先週に続いて「あたたかくすごす工夫」の第二弾です。
ようやっと気温が上がってきましたが、週末からまた寒くなる模様。
今日はいちばん身近な防寒ウエア、セーターに注目してみます。
それも手編み...。
私が子供の頃(昭和です)は、手編みのセーターは身近なものでした。私も母や伯母にセーターを編んでもらったものです。
しかし、それから数十年。
なんでも安く買える現代日本で、手編みのセーターを作る人っているのでしょうか?
図書館にゆかりの方々ならおわかりでしょうけれど、意外に多いのですよね、手編み派の方たち。
「編物」と件名のつく本は、毎年200冊ほど刊行されており、そのほとんどが一般向けの実用書です。
買ったほうが安い速いとわかっていても手編みする。その魅力って何でしょう?
実は私も毎年、マフラーを編んでいた時期がありました。
色がグラデーションになっていたり、太さが一定していなくてデコボコだったり、異素材が混ざっていたりという、ただ真っ直ぐ編んでもカッコよくなる毛糸を選んで、ひたすら無心に編み棒を動かしたものです。
1本の糸がマフラーというカタチ、使えるモノになってゆくのが面白い。
無心になれること、自分で着るものが作れたという達成感。
世界に1個のオリジナル。
そう、手編みにはこんな魅力があったのです。
一度だけセーターにチャレンジして作り上げたのですが、着用して出かけられる出来栄えではなく...。そこで、ほどいてやり直しすれば、編物達人の道へ進めてたかもしれません。
その一度だけのチャレンジのときに役に立った本を紹介します。
ふつうのセーターの編み方本を見てもわからなかったことが、この本でわかりました。
「男の編み物(ニツト)、橋本治の手トリ足トリ」
なんと、あの「桃尻娘」「窯変源氏物語」「双調平家物語」「ひらがな日本美術史」などの著者、橋本治さんの本!
マルチタレントの橋本さんは、編み物名人でもあったのです。
この本では、最初の目の作り方から、基本の編み方、一枚のセーターを編み上げる過程、自分にあった型紙の取り方、編み込み模様のデザインの方法まで、丁寧に書かれていました。
そう、型紙、デザインも自分でできるようにという本なのです。
何せ、30cmと大きい本なので図解もバッチリ(その図も橋本さんが描かれていたはず)。
橋本さん作のセーターは、ジュリー(当時のアイドル沢田研二さん)や、歌川国芳の浮世絵をデザインしたもの。とってもカッコよく、印象深く、今でも覚えています。
河出書房新社から1983 年初版、1989年新装版が刊行されました。
今、入手するのは難しいと思いますが、もし図書館に蔵書されてあれば一見の価値ありです。
手編みで冬を温かく楽しく...、またチャレンジしてみようかなあ...。