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2018年3月12日

大半中小-和漢古書の大きさ

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

前回は丁数について書きましたが、今回は対照事項(形態事項)のもう一方、「大きさ」について書きたいと思います。
大きさの記録については、基本的に現代書と変わらず、基本的にタテの外形の大きさを記録します。ただ、タテヨコの長さが同じもの(枡形本)や、ヨコの長さがタテよりも長いもの(横長本)は、タテ×ヨコを記録します。タテの長さがヨコの長さの2倍より長いもの(縦長本)も、NCRではそのように記録することになっています。
もちろん、和漢古書はそれ自体貴重本ではありますので、形態にかかわらず、タテ×ヨコを「センチメートルの単位で,小数点以下1桁まで端数を切り上げて記録する」(NCR2.5.3.2任意規定(古))としてもよいかとは思います。
ただ、大きさについて長澤規矩也氏は、「現行目録法では、図書の高さをセンチで記載することになっているが、古書は、改装すればもちろん高さが違うが、同時に装訂されたものでも、機械を使ったものではないから、高さは必ずしも同一ではない。これをいちいちものさしで計るなどということもむだである。古来の俗称をそのまま使えばよい」(『新編和漢古書目録法』)と、これまた断じておられます。
実際、江戸時代以前の本の場合、まったくこの通りの情況ですし、紙自体きれいに真四角に裁断されているともかぎらず、多少ゆがんでいる場合も多いです。ということで、ミリメートルまで記録するのは、後日触れる内匡郭についてであればともかく、外形については、正直あまり細かくこだわっても、実のところあまり意味はないのではないかと思います。

さて、その「古来の俗称」ですが、江戸時代の紙というのは、現代のA判・B判のように厳密なものではありませんが、大きさに何通りか判型がありました。基本的に美濃判と半紙というふたつの規格(紙型)があり、美濃判を二つ折りしたもの(タテ27cm前後)を使った本を大本(おおほん)、半紙を二つ折りしたもの(タテ23cm前後)を使った本をを半紙本と言い、大本の半分のサイズのものを中本(ちゅうぼん)、半紙本の半分のサイズのものを小本(こほん)と言います。以前書きましたが、大きさ・紙型を見れば、どのようなジャンルの本か、ある程度見当をつけることができるようになってきます。基本的に大本は学術書や古典であることが多く、謡曲本や読本は半紙本が、人情本や滑稽本、草双紙類は中本であることが主流でした。
横長本も基本的には、大本あるいは半紙本を二つ切・三つ切・四つ切に裁断した紙を使っています。この場合、「大本二つ切」は中本を、「半紙本二つ切」は小本を横向きにしたサイズと同じということになります。

こうした大本・半紙本・中本・小本の書物のサイズのことを「書型(しょけい)」と言い、NCRでは、別法(2.5.3.2別法(古))としてセンチメートルの代わりに「半」などと「書型に対応させた用語等」で記録することを、また任意規定(2.5.3.2C任意規定(古))としてセンチメートルでの記録の後に括弧に入れて付記することを認めています。
ただ、中国の紙のサイズは日本とは違い、日本の場合よりも長辺が短辺に対してより長く裁断されていることが多いですので、和本の「書型」をそのまま適用することはかならずしも適切ではありません。わたしが学生時代にかかわったある漢籍の冊子目録では、大きさについてはセンチメートルを記録せず、「和本」「唐本」「洋本」それぞれについて、大中小の大きさの区分を設定し、「和大」「唐中」「洋小」などとのみ記録するようにしていましたが、これはこれで一見識かと思います。

タテが大本より長いものは特大本と称されます。そんなに目にすることはないと思いますが、図録などの本では時々お目にかかります。ちなみに、後日とりあげる朝鮮本はふつうの図書でも比較的大型のものが多いです。
(横長本でない)タテが10cm以下の特小本については、「巾箱本(きんそうぼん)」「袖珍本(しゅうちんぼん)」といった呼び方もあります。センチメートルで記録する場合、これは小数点以下1桁まで記録する仕様になるでしょう。日本では時々趣味的な「豆本」として製作されたものを目にします。中国では科挙の際のカンニング用に作られたものがあるそうですが、わたしはまだ実際に触れたことはありません。

なお、折本などはふつうの冊子と同様に記録すればよいですが、巻物(巻子本)の場合はまた別になります。ふつうは、中心の軸のタテを測った「軸高」ではなく、本紙のタテのみを記録しますが、巻かれた紙を全部広げた状態でヨコの長さも計測するべし、という意見もあります。何メートル何十メートルにもおよぶ巻物の場合、そうしなければならないかと思うと、あまり想像したくないような・・・。

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