こんにちは。典拠班の望月です。
本日の記事では、人名典拠ファイルの役割についてかんたんに復習したいと思います。
役割その1 同じ人をひとつにまとめる
たとえば、宮沢賢治の童話を元にした絵本が刊行されたとします。絵本なので、著者の表示が「みやざわけんじ」とひらがなで書かれていました。
こういうとき、どうするでしょうか。
答えはこちら
統一形 宮沢/賢治 ミヤザワ,ケンジ
記述形 みやざわ/けんじ ミヤザワ,ケンジ
同じ人が違う書かれ方をしているときは、図書に書かれた形を「記述形」として統一形のもとにおさめます。
これにより、図書にどのような形で書かれていてもひとつのファイルにまとめられ、まとめて検索することが可能になります。
役割その2 異なる人の区別をつける
こちらは、いわゆる同姓同名の別人についてです。
TOOLiのMARC検索で、典拠ファイルを使わずに「著者名:鈴木大地」で検索すると、元・水泳選手で金メダリスト、現・スポーツ庁長官の鈴木大地さん、プロ野球選手の鈴木大地さん、ほか同姓同名の鈴木大地さんの著書がまぜこぜにでてきます。
ですが典拠ファイルを使いますと
鈴木/大地 スズキ,ダイチ ←水泳の人
鈴木/大地 付記生没年:1989~ スズキ,ダイチ ←野球の人
...
というように、それぞれ個別番号(典拠ID)、漢字形、カタカナ形、二人目以降は付記事項をセットで管理したファイルが検索できます。このファイルごとに著書がリンクされているので、水泳の人なら水泳の人の著書だけ、野球の人なら野球の人だけの著書を探すことができます。
こういったしくみの典拠ファイルを維持するには、同じ人、異なる人を識別するための情報、たとえば生没年、所属先、専門分野などがとても大切なのがお分かりいただけると思います。
(過去にこんな記事も!)
最初に典拠ファイルを作るときに、図書に何も情報がない、なんてこともままあります。その場合識別に使える情報は空白状態でファイルを作るのですが、その後に出された本には著者紹介があり、そこに情報が載っていることもあります。するとわかった情報をファイルに追加するメンテナンスをおこないます。
この作業を典拠班では「情報追加」とよんでいます。不明だった生年や所属先がわかることで、別人として二つのファイルに分かれていた人物が、実は同一人だったと判明したりもします。
「情報追加」は、典拠ファイルをきちんと管理するためにも欠かせない作業なのです。