「正座するやつ」
3月の雑記テーマは「伝統芸能」です。
わたしは伝統芸能の中でも、話芸と呼ばれる落語、講談、浪曲が好きでよく出かけます。
ある日のこと、浪曲を聴こうと浅草の木馬亭へ。その道すがら、こんな会話が聞こえてきました。しゃべっていたのはレースをあしらった和洋折衷のレンタル着物で、浅草観光をたのしんでいる20代とおぼしき女性2人組。
A「あれ見たいんだよね、なんか正座するやつ」
B「え!落語!?」
A「それー!」
B「私も見たい!」
A・B「キャー!!!」
(((え!落語!?)))
あまりの急展開に、心の中でわたしも叫んでしまいました。正座だけのヒントで落語にたどり着くなんて、奇跡の会話では!?
おそらく、下町浅草、着物、近くには浅草演芸ホール、そんなシチュエーションから「落語が見たい」にたどり着いたのですよね。...ね?
その後、彼女たちは落語を見に行けたでしょうか。ぜひ行ってほしい。とはいえ、その世界を知っている人が思うよりも、初めての方には伝統芸能(落語ですら)は敷居が高いようです。
最初の出会いはなんだったかな?と自身の記憶を手繰れば、高校時代の伝統芸能鑑賞会でした。四代目桂三木助の落語「子ほめ」に涙を流して大笑い。そんなたのしい記憶が伝統芸能の入口だったこと、いま思うと幸運でした。
「伝統芸能」と呼ばれるものは、大抵が「正座するやつ」かもしれません。(比較的新しい芸能である浪曲は基本立ち高座ですが)
100年後、200年後には正座しない伝統芸能が生まれているのでしょうか?
正座してお仕事される皆様におかれましては、膝を傷めませんよう切に祈るばかりです。