こんにちは。分類/件名の桑野です。
さて、2009年7月の「分類/件名のおはなし」で、2010年4月の興行を最後に歌舞伎座が建て替えられるという話題に触れました。早いもので、あれから3年余、いよいよ来年の4月2日に新しい歌舞伎座の杮葺落(こけらおとし)興行が開幕となることが、先日発表されました。
建設中の歌舞伎座の前を通ると、併設される高層ビルがかなり出来上がってそびえていますが、新しい歌舞伎座の正面は今までの唐破風のイメージを守ったものになるそうです。
旧歌舞伎座の最後の興行からこれまでの間には、幾人かの名優が鬼籍に入り、一方で襲名や初舞台など華やかな話題もありました。今年も、六代目中村勘九郎、四代目市川猿之助の襲名興行がありました。
襲名に際しては、その役者についての本が出版されることがあります。そこで分類のおはなしです。
2009年7月の「分類/件名のおなはし」で、日本十進分類法の7類のうち、770についてざっと紹介しました。
歌舞伎は774ですが、日本の伝統芸能でありかつ現役の演劇でもあるだけに、他の演劇のジャンルに比べて、中の項目が細かく分けられています。774.2は「歌舞伎史」の項目ですが、以下2~6まで時代順に分けられ、774.28が「役者の伝記・評論」となっています。先ほどの役者についての本はここに分類されます。
774は774.3以下も充実していて、774.3から774.9までしっかり揃っています。そうはいっても、それほど出番はないのですが。TRC MARCで774.3から774.7、774.9それぞれの分類がこれまでに付与されたのは、各々20~40件くらいでした(774.36など5桁以降のものを含む)。項目名が「歌舞伎の慣習と年中行事」となっている774.8は、たった1件でした。
これに対して774.28を付与したものは、現在429件。やはり、歌舞伎は役者が一番なのでしょう。
今年の襲名では、六代目中村勘九郎については「中村勘九郎の新世界」、四代目市川猿之助については「亀治郎の肖像」「僕は、亀治郎でした。」(10月12日のデータ部ログもぜひご覧ください)が刊行されています。
この秋、東京では歌舞伎にちなんだ展示として、千代田区立日比谷図書文化館では、特別展示「市川團十郎 荒事の世界」、また、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館では、「八代目團十郎」展が開催されています。
10月の新橋演舞場では、当代十二代目市川團十郎が昼夜でそれぞれ武蔵坊弁慶と富樫左衛門を演じる「勧進帳」が上演されています(昼夜とも「勧進帳」が演目にあるということです)。何だか團十郎尽くしですね。
さらに、国立劇場に併設されている伝統芸能情報館では、企画展示として、市川團十郎家にも所縁の深い「曽我物歌舞伎」を開催中です。
芸術の秋、もし機会がありましたら、歌舞伎の和の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。