがな)」になっていたのでした!「へり(ひらがな)」では意味も変わっちゃいますね。会社の片隅から身を乗り出して撮った感じでしょうか?
私の今の仕事は、いくつもの工程を経て出来上がってきたMARCの最終確認が中心です。
情報の入力もれはないか?MARCのフォーマットに図書の情報が適切に収まっているか?似た本のMARCとの齟齬はないか?そして誤字脱字はないか?
そんな誤字探しの中でも特に手ごわいのが、上でご紹介した話にもありました「へ」や、「べ」「ペ」です。今はMARC作成画面で文字色が変えられるようになったので、画面ですぐに確認することができるのですが、以前の古い入力システムだったときには、まずはその形の僅かな違いを見つけて「あやしい…」と感じなければいけませんでした。
今でも、ヨン様こと「ぺ・ヨンジュン」の「ぺ」がひらがなだったのを見つけたときの嬉しさを覚えてます。「へいきヘいき」というタイトルの2つ目の「へ」がカタカナだったこともありました。静かな職場の中ですから、心の中でガッツポーズ。「ヨン様の「ぺ」の誤りを見つけた」なんて、お仕事の悦びとしてはちょっとスケールが小さすぎて恥ずかしいのですが、いや結構な嬉しさなのです。(逆に、自分の目の前を誤字がスルーしたのを指摘されると凹みます)
以前読んだ校正さんの本に、とても細かな誤植を見つけて赤字を入れたら、外国人のクライアントに、君は「eagle's eye」(hawk's eyeだったかな?)を持っている!すばらしい!と褒められた…というような話がありました。日本語なら「鵜の目鷹の目」でしょうか。粗探し好きな人の形容のようであまり良いイメージはなかったのですが、褒め言葉でもあるんだ、と新鮮に感じたのを覚えています。
びしっと鋭く誤字を捕える鷹の目が欲しいと思う毎日です。