こんにちは、データぶー子です。
前回はMARC全般についてのおはなしでした。
でも本のデータなんてみんなおんなじじゃないの?いえいえ、データ部のお仕事を見ているデータぶー子があらためてTRC MARCを解説しちゃいます!
(2007年2月1日、2日掲載の記事より)
多くの人が、近所の図書館で知らぬ間にお付き合いしているMARCですが、日本国内にはいくつかの種類があります(代表的なのは、国立国会図書館のJAPAN/MARC)。
その中で、私たちが作っているTRC MARCは、どんなMARCなのでしょう?
今回は「TRC MARCの特長」というお話。
1.網羅性・スピード
「検索してもヒットしない!」
そんな時の主な原因は、その本のMARCがそもそもない か まだ完成していない のどちらかです。
この問題の解決策は極めてシンプル。発売されるすべての本のMARCを、本屋さんで一般の人が目にする発売日までに作る ということです。これがすなわち「網羅性とスピード」。
新刊書の場合、出版社は発売前に取次(本の問屋さん...かな)に商品見本を納入するのですが、TRCデータ部ではこれを使ってMARCを作ります。
取次に集まってくる「見本」を使うことで、新刊書を網羅的にカバーしつつ発売日までに完成させることが可能なのです。
2.正確さ
TRC MARCは、すべて実際の本から作られています。
というと、「そりゃそうでしょ?」と思われるかもしれませんが...。
例えば、出版社から「今度こんな本を出します」という事前情報を、FAXやメールでいただいたりすることがあります。でも、TRCデータ部では、このような形の情報からはMARC作成をしていません。
あくまでも、本の形になって私たちの手元に届いてからがスタート。実際に手にとって開き、自分たちの目で1つ1つの情報を確かめながら、1冊1冊MARCを作っていきます。
"図書館の利用者が実際に手に取るのと同じ本からMARCを作る"
この「図書現物主義」こそがMARCの正確さを担保しているのであり、TRCデータ部の誇りでもあるのです。
3.整合性
TRCデータ部が今までに作ったMARCは3,276,810件(2013年2月25日現在)。
これだけの大量の情報から正しい検索結果を導き出すためには、ある一定のルールに則った情報がきれいに整理されていることが不可欠です。
例えば...
児童書なのか大人向けなのか迷う小説とか。
本のあちこちで著者の表示がJ.P.サルトル/ジャン・P.サルトル/サルトルとバラバラで、いったいどう呼んでほしいのよ...とか。
Aさんは自伝だと主張するこの本、私はエッセイだと思うんだけど...とか。
(以下、いくらでも続く...なのでこの辺でストップ)
このように、個人の感覚・意見や時代の流れによる変化に左右されてしまうと、たとえ1冊ごとについては正しくても、全体としてみた場合には統一性がなく、思うような検索結果が出ない=整合性に欠けるMARCになってしまいます。
これを避けるために、TRCデータ部では準拠すべきルールをまず決めています。
・日本目録規則<NCR> 1987年版改訂3版
・日本十進分類法<NDC> 新訂9版および新訂8版
・基本件名標目表<BSH> 第4版
図書館学を勉強された方には、きっとお馴染みの面々ですね。
さらにこれに加えて、TRC独自の内規を定めたり、シリーズや出版者のデータベースを作ってMARCどうしの関連性をわかりやすくしたりして、整合性を高める工夫をしています。
4.内容の充実
TRC MARCには、日本目録規則で定められているよりもかなり多くの情報が盛り込まれています。それは、図書館の「あったらいいな」に応えたさまざまな項目を追加しているからです。
例えば...
内容紹介文、受賞情報、ジャンル、新聞の書評欄掲載情報など、図書館が選書をしたり、レファレンスに答えたりするのに便利なさまざまな情報を取り入れています。
1冊の本の魅力を、いかに余すところなくわかりやすく伝えるか...
多様な検索に対応できるように、いかに多彩な切り口を考えるか...
図書館の利用者にとって使い勝手のよいMARCを目指して、TRC MARCはこれからも進化してゆきます。
(おお、最後は壮大にきまった...)