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緑紅藍灰でどうですか―四部分類について

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

だいぶ前になりますが、ASという部署ではいろいろな分類を付与することがあるということを書きました。今回は、漢籍の四部分類というものについて取り上げたいと思います。

現代書や洋書を扱っている分にはまずかかわりのないこの分類、漢籍(←これの定義については前回までにいろいろ書きました)に用いられる、すべての図書を「經」(儒教の経典)「史」(歴史・地理・政治法律)「子」(思想・技芸・自然科学)「集」(文学創作)の4つの大分類に分ける分類法です。
ちなみに、「史部」と「子部」は中国語だと違う発音ですが、日本語だと同じ「シブ」で間違いやすいので、漢籍屋(←ちょっとカッコイイ)のあいだでは「子部」のことを「コブ」と言ったりします。けっして基本的な音読みができてないわけではないので、誤解のないようお願いします。
なお、実際には四部の書にまたがって収録した叢書というものもありますので、「經」「史」「子」「集」以外に「叢書部」を立てた五部分類にすることが多いです。また近代以降の図書については、NDCなどの近代的な分類体系で分類したほうが適切なものということで、新學部という部を別に立ててそちらに収めることもあります。

以前書いたように、漢籍というのは、辛亥革命以前に図書の内容が成立した中国語の書籍ですので、新たにタイトルが増えるということは基本的にありません。ですので、総体が決まっているので、個々の書籍をどこに分類するかは基本的にすでに確定されているということが言えます(実際には、いくつかの「流派」があって異なる場合もあるのですが)。逆に言えば、四部分類で分類されるのがすなわち漢籍だ、と定義してもいいくらいです。

さて、四部分類では、すべての図書を4つの大分類(「部」)に分け、そこからさらに中分類(「類」)・小分類(「属」)へと分けて分類していく、ということで、構造そのものはNDCの類目‐綱目‐要目というのと同様です。また、NDCでピリオド以下に展開されるのと同様、必要があれば「属目以下の区分」をすることもあります。
それぞれの部の中の類や属の数は10個というわけではないのですが、記号化して表すこともできそうです。たとえば、「史部」「書目類」「目録叢刻之屬」などというのだと、かりに『東京大學東洋文化研究所漢籍分類目録』の体系にしたがえば、「B-14-08」という具合にできるかもしれません。ただし、記号化したほうが電算的には扱いやすそうですが、実際の利用にあたっては、文言の表示があったほうが当然見やすいでしょう。

この四部分類は長い歴史を経て確立されてきたものですが、清朝盛期にそれまでの主要な図書のほとんどを網羅する叢書として編纂された『四庫全書』も、この分類法によっており、この叢書における分類がひとつのスタンダードとなっています(ですので「四庫分類」という言い方もあります)。
ちなみに、『四庫全書』では「經」「史」「子」「集」の各部の図書の表紙は、それぞれ緑色・赤色・青色・灰色に色分けされています。これは「春夏秋冬」に対応しているのだそうですが、もし四部分類で漢籍を整理することがあれば、帙や容器に貼るラベルなどにこの色分けを用いたら、「むむ、おぬしやるな」ということになるかと思いますので、お勧めしたいと思います。

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