月末の企画「MARCや検索のはなし」第5弾。今回は奥付です。
書店や図書館でまず目に入るのはたぶん、平積みの図書の表紙か、棚に並んだ図書の背ですよね。図書を手に取って内容の確認はしてみても、奥付まではあまり見ないかもしれません。意識して見ようとしないかぎり、奥付を目にすることはまずありません。
そんなちょっと地味めな奥付ですが、4情報源中の優先順位では標題紙の次、No.2になります。表紙や背よりも偉いのです。
奥付には、目録上重要な情報が記載されています。出版年や刷次、出版地は、奥付にしかない場合がほとんどです。宣伝文句やイラストなどが並び、凝ったデザインになりがちな表紙や背に比べて、奥付には必要な書誌的事項が簡潔な形で表記されていることが多いです。
TRC MARCでは、出版者の記述は奥付の形を最優先で採用しています。責任表示や並列タイトルの採用に関しても、奥付の記載が決め手になる場合があります。また、奥付より後ろにある広告ページはページ付として採用していません。奥付がある位置も重要です。
この奥付の位置ですが、図書によって(あるいは出版者によって)結構バリエーションがあったりします。
いちばん一般的なのは、図書の最終ページか、あるいはそこから2~3ページ前辺りにあるものでしょうか。それから、洋書のように標題紙裏ページにあるもの。医療系の図書を出されている某出版社さんの図書はほぼこの形です。また、カヴァーにしかないものもあります。
厄介なのはムックです。
ムックは普通の書籍と違って雑誌に近いつくりをしていることが多いので、奥付のレイアウトもまちまちです。書籍と同様最終ページ付近にあるもの、またはうしろ表紙にあるもの。これはすぐに見つけられるパターンです。ムックでは、うしろ表紙の背の辺りの部分からも出版年などを補足したりします。次に、目次ページにあるもの。よく見ると目次ページの中に奥付があります。これも、慣れればわりと簡単に見つけることが出来ます。
↓は目次ページの中に奥付があるパターン。右側にあるのが奥付です。目次の項目からは離れているので比較的見つけやすいですが、巻頭にグラビアページがあるため、19ページ目になっています。
大体はこれらのパターンなのですが、そうでない場合には、かなり苦労して奥付を探すことになります。書籍とは違い薄くてペラペラなページを一枚一枚めくって、広告なのか本文なのかよくわからない雑多なページの隅から隅までを、必死に探します。ムックの奥付は、巻頭でも巻末でもないなんとも中途半端なところに唐突にあったり、思いもよらぬページにひっそり埋もれていたり、表紙(!)の片隅にあったりすることもあるのです。
大抵は目立たないし、時々はどこにあるのかもわからない。でもかなり重要。そんな奥付をきちんと丁寧に作ってある図書なら、なんだか中身まで信頼できるような気がしてきます。