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2020年9月18日 アーカイブ

2020年9月18日

男と女~分類・件名のおはなし・104~

3歳の息子の一人称が先日「オレ」になりました。
ウルトラマンが好きで、「キングジョーシュトレージカシタム!」とか「ジャグラスジャグラス!」など、知らない人には呪文としか思えないような言葉を叫びつつ走り回る姿はこれぞオトコノコという感じです...うん。オトコノコ。

子どもが、ある一時期にとても強く「男らしさ」「女らしさ」を表出してくるように思います。息子もその時期に入ったのでしょうか。教えたわけでもないのに、と親としては思いますが、案外わたしをはじめ周囲の大人の微妙な反応の違いを察知した結果なのかも。実際に子どもを見ていてもよくわかりません。このあたりを扱った本はあるでしょうか。


NDCに「143.1 両性の心理」という項目がありました。「143 発達心理学」の下の項目で、注記に「*性差の発達心理学は,ここに収める」となっています。
分類で検索したところこんな本が見つかりました。

ジェンダーの発達心理学

伊藤裕子(編著)
ミネルヴァ書房(2000.11)

認知や行動に性差はあるのか
ポーラ・J.カプラン ジェレミー・B.カプラン(著) 森永康子(訳)
北大路書房(2010.11)

とはいえ、「話を聞かない男、地図が読めない女」をはじめ、ここに収められている本は、男女の性差に由来する(と考えられる)コミュニケーション不全を前提として、それを何とかしよう(もしくは仕方がないとあきらめよう)というものが多い印象です。


さらにNDCを見てみると、143.1の下に「[.2] 幼児心理 →376.11」という記載がありました。幼児心理については「376.11」を見よという指示です。幼児のことを知りたいので、こちらもよさそう。
そこで、分類「376.11」に件名「性差」を掛け合わせてみると、次のような本がありました。

幼児の性自認

大滝世津子(著)
みらい(2016.8)

子どものジェンダー構築
藤田由美子(著)
ハーベスト社(2015.9)

なるほど...。疑問の解決に役立ちそうです。

子を産む機械とディストピア

9月の雑記テーマは「ダークな本」。
怖いもの、悪いもので魅力的な本をご紹介していきます。
ホラー系が苦手で、怖い本にはついぞ手をだしておらず......
んん、ダーク、ノワール、暗い本......
と悩んだ末に行きついたのがディストピア文学でした。


侍女の物語


マーガレット・アトウッド(著)
早川書房(2001.10)


こちらはディストピア文学の金字塔ともいえる本であり
多くのリスペクトやオマージュが寄せられている作品です。

読み書きや仕事、衣服に至るまで、女性の自由と尊厳が厳しく管理された基督教超原理主義の「ギレアデ共和国」が舞台のこの物語。

主人公オブフレッド(フレッドの所有物の意)は、支配階級の「子を産む機械」である侍女という役割を担っていました。
「子どもを産めるか」「産めないか」によって女性は選別され、
健康な子を埋めれば安泰な未来が、子を成すことができなければ「不完全女」として収容所送りの未来。

物語は、主人公がオブフレッドとして生きる現在と、ひとりの人間として生きた過去を行き来しながら進行していき、
それが余計にギレアデの異質さを際立たせています。

もちろんすべて架空の物語ですが、現代社会へのアイロニーとも感じてしまう......
心のどこかがちくっとするような、不思議な読後感を得られます。
考察の余地が多分にあるこちらの作品、未読の方は是非この機会に是非!


侍女の物語 グラフィックノベル版


マーガレット・アトウッド(著)
早川書房(2020.9)

先日グラフィックノベル版も刊行されました。
美しいイラストが不思議な構図で綴られた、鮮烈な赤と黒が映える1冊です。
こちらもあわせて。

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