分類表というものは普段、最初から最後まで読み通すような性質のものではありませんが、たまにぱらぱらと順にめくっていると「こんな項目がたっていたのか」という発見もあり面白く、頭の片隅にとどめておくと(たまに)分類付与や書誌検索に役立つことがあります。
そんなわけで、今回はおなじみの分類のすぐ横でひっそりと存在している分類記号を探しにいきたいと思います。
もし「日本十進分類法」(NDC)が近くにあるようでしたら、ぜひ一緒にご覧ください。
「290 地理.地誌.紀行」の下、といえば、旅行ガイドブック、紀行文などでおなじみの分類です。2021年10月現在のTRCMARCで29△の分類を付与している件数は15万超。昨年一年に作成したMARCだけでも3000件を超えています。
さて、NDC10版で290の下をみていくと、「291 日本」...「296 南アメリカ」、「297 オセアニア.両極地方」といきまして、298は欠番、その後に
「299 海洋」
があります。TRCMARC で299以下に分類しているのは現在175件。航海誌などがおさめられています。個人的には年に一回くらい「知っていてよかった」となる項目です。
もうこのあたりでだいぶ"通"な感じの分類になってきましたがさらに先にいってみましょう。
「299.1 太平洋」...「299.62 チレニア海」(恥ずかしながらどこか分からないので後で調べます)...「299.8 南極海」ときて
「299.9 地球以外の世界」!!
29△の最後にひっそりとありますが、知る人ぞ知るNDC屈指のびっくり項目といえましょう。
1969年の人類初の月面着陸などを反映してでしょうか、1978年刊行のNDC8版からすでにある項目です。ですが、残念ながら、というか当然ながら、実績は0件。
NDC10版が刊行された時にも「今回もちゃんとある!」と少し嬉しくなりつつも、正直「付与することはなさそう」と思っていました。
しかしながら、先日ニュースを見て「ついに、あの分類を知っていて役に立つ日がくるのでは?」という期待が。
先月、2021年9月に初の民間人だけの宇宙旅行が成功したとのこと。高度585キロの軌道の地球周回旅行だそうですので「地球以外の世界」とは言わないのかもしれませんし、民間の宇宙旅行体験記でも当面は538.9の宇宙開発の下に分類するのがよさそうですが、今後、民間の宇宙旅行の目的地が広がり、体験者も増えていけばあるいは...?