MARCの中でもややとっつきにくいと言われる分類と件名について、より多くの方に理解していただけるよう、これから月1回、分類/件名に関係する話題をお届けします。
さて、データ部分類/件名の部署では、毎日何百冊という本にひたすら分類と件名を付与する作業をしています。
一見単調な仕事のようにも思えますが、本は一冊一冊それぞれ違った個性を持っていて、たとえば同じタイトルの本だとしても、著者が違えば内容もまったく異なり、なかなか気が抜けない作業なのです。
そんな分類/件名の仕事をしていてよかったと思うのは、図書館で本を探すとき。
OPACを頼らずとも、大体の分類がわかるので、直接書架に探しに行けます。
しかし、これは分類/件名ならではの裏技。一般の方は「分類」の全体像を把握するのも、ちょっと大変なのではないでしょうか。
そこで、覚えておくと面白い、個人的に好きな分類をお教えします。
それは「049」。
0から始まる分類は、「総記」というグループで、「図書館・図書・百科事典・一般論文集・逐次刊行物・団体・ジャーナリズム・叢書」といった、いわば図書館色の濃い本が並ぶ場所。
その中でも「049」というのはやや特殊で、日本十進分類法(NDC)新訂9版では、「雑著」となっています。
では「雑著」とは何ぞや。
具体的に説明するのはちょっと難しいのですが、いわば「特定の分類に行き場所がない本」と言いますか。TRCでは「雑学」系の本がここに入ることが多いです。とはいえ、「雑著」なので、雑学に限らずいろいろと摩訶不思議な本が存在します。
たとえば、一時話題となった「生協の白石さん」も049。町のヘンなものを集めた「VOW」シリーズも049。
最近読んで面白かったのは「イグ・ノーベル賞」。
世間を笑わせるか、考えさせた人に贈られる、いわゆる「裏・ノーベル賞」だそうです。「世の中にはヘンテコな発明をする人がいるんだなあ~」と脱力させられます。
こんなマニアックな049。図書館に行かれたら、ちょっとのぞいてみてはいかがでしょうか。
コメント (2)
ろくに主題分析をせずにNDCの049や914.6に分類するのは、日本の図書館の悪癖。例えばマーク・エイブラハムズのイグ・ノーベル賞の本、欧米の目録ではサイエンスのところに分類されてますよ。
投稿者: K | 2009年6月21日 21:50
日時: 2009年6月21日 21:50
Kさん、コメントどうもありがとうございます。
TRCデータ部分類/件名では、基本的に主題があるものはなるべく主題に分類するようにしておりますが、考え方によっては049や914.6が多すぎるというご意見もあるかと思います。
「イグ・ノーベル賞」に関しましては、もちろんサイエンスという考え方もあるかと思いますが、必ずしも科学的根拠のある発明・発見にとどまらない、という観点から049にさせていただきました。
Kさんのご意見は、今後の参考とさせていただきます。
これからもよろしくお願いいたします。
投稿者: 分類/件名 豊田 | 2009年6月22日 10:04
日時: 2009年6月22日 10:04