「これを読めば、あなたも目録が作れる!~カタロガーへのはじめの一歩~」と題して始まったこの目録編MANIAXも9回目。「MARCは本の戸籍のようなもの」などとも言いますが、この例えでいくと、名前が決まり(タイトルの話)、親もはっきりした(責任表示の話)ところまで連載は進んできました。そこで今回は、「いつどこで生まれたか」という問題を取り上げます。本の「本籍」である出版者・出版地、そして出版年月のお話です。
出版者に関しては、TRCでは情報源を「奥付」最優先としています。なぜなら記述が一番正確だから。各情報源でどう違うか、連載第1回目の写真で比べてみましょう。
って、小さくて見えませんね...。スイマセン...。こんな風に書かれています。
背 TRC
表紙 TRC図書館流通センター
標題紙 (記述なし)
奥付 株式会社図書館流通センター
次に、奥付にズームしてみます。目録として採用すべき出版者・出版地・出版年月は、どこにどんな形で記述されているでしょう?
★出版者
出版物の刊行に責任をもつ個人または団体のこと。「発行所」がこれにあたります。目録に採用する際には、社名の前後に付されている法人組織を示す語などは省略します。
図書の表示:株式会社図書館流通センター → 図書館流通センター
★出版地
出版者が出版活動を行った住所もしくは所在地のこと。「発行所」の記述とセットで書かれている住所から、市町村名を採用します。
・「東京23区内」のとき...「東京」とのみ入力
東京
・「市」のとき...市名の「市」は省略
大阪
武蔵野
・「町村」のとき...都道府県を丸がっこに入れる
日の出町(東京都)
大潟村(秋田県)
★出版年
基本的には、対象図書の属する版が最初に刊行された出版年(西暦)・月を入力します。
図書の表示:平成19年10月6日 → 2007.10
でも、はっきり出版年と書いていないこともあります。そんな時は、発売年・著作権表示年などを採用。また、そもそも奥付に表示がないこともあります。そんな時は、本文を参考にします。
c2007 (著作権表示年より。c...copyright 小~さく「マルc」とあるアレです)
2007あとがき (あとがきより。月は入力しません)
図書からはどうにもわからない時もあります。そんな時は、出版者に問い合わせたり、諦めたりします。(昔の本だと、問い合わせも不可能ですからね)
〔2007〕 (出版者に問い合わせた場合。月は入力せず、年のみ補記の形にします)
〔出版年不明〕
おまけ:
奥付に書かれている年月日は、必ずしも発売日とは一致していません。かなり前倒しされているのが普通です。データ部では毎年ちょうど今頃、「来年の本がもう来たよ!」というのがニュースになったりします。例えば、今年2007年刊として作成したMARCの1番乗りはこちら。
掲載されたのは2006.10.17発行の「週刊新刊全点案内」でした。「どうしてこんなに早いのか、出版社の大人の事情とやらがイロイロあるのかなあ...」などと、2008年刊の本を心待ちにしつつ思う今日この頃...。
おまけ2:
出版者と関係が深いのがISBN。978-4-の後、次のハイフンまでの数字が、各出版者固有の数字です。ここを見れば、どこの出版者の本か一目瞭然。みなさまの蔵書に「86039」がついてる本はありませんか? 我がTRCの数字でございます。ISBNについて詳しくはこちら。
もとい。というわけで、今日の話を写真の例を使ってまとめますと、
出版者:図書館流通センター
出版地:東京
出版年:2006.10 となります。
さあ、これで「本の戸籍」も名前・家族・本籍・出生年月日と、重要項目が出揃いました。だいぶ形になってきましたね。完成まであと一息!
次回は、目録の細部をさらに詰めていくべく、大きさやページ数などのお話の予定です。お楽しみに!
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コメント (1)
つけたし:目録の世界では「出版者」という語を使用します。講談社や小学館といった大出版社だけでなく、○○先生古希記念論文集刊行会、△△研究会、個人(自費出版)など、いろいろなケースを広く表現するための言葉です。
投稿者: 新刊目録 大谷 | 2007年10月 9日 09:19
日時: 2007年10月 9日 09:19