こんにちは。
データぶー子が登場するデータ部ログダイジェスト連載ももうあとわずか。
最後までおつきあいくださいね。
いままで人名典拠のパターンを挙げてきましたが、
今日は「典拠ファイルの実物」をおみせしちゃいます。
人名典拠ファイルには、これまで説明してきた見出し(統一標目)のほかに、その人の肩書や専門分野など識別するための情報が入っています。
例としてあげるのは、イラストレーター、小説家、俳優など幅広く活躍するこの方。
【リリー・フランキー】
*便宜的にアルファベットをふり、解説。一部省略した部分もあり
A 《典拠ID》 11000292987-0000
B 《漢字形》 リリー・フランキー
C 《カタカナ形》 リリー フランキー
D 《参考生没年》 1963〜
E 《職業・専門等》 フリーライター,イラストレーター,ペンネーム
F 《著者紹介》 1963年福岡県生まれ。武蔵野美術大学卒業。文章家、小説家、コラムニスト、絵本作家、イラストレーター、アートディレクター、デザイナーなどジャンルの壁を自由に往来しつつ活動。
G 《対象冊数》 92件
H 《出現フラグ》 図書(著)(件)(内) AV(著)(件)(内)
I 《出典(カタカナ形)》 図書
J 《出典(漢字形)》
K 《初出書誌》 女子の生きざま
L 《TRC MARC No.》 97053651
では項目ごとにみていきましょう+。
A:《典拠ID》
典拠ファイルに振られる固有の番号。しかしただの数字の羅列ではありません。数字の位置によりそれぞれ意味があるのです。
■1桁目は典拠種別。「1」は人名を表します
■2桁目はデータ種別。「1」は東洋人、「2」は西洋人です
つまり、典拠IDの先頭2桁が11だったら東洋人、12だったら西洋人のファイルということです。
■3~11桁目は個別ナンバー。作られた順にだんだん数が大きくなります。
■12~15桁目の4桁は形態番号といいまして、ここの数字でそのファイルが統一形か記述形か参照形か見分けることができます。
0000は統一形。0001~4000が実際に図書に表示された形として現れたもの(記述形)。4001以降は直接参照となります。
B:《漢字形》
統一標目(見出し)がここに入ります。漢字形となっていますが、統一標目がひらがなであればひらがな、欧文の形であれば欧文で書かれます。
姓と名の間は/(スラッシュ)で区切られます。例:北野/武
姓名の形ではない人はスラッシュは入りません。例:ビートたけし
C:《カタカナ形》
統一標目のよみがなが入ります。
姓と名の間は,(カンマ)で区切られます。例:キタノ,タケシ
姓名の形でない人はスペースでわかちします。例:ビート タケシ
D:《参考生没年》
標目限定語(生没年)に入れる必要がなくても、図書に書いてある、あるいは公刊された資料類にある場合、ここに生没年を入力します。
E:《職業・専門等》
そのものズバリ、職業、肩書、専門分野を入れるところです。
本名、別名、改名情報もここに入れます。
F:《著者紹介》
ここに入る著者紹介は、普段MARC上で見られる著者紹介と同じものです。
図書にある最新の情報から簡潔に紹介しています。
典拠ファイルの「職業・専門等」の肩書は作られたときのものなので、著者紹介の肩書の方が新しいものだったりすることもあります。
G:《対象冊数》
このファイルの中に収められているMARCの件数です。
H:《出現フラグ》
このファイルが図書のデータベースに出現したのか、AVのデータベースに出現したのか、図書の中でも著者としてなのか、人名件名としてなのか、フラグがどこに立っているかによってわかるようになっています。
著:著者、件:人名件名、内:内容細目著者を表します。
I:《出典(カタカナ形)》
統一標目のカタカナ形の採用場所はどこだったか、という根拠を入れます。参考資料などの場合はその資料名が入ります。この場合は、図書ということ。
J:《出典(漢字形)》
同じく統一標目の漢字形の採用場所。カタカナ形と同じだったので、省略してあります。(だから空欄になっている)
K:《初出書誌》
初めてTRCの人名典拠ファイルを作った図書のタイトルがここに入ります。
L:《TRC MARC No》
初出書誌のMARC Noです。
「日本目録規則」により、人名は初めてMARCを作った図書に書かれている形を統一標目にします。→関連過去記事はコチラ
いかがでしたか?
このような中身を持つ人名典拠ファイルは典拠IDで書誌のデータとリンクしています。
ちなみに、人名典拠ファイルは、MARC上に責任表示としてあらわれる場合と、個人件名としてあらわれる場合があります。ですので、著者名典拠IDと個人件名典拠IDの統一IDは同じものになります。
リリー・フランキーの人名典拠ファイルがMARCではどのように出現しているかなど、ダイジェスト第11回で紹介したMARC実例(東京タワー リリー・フランキー著)で確認できますので、あわせてご覧下さい。
相互参照や標目限定語が入った典拠ファイル解剖例を知りたい方は、ぜひ下記の過去記事を!
より詳しくご紹介しています☆
「典拠ファイルを解剖してみる」
「典拠ファイルを解剖してみる・つづき」
「典拠ファイルをご紹介」