皆持ってると思いがち~典拠のはなし~
前回に引き続き名前に関するお話です。
今回ご紹介するのは、「世界の人々の名前の作り」について。
とはいっても、名前なんて姓があって名があって、姓は代々受け継がれていくもので、あとは語数の多少くらいでどこでも同じような作りなんじゃないか、と思われるのではないでしょうか。かく言う私がそうでした。
侮るなかれ、世界には様々な名前の形態があるのです。
たとえば、ミャンマーの指導者アウン・サン・スー・チー。
典拠ファイルは以下のようになっています。
12000153614-0000
Aung San Suu Kyi
アウン・サン・スー・チー
名前が姓名で構成されている場合、姓と名の間に区切り記号のカンマ(,)が挟まるのですが、彼女の名前にはそれがありません。なぜなら、「アウン・サン・スー・チー」という名前は姓と名で構成されているわけでは無いからです。
前半部分の「アウン・サン」が姓のように見えますが、この部分はお父さんの名前であり、実際は彼女には姓がありません。
彼女が特別なわけではなく、ミャンマー人の大半は現在も姓をもっていないのです。
姓をもたない文化の国としては、他にインドネシアやアイスランド等が挙げられます。
前回も触れた通り、アルファベットの綴りを持つ人物で図書に原綴はあるがヨミが無い場合、姓の部分のみ推定でヨミを振るのですが、姓が無い場合はフルネームを推定することになります。
このように、典拠ファイルを作成するにあたって、名前のつくりがどうなっているかはその後の対応を左右するかなり重要度の高い情報です。
そのため、典拠班には姓名に関する資料がたくさんあります。
以下の画像はその一部です。
今回ご紹介したのはほんの一例で、名前の世界は遠く深く広がっています。より詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてどうぞ。