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日本人が書いたアーサー王 ~分類・件名のはなし・70~

ここ最近、立て続けにある本の分類についてお問い合わせをいただいたので、今日はそれについてご紹介したいと思います。
 

 Q.『週刊新刊全点案内』1984号に掲載されていた、斉藤洋作の「アーサー王の世界」の分類が、K933となっているのはなぜですか?


なるほど、なるほど。疑問に思われるのもよくわかります。
この本は、児童文学者の斉藤洋さんが、アーサー王伝説として知られる物語を子ども向けに描いたファンタジーです。分類記号、K933の最初の「K」は、児童書を表す別置記号なのでこれはよいとして、問題となるのはそのあとの「933」ですね? 
日本人の斉藤洋さんが日本語で書いたのだから、日本の近代小説、物語を表す913.6になるのではないかしら? 現に、『週刊新刊全点案内』の次の号、1985号に掲載されている斉藤洋作の「サバンナのいちにち」はK913.6になっているし...。という疑問だと思います。ごもっとも。

さて、種明かしです。これは、TRC MARCにおける分類のルールとして、「子ども向きに翻案改作された民話・伝説・神話は、原話の国の文学として各言語の文学の下に収める」というものがあるためです。「子ども向き」というところがポイントです。

もう一点。アーサー王の原話ってなに? トマス・マロリーが書いた「アーサー王物語」のこと?? それなら、933.4と中世の英米文学の分類になるんじゃないの?? と思われた方はいませんか?
もちろん、トマス・マロリーの「アーサー王物語」を使って翻案改作した、ということがはっきりとわかれば、K933.4となるところですが、アーサー王伝説というものは、トマス・マロリーの「アーサー王物語」が完成する前、古くから語り継がれてきたものであると言われています。そういった成立年代のはっきりしない伝説が原話、ということになりますので、今回の斉藤洋作「アーサー王の世界」はK933という時代区分をしない分類になった、というわけです。


ご納得いただけましたか? いろいろと深い分類の世界、また疑問に思われることがありましたら、お気軽にデータ部までお問い合わせください。

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コメント (4)

とある元職:

こんにちは。
この本についてなのですが、なかなか難しい問題を孕んでいるような気がします。

アーサー王伝説そのものと考えると最初期はおそらく『マビノギオン』に代表されるように893.3の「ブルトン語.ウェールズ語.コーンウォール語」のはずですし、その後は892「ラテン語」や850「フランス語」、879「その他のロマンス諸語」などで書かれた『騎士道文学〈ブルターニュもの〉」を経て、トマス・マロリーの「アーサー王物語」に結実したと言えるはずです。
アーサー王伝説そのものはブリテン島=イギリスなので民話・伝説・神話としては164.33や388.33で良いと思いますが、文学に入れるとなると933.4にしておいた方がよい気もします。933.4以前を考えると902になってしまうのではないでしょうか?(複数言語の為902.△△、古代中世にわたるため-03や-04に出来ず、古い時代は散文が多いので-3にもしにくい)

長々と私見を述べてしまいました。TRCデータ部としての見解をいただければ幸甚です。それでは、失礼いたします。

分類/件名 横山:

貴重なご意見、どうもありがとうございます。

「933.4以前を考えると902になってしまう」というご指摘は、ほんとにその通りだと思います。しかし、今回のこの本は児童向けの読み物ということで、配架をした際にイギリスの物語と同じ場所にあった方がよいのではないか、と考えた次第です。

ただ、「文学に入れるとなると933.4にしておいたほうがよい」という点につきましては、今後の検討課題とさせてください。

ご教示ありがとうございました。

とある元職:

丁寧なお返事ありがとうございます。

902にしなかった理由として

> この本は児童向けの読み物ということで、配架をした際にイギリスの物語と同じ場所にあった方がよいのではないか、と考えた

との事、納得です。児童書「アーサー王の世界」の分類が902とか902.3とかだと分かりずらいですものね。
それに物語の児童書は9△3に集まっていますし。

その上で(本文中で仰っているように)原タイトルが不明だから933.4にはしにくいと考えられたのですね。
付与の際の考え方が分かる事で、933になっている理由まで理解できました。わかりやすいご回答ありがとうございました。

分類/件名 横山:

いろいろとご教示いただき、ありがとうございました。また何かありましたら、ご指摘等いただければ幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。

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