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2025年8月 アーカイブ

2025年8月 7日

戦争文学と職業病

7月の雑記のテーマは「戦争をテーマとした本・映画・ドラマなど」です。

小学校時代、戦争をテーマとした児童文学を読んだものの、幼心には恐ろしすぎたらしく実はあらすじも記憶に残っていない私。

そんな私でも山川方夫の「夏の葬列」が記憶に残っているのは、とても短い話で、中学校の教科書に載っていたからでしょう。

疎開先で都会っ子の主人公を気にかけてくれる年上の少女「ヒロ子さん」、寂しいながらも呑気な日常に急に現れた爆撃。ラストの二重の絶望感。主人公と一緒に気持ちが浮いたり沈んたり、なんともやりきれない物語です。

中学生だった私は知らなかったのですが、著者の山川方夫はショートショートを得意とする作家で、「夏の葬列」は1962年に『ヒッチコック・マガジン』に掲載された作品だそう。

ヒッチコック! そうおもって読めば、この後味の悪さにも納得。これを教科書に収録しようと考えた人はすごいですね。

中学校の教科書にこの作品が載っていなかった方も読んでみてはいかがでしょう。

「夏の葬列」

集英社(1991.5)

「箱の中のあなた」

筑摩書房(2022.12)


最近のアンソロジーにも入っています。

「5分後に意外な結末ベスト・セレクション」金の巻

講談社(2023.11)


「夏の葬列」でキーワード検索すれば、図書のタイトルに作品名が入っていなくても、内容細目ファイルで作品が収録されている図書が見つかります。電子書籍や、朗読が聴ける視聴覚資料もあるようですね。

ちなみに日々典拠作成している身としては、登場人物の「ヒロ子さん」が、裕子だったのか、寛子だったのか、はたまた時代を考えると紘子? ここも子供同士の関わりでお互いの呼び名しか知らない表現と思いつつ、ちょっと気になってしまう職業病です。

2025年8月 6日

きょうのデータ部☆(8/6)

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昨日は、国内最高気温が更新されたそうですね。41.8度...。
今日も暑くなりそうですが、テラスの木はそれでも青々として元気です!

2025年8月 8日

「づ」は「ズ」 ~典拠のはなし~

今回の典拠のはなしは、読み(カタカナ形)の記録の方法について。とは言っても、MARCのタイトル読みとも共通のルールのはなしです。

次のような著者名が出た場合、読み(カタカナ形)はどのように記録するでしょうか?


望月/次郎
 図書のルビ:もちづき・じろう
 典拠ファイルのカタカナ形:モチキ,ジロウ


伊地知/三郎
 図書のルビ:いぢち・さぶろう
 典拠ファイルのカタカナ形:イチ,サブロウ


「づ」は「ヅ」ではなく、「ズ」
「ぢ」は「ヂ」ではなく、「ジ」

に置き換えて記録します。
これは「日本目録規則」に定められたルールに準拠しているためです。

一部を引用すると、


「日本目録規則 2018年版」(NDC2018)
#A.1 片仮名記録法
#A.1.1.5 「ヂ」、「ヅ」
「ヂ」、「ヅ」は、「ジ」、「ズ」と記録する。


このルールに従うため、一般的なルビの方法とは異なります。
ヨミ順の配列に配慮されたルールで、図書館ならではですね。


明日8/9(土)よりデータ部は夏季休業に入るため、ブログの更新をお休みさせていただきます。再開は8/18(月)の予定です。よろしくお願いいたします。

2025年8月 4日

いろんなルールがあるものだ~新設件名のお知らせ2025年7月分~

明日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名のお知らせ」を掲載しています。
新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。

7月には5件の件名を新設しましたが、そのどれもが法律名でした。ここのところ、新設される件名に法律名が多いなぁと感じているのですが、それだけ多くのルールが世の中に存在して、それを解説する本が出版されているということですね。

件名として新設された法律名は、まず、「LPS法」と「LLP法」。なんにも知識のない私は、なんかガスに関する法律?と思ってしまいましたが、全く違いました。(LPガスは関係なかった!)略称を件名標目としていますが、正式名称は「LPS法」=「投資事業有限責任組合契約に関する法律」、「LLP法」=「有限責任事業組合契約に関する法律」だそうです。正式名称は、件名の参照形として作成しています。

それから、「CCS事業法」。これは、「二酸化炭素の貯留事業に関する法律」が正式名称です。環境に関する法律の解説書も、よく見かける気がします。

残りの2つが、「公有水面埋立法」と「早期事業再生法」。漢字の法律名は、読んで内容が把握しやすいです。「早期事業再生法」は正式名称が長くて、「円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律」だそうです。もう、法律名が内容説明しちゃっていますね。

新しく法律として制定されたからこのタイミングで件名として新設されるものばかりではなく、例えば「公有水面埋立法」は大正10年制定と、随分と歴史のある法律です。改めてこのタイミングでその研究書が出て、新設に至りました。

世の中にどれだけの法律が存在しているのかわかりませんが、件名標目になった法律を眺めながら、こんな法律もあるんだ...と気づかされる日々です。

2025年8月 5日

訪れたい建物

本日は「週刊新刊全点案内」2417号の発行日です。
掲載件数は947件でした。

今月の表紙はこちら。
p20250805.jpg

8月、お盆休み、田舎への帰省!
で、お盆に供える
茄子、きゅうり & 割り箸でこしらえる
精霊馬のイメージです。

きゅうりが馬で茄子が牛。
眺めていると、なるほどそう見えて来て
なんとも微笑ましい気持ちになります。

(Juri)

*こんな本がありました*
「 せとうち建築 海の道が紡いだ暮らしと建物 」
(味なたてもの探訪)

釜床美也子(建築監修)

トゥーヴァージンズ (2025.7)

「味なたてもの探訪」シリーズの最新作は、瀬戸内海をぐるっと囲む岡山・広島・香川・愛媛の建物を取り上げた「せとうち建築」です。
多島海、盛んな海の交通、温暖な気候...。せとうちのイメージといえば、こんな感じでしょうか。そんな地域の特色・歴史・文化が建築にどのような影響を与えたのか。この本では10軒の建物、大庄屋の邸宅から町中の時計店、重要文化財になった県庁舎まで、さまざま取り上げられています。
倉敷にあるのは、明治時代の紡績工場をリノベーションした複合施設。いまデニムでも有名な倉敷は、江戸時代から綿花栽培が盛んだったことから紡績業が発展したという歴史があるそう。なるほど。

各建物の紹介ページには、竣工年や設計者、構造といった基本情報のほか、見取り図や歴史年表、建物の構成ポイントなども紹介されています。その建物をよく知っている人へのインタビューも。
この本片手に建物めぐりをしたら、とても充実した時間を過ごせそうだと思いました。

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