こんにちは。典拠・望月です。
10月の雑記テーマは、芸術の秋にちなんで「思い出の1枚~美術編~」です。
私も計画を立てずにふらりと美術館や博物館に出掛ける派なのですが、去年訪れた美術館の展示で印象的なことがありました。それは「1930年代の東京」をテーマとした展覧会でのこと。
昭和初期の東京の大発展を取り上げる導入として、大正末期の出来事、関東大震災による甚大な被害を描いた作品群が展示してあったのですが、その中に直後の東京の街中のスケッチがありました。
ざらっとした画用紙に、鉛筆(?)でささっと描いたような絵。壊れた建物と街中を行きかう人々がラフに描かれていて。リアルという訳では全然ないのに、絵に切り取られた一瞬がなんだか生々しく感じられたのが不思議でした。描き手である画家が、その場で見て感じたものが絵になり、その絵を見た私にまで伝わってきたといえばいいか。このころの絵は、メディアでもあったのだなあと、改めて思いました。絵の力ってすごい。
ところで、これはほんっとうに偶然なのですが。
スケッチを描いた画家の人、私はてっきり無名の人かと思い込んでいましたが、調べてみたらよく知られた人でした。柳瀬正夢さん。画家かつ漫画家で、政治漫画や風刺画などの分野で活躍したそうです。
さらに調べてみると、東京都現代美術館美術図書館に「柳瀬文庫」というコレクションが存在しており、関連資料がデジタルアーカイブで公開されていると判明。これはすごいっとクリックして開いてみたらなんと、デジタルアーカイブシステムADEACが手掛けていたものでした。
「柳瀬正夢 関連資料」
私が見たスケッチブックも(たぶん)こちらで公開されています。
ぜひご覧になって、時を超えて伝わる景色を楽しんでみてください!
※スケッチブックの26、27、28が関東大震災後の東京を描いたときのもの。