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和古書のシリーズ

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

以前、「シリーズやセットといった書誌階層構造を有する本は、割合としては圧倒的に少ないが、無論ないわけではない」と書いたことがありました。今回は、この和漢古書におけるシリーズについて、改めて見ておきたいと思います。

和漢古書では、シリーズ名(叢書名)は目次・序文・版心・見返し・題簽などに記載されていることが多いですが、本文巻頭第一行の下方に記されている場合もよくあります。複数冊が揃っていたり、シリーズとして刊行されたものの一部であることが明きらかであれば、階層構造のある書誌として作成すればよいですが、そもそもほんとうにシリーズとして刊行された実態があるのかよくわからないものもあります。
そうしたものや抽刻本、あるいは一冊しか残っていないような本(零本(れいほん))については、階層構造をとらずに、注記として記録しておいたほうがよい場合があります。このとき、現物や冊子目録に「~之一」などとあっても、この「之一」は「~の中の一部である」ということを意味しており、シリーズ番号(叢書番号)の「1」だとは見なさないほうがよいことが大半です。記述のしかたとしては、そのまま「『○○』之一」と注記することになります。

和古書で代表的なシリーズものと言えば、盲目の大学者・塙保己一(はなわ・ほきいち)が編纂した『群書類従』があげられます。全国の古書を蒐集し校訂を加えて刊行した530巻666冊におよぶ一大叢書ですが、目録記述としては「群書類従」をシリーズまたはセットの書名とするよりも、「群書類従」を書名として収録作品を内容著作や巻の書名として記録したほうが記述しやすいかもしれません。もっとも零本すなわち離れ本として出てくる場合も多く、そうしたものはやはり注記のほうに「『群書類従』巻第112(装束部1)」などと記録することになるかと思います。なお、続編として『續群書類従』『續々群書類従』などが編纂されています(刊行は明治以降)。
このほか、よくお目にかかる和古書の叢書としては、上州安中藩主の板倉勝明(いたくら・かつあき)が編纂刊行した『甘雨亭叢書』や紀州新宮城主の水野忠央(みずの・ただなか)による『丹鶴叢書』などがあります。あるいは、木活字で印行された『拙修齋叢書』に属する本なども、わりかた目にするところです。

今回はここまでとし、次回、漢籍の叢書について見ていきたいと思います。

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