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「和装」「和本」「和書」(1)~ASで作成するデータについて~

こんにちは。半年ぶりに、データ部AS・伊藤です。主に和装本を担当しています。

・・・と自己紹介しておりましたが、実はこの言い方、ちょっと問題を孕んでいます。
昨年度書いた文中でも、「和装本」と言ったり「和漢古書」と言ったりしていましたが、「和装本イコール和漢古書」というわけではありません。これらは実のところ、まったく別々の概念です。和漢古書でない和装本というのはいくらでもありますし、和漢古書だけれども和装本ではない、という場合もあるのです。
このあたりのことを説明しだすと結構ややこしくなってしまうので、昨年度はあいまいなままにしておきましたが、どこかでは触れなければならない問題ですので、今年度はまずここらあたりから書かせていただこうと思います。

「和装」というのは「洋装」に対する言葉で、ネットを検索すると着物関係のページとかに多くヒットしますが、もちろんここでは服装のことではありません。本の装丁の仕方として、一般的には、紙を袋とじにし、それを糸で綴じたものを言います(ただし実際にはいろいろなヴァリエーションがあるのですが、それはまたいずれ)。
当然、こうした伝統的な装丁のものは古い時代のものであることが多いのですが、現代書として出版された本の中にも、そうしたものは数多くあります。
まず、オリジナルが和装本であるものの複製物。本の造りそのものも原物のとおりにする、というのは、ある意味複製のあり方としてはそのようにあるべきかもしれません。
また古典のジャンルを踏襲したもの―句集ですとか謡曲の本とかいったものも、現代のひとが作ったものでも、和装本として発行されているものが結構あります。ふつうの装丁で造本するよりは、物理的存在としての本そのものに、いにしえからつらなる優雅な趣きが感じられるようです。
ということで、明治以降の刊行物しか累積していないTRC MARCですが、TOOLiの「装丁」の項目で「和装」を選んで検索してみると、1万2千以上ものデータがヒットするのです。

ちなみに以前、「和装本のセットものの中味の順番を正しく判断するのは結構むつかしい」「本の外がわに巻冊次の表記自体がないというケースは、とくに中国で出版された図書には多い」というふうに書いたことがありました。ここでちょっと引っかかりを感じた方はおられるでしょうか。
というのは、「中国で出版された図書」について、「和装本」と言うことはまずありえないからです。「和装」の「和」は当然「日本」のことで、あくまで日本において、「洋装本」すなわち現代におけるふつうの装丁の図書と対比される概念として、「和装本」という言い方をします。
では中国では、「和装」のような、伝統的な装丁の本のことを何と呼ぶかというと、ふつう「線装」と言います。「線」はこの場合「綫」とも書きますが、ラインのことではなく、「糸」の意味です。すなわち、「糸で綴じた装丁」ということです。
ですので、言葉そのものの意味からいえば、日本で造られた糸綴じ本のことも「線装」と言っても全然問題ないのですが、たいていは、日本のものは「和装」、中国のものは「線装」と言って使い分けることが多いかと思われます(中国のほうでは「中装」という言い方もしているようです)。

さて、この「和装」ですが、似たようなタームとして「和本」「和書」という言葉があります。似た言葉ですが、意味するところはそれぞれ違っています。その違いは何でしょうか? つづきは次回で。

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