今月も分類/件名のおはなしを。
前回は、官庁の分類というかための話題でしたので、このたびはやわらかく7類の話題をお届けします。
NDCの7類は「芸術」ですが、その中でも770について。770は「演劇」です。この分類の注記には「ここには,舞台芸術を収める」とあります(といっても778には「映画」がありますし、オペラ、バレエは760の音楽のもとになっていますが)。
771「劇場.演出.演技」772「演劇史.各国の演劇」に続いて、773/777は「各種の演劇」で、演劇のジャンルごとの分類です。773「能楽.狂言」774「歌舞伎」775「各種の演劇」777「人形劇」となっています。773、774はさらに歴史や役者、演技、道具などに細分されています。その他の「各種の演劇」ジャンルは775にまとめられ、昨今上演の盛んな「ミュージカル」は775.4。日本の古典演劇重視の感があります。そのあとは778「映画」779「大衆演芸」。
774の「歌舞伎」を初めて生で見たのは学生時代ですが、当時一生の楽しみを見つけたように感じたものでした。その頃作品ガイドとして愛読していたのが渡辺保さんの「歌舞伎手帖」(現在も版元を変えて現役)でした。
その渡辺さんの最新刊は「歌舞伎の見方」です。入門書の体裁ですが、歌舞伎を見慣れた方にもエッセー風の読み物として楽しめるものです。ご自身の感じ方に正直で率直な言葉の中に、歌舞伎に対する愛が感じられます。
歌舞伎といえば、目下一番の話題は歌舞伎座の建て替えでしょうか。今の歌舞伎座は来年4月の興行を最後に建て替えとなり、“さよなら公演”で連日賑わっているようです。歌舞伎座の前にはカウントダウンの電光掲示板が設置され、興行を観ないまでもせめて記念写真を、という人々もいます。私にとっても学生の頃より少なからぬ年月通い続けた劇場ですので、名残惜しいものがあります。ちょうど歌舞伎座そのものが主役の「ザ歌舞伎座」という写真集が完全保存版として刊行されています。
歌舞伎に興味を持たれた方は、ぜひ図書館の774の棚を覗いてみてはいかがでしょうか。
コメント (2)
歌舞伎座に行った時、「かぶき手帖」を買いました。
家のつながりがわかるとさらに楽しめますよね。
今年は歌舞伎座さよなら公演のためか、いろいろおもしろい演目がかかっていますが、労働階級の人間にはあんまり優しくない開演時間に泣かされています。
歌舞伎といえば、そのものの本ではありませんが、演劇評論家の戸板康二が書いた、『中村雅楽探偵全集』にはまって、全巻大人買いしました。
フィクションですが、なんだか歌舞伎の世界の裏側がわかったような気にさせられるおもしろい本です。
投稿者: 竈猫 | 2009年7月22日 16:37
日時: 2009年7月22日 16:37
竈猫さん、コメントありがとうございます。
たしかに歌舞伎座の開演時間は、3部制の8月以外は、昔からずっと11時と4時半ですね。学生時代は、空いた時にふらっと観に行ったりしたものでした。
「幕見席」もありますが、人気演目だと、すごい行列のことも。
中村雅楽ですが、たしかかなり昔にテレビドラマ化されたことがあります。その時の雅楽は、先代の中村勘三郎だったと思います。
コメントを読ませていただきながら、懐かしい気持ちになりました。
投稿者: 分類/件名 桑野 | 2009年7月22日 18:41
日時: 2009年7月22日 18:41