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「折帖」補論(1)―『日本古典籍書誌学辞典』の説明

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

以前、装丁(ほんらいは「装訂」ですが、NCRに従っておきます)にかんして述べたところで、「折帖(おりじょう)」というものについて簡単に触れましたが、この「折帖」の実態と説明については、各種参考資料で食い違いと混乱が見られます。この点について、改めてすこし整理しておきたいと思います。

『日本古典籍書誌学辞典』(岩波書店1999)には「折帖仕立て」という項目があり、「折本の一形態。画帖にも用いられるので「画帖仕立て」という。中国で始まった装訂で、日本では桃山時代、ないし近世初期の古筆手鑑からとされる。書道の手本として近世に刊行された金石文の拓本や、これに倣った石版・木版陰刻による書物、法帖の装訂にもよく用いられたため、「法帖仕立て」ともいう。」(p90)という解説があります。具体的には「紙を貼り合わせた厚い料紙を、表を内側に二つ折りにして継いでいくが、その方法によって片面のものと両面のものとの別が生じる。」とあり、谷折りにした紙どうしを糊付けして冊子にしたものということになります。
この『辞典』の説明文は、基本的に藤井隆著『日本古典書誌学総説』(和泉書院1991)の記述(p59-60)を整理したもので、『総説』の記述のほうがやや詳しいので、片面・両面それぞれについて、『総説』のほうを見てみましょう。
片面折帖仕立ては、「別称としては「突合わせ折帖仕立」「糊入れ画帖」などがある。料紙を一枚一枚―但、この場合の一枚は、それぞれ貼り合わせた厚い紙である―表を内側にして二つ折にし、糊で継いでいくのであるが、(中略)折目のほうではなく、折目と反対の紙の小口(端の紙の切り口)の方の紙の裏面と裏面を突き合わせて(二枚の紙の端を揃えて二枚の裏面と裏面が接するように重ねて)端に近い部分の裏面の上から下まで五ミリから一センチ程を糊付けして、次々に重ねるのである。一見折本のような感じに見えるが、表からめくると完全に各面が見開きに開くけれども、裏面は途中までしか開かず、全く使用できない。」というもので、要は谷折りした紙を端の裏どうしで糊付けして折本のかたちに仕立てたものです。縦長本の法帖(書道の手本)に多く見られ、『総説』p58の<図32>であげられているのは法帖の写真です。しかし画帖にも多少は見られ、『辞典』の挿図にあげられているのは横長の画帖の写真です。
両面折帖仕立てについては、「料紙(この場合も貼り合わせた厚い紙)を表を内側にして二つ折にしたものを、一枚ごとに切替して、裏面全体に糊を付けて、裏面と裏面を重ねて貼り合わせて行くのである。即ち前の紙の折目に、次の紙の端(小口)を合わせて重ねる―同時に前の紙の端(小口)に次の紙の折目が揃うことにもなる。三枚目の紙は二枚目の紙の折目に紙の端(小口)を合せて重ねる―これを続け繰返すのである。完成したものは全く普通の折本と同様の形と扱いとなり、然も帖の表面も裏面も全部紙の表面が出ていることになって、更にすべての面が一枚の紙の見開きであるわけで、各見開き面に絵を書くのに都合良く、帖を解体した時にも絵は見開きの大きさで完全に剥がすことが出来る。」とあります。「切替して」というのがちょっとわかりにくいですが、谷折りした紙を半丁分ずつずらしながら一枚ごとに逆向きに重ね、谷折りの背面どうしをべったり貼り合わせて折本のかたちに仕立てたものです。こちらは、「絵を描くのに便利」ということから、基本的に多くが横長本の画帖の類であるようです(『総説』p58の<図33>であげられているのは白紙の両面折帖仕立てのものです)。

いずれも、できあがった形態としては「折本」と基本的に同じであり、たしかに「折本の一形態」という説明が当てはまります。ただ、ふつうの折本というのは、歴史的には巻物から発達してきたとされるとおり、前紙の左端裏と後紙の右端表―表裏逆の組み合わせもありえますが―を糊付けして長くつなげたものを、つなげた個所とは無関係に折りたたんで蛇腹式にしたものを言いますので、厳密には区別したほうがよいという立場もあるわけです。

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