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細目について ~件名その4

件名は、「資料の主題または形式を表現する」ものだと、最初の回で紹介しました。これまで主題のことばかり書いてきましたが、形式もまた、件名によって表現されます。その際、細目が重要になります。
件名について知識のある方は、「かぶとむし-写真集」「日本美術-便覧」「物理学-辞典」「サッカー -伝記」といったものを見たことがあるかも知れません。この、ハイフンの後ろの部分が細目です。これらのほかBSHには、「書誌」「年鑑」「年表」「図集」「法令」「雑誌」「名簿」といったものが挙げられ、一般細目(原則としていずれの件名のもとにも使用可)としています。これで、少し変わった形式の本をはっきり識別することができます。
細目にはほかに、A.分野ごとの共通細目、B.言語細目、C.地名のもとの主題細目、D.地名細目、E.時代細目があり、「主標目の範囲を限定し特殊化するために用いる」とBSHにはあります。使用目的が、形式を表現するためだけではないのです。
以下、A.~E.についてそれぞれ具体例を挙げて簡単に紹介します。
A: たとえば〈芸術〉だと「図集」が「グラフィック・アート-図集」「木彫-図集」「宝石細工-図集」のように、〈宗教〉だと「教義」が「仏教-教義」「キリスト教-教義」のように、〈文学〉だと「作法」が「小説-作法」「戯曲-作法」のように、それぞれ使われます。
B: 「発音」「語源」「語彙」「文法」「解釈」「読本」「会話」「方言」など。それぞれ「英語-会話」「ロシア語-発音」「中国語-方言」のように、言語の件名につけて使われます。
C: 「教育」「経済」「地理」「農業」「紀行・案内記」「政治・行政」「対外関係」など。「京都市-紀行・案内記」「インド-経済」のように使われます。
D: 「アフリカ」「ノルウェー」「鹿児島県」のような地名細目が、「動物-アフリカ」「水産業-ノルウェー」「遺跡・遺物-鹿児島県」のように使われます。
E: 国・地域によって形が異なります。例えば日本なら「平安時代」「鎌倉時代」「江戸時代」など、中国なら「春秋戦国時代」「唐時代」「清時代」などです。「日本-歴史-江戸時代」「中国-歴史-清時代」のように使われます。
このように細目を使用することで、件名で表現される内容が、語から句ていどのものになります。文章的なものにまではいたりませんが、ずいぶん幅を広げることができます。

さて4週にわたって、件名について書いてきました。
今回の特集記事を契機に、ぜひご自分の手で件名検索の効能をたしかめていただけたら、と思います。「米国ではよく利用されているようで、小説や映画にもそういうシーンが出てくるよ」こんな話を筆者は先輩から聞きました。こちらの方もいろいろ探してみたら面白いかも知れません。

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