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典拠 東洋人と西洋人(ダイジェスト第27回)

今日も人名典拠の話です。

いままで、日本人の著者の例ばかりをご紹介してきましたので、
そろそろ下記のような疑問をいだく方もいるのでは。

「外国人の人名典拠ファイルってどうなっているの?」
databuko11.gif

当然、日本以外の国の人が出てきても人名典拠ファイルを作ります!

便宜的に、日本以外の国の人のうち、中国・韓国など漢字圏の国の人を「東洋人」、それ以外の人をまとめて「西洋人」と分けています。

違いはなんでしょう?
カンタンにいいますと
「東洋人」の見出し(統一標目)は日本人のファイルと同様に漢字を採用
「西洋人」の見出し(統一標目)はアルファベット形を採用
ということです。

それぞれ典拠例をあげてみます。

まずは東洋人。
東洋人ファイルの特徴は、母国語読みと日本語読みが付与されるケースがあるということ。
東洋人の母国語読みはむずかしく、母国語読みだけでは、カナヨミでの検索ができないこともあります。そのため、著者表示が漢字で、統一形のカナヨミが母国語読みの場合に限り、MARC上に母国語読みと日本語統一読みを両方入力しています。

莫言の例で言うと、以下の2つが対となってTRC MARCに付与されています。
統一形  莫言(モーイエン)  母国語ヨミ
記述形  ← 莫言(バクゲン) 日本語ヨミ

MARC上ではこんな風に現れます。
例(MRAC No. 11026164抜粋)
 TRC MARC № 080$A01 11026164
 タイトル    251$A01   蛙鳴
 タイトルヨミ  551$A01 1  アメイ
 著者      251$F01   莫言//著
          251$Z01   11000077816-0002
 著者ヨミ    751$A01 1   モーイエン  = 統一形の母国語ヨミ
          751$B01   莫言
           751$Y01   バクゲン    = 日本語ヨミ
          751$N01   11000077816-0000

これによって、漢字でどう書くか思い出せない、母国語読みがわからない...という状況でも、日本語読みから検索することが可能になるのです。
*東洋人関連記事はコチラ 

次は西洋人。
特徴としては、翻訳の違いや発行された年代によって、責任表示が多様な形なので、さまざまな記述形が作られることが多いです。

SF作家ジュール・ヴェルヌを例にしてみましょう。
〔典拠一覧(抜粋)〕 
     漢字形          カナ形
統一形 Verne,Jules   ヴェルヌ,ジュール
記述形 ←J.ベルヌ
記述形 ←シユル、ウエルス
記述形 ←シュル・ウェルス
記述形 ←ジェール・ベルヌ
記述形 ←ジュール=ヴェルヌ
記述形 ←ヂールス、ベル子    ジールス/ベルネ
記述形 ←ベルヌ
記述形 ←ヴルヌ
記述形 ←Jules Verne 
記述形 ←ヂュール・ベル子    ジュール/ベルネ
記述形 ←ジユウールスヴエルヌ
記述形 ←ピユールヴヱルーヌ   ピユール/ヴエルーヌ

みてください、この記述形バリエーション!
図書によってまったくちがうイメージの名前で出てくる表記を、吉本ばなな←よしもとばなな方式と同じやり方(前記事・参照)でつなげています。

そのとき、同じ人が別人扱いにならないよう、すでにファイルができていないかしっかり検索をすることが、とても重要。

きちんと統一形のもとにまとめることで、「ヂュール・ベル子」とか「ピユールヴヱルーヌ」なんて、一見ヴェルヌ作品とは思えないような表記の本も、ヴェルヌの著作として検索できるようになります。

ちなみに上記のジュール・ヴェルヌの記述形は一部省略したもの。現在の記述形は全部で27通り!です。

*西洋人の関連記事はコチラ↓
同姓同名①「マイケル・ジャクソンは「世界ビール大全」を書いたか?
同姓同名②「西洋人の場合

(2007年3月19日の記事より)

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