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漢籍のシリーズ・附(つけた)り活字本のこと

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

前回、和古書のシリーズについて見ましたので、今回はひきつづき漢籍のシリーズについて見ていきたいと思います。

漢籍のほうでは、經史子集の四部のほかに「叢書部」が立てられているとおり、各ジャンルにまたがる叢書というものも相当数あります。叢書部のなかには、影印や覆刊など古書を複製したものを収めた景仿類(えいほうるい)や、すでに散逸した図書の他本に引用された箇所を集めて部分的に復元したものを収めた輯佚類(しゅういつるい)といった、特色あるものもあります。
また、叢書部に収められていなくても、各部や類の特定のジャンルのみの図書を集めたものも結構あり、それらは各類の「目録叢刻之属」といったところに分類されています。これら叢書・叢刻は、基本的に書誌階層を有するかたちで目録作成したほうがよい場合が多いかと思います。ただ、輯佚類のものなどはその性格上かならずしもそのようにはしません。

漢籍の主要な叢書とその内容については、『中国学芸大事典』の巻末に「中国主要叢書内容一覧」というのが載っていて、通覧するのに便利ですし、網羅的なものとしては『中国叢書綜録』といった工具書があります。和漢古書ではありませんが、民國期の『四部叢刊』『四部叢刊續編』『四部叢刊三編』『四部備要』『百部叢書集成』といったシリーズは、収蔵している大学図書館なども多いでしょう。
すこし注意が必要なのは『武英殿聚珍版全書』という叢書で、これはもともと清の乾隆年間に、宮中の武英殿(ぶえいでん)というところで活字印刷(聚珍(しゅうちん)とは活字の意。前述)したものですが、その後複製が許され、各地で重刻されました。同治年間に江西で出版されたものや光緒年間に廣東の廣雅書局から刊行されたものなどが流布していますが、実は収録内容にかなり異同があります。さらに、これらはみな整版による翻刻なのですが、叢書名はやはり『武英殿聚珍版叢書』とか『武英殿聚珍版書』などとなっていますし、目首や版心に「武英殿聚珍版」と記されたままだったりしますので、活字印本と誤って記録しないように注意しなければなりません。

ちなみに、整版と活字の見分けかたとしては、一般的に木活字印本は、1)一字ごとに濃淡が異なっていることが多い、2)縦の字の並びが一直線でなく多少ぐらついている、3)組版式なので匡郭の四隅がずれていることがある、といった特徴があると言われます。文字が横向きだったり、上下ひっくり返っていたりすれば、これはもう決定的ですね。最初のうちは気づきにくいかもしれませんが、慣れてくればかなり見分けがつくようになってきます。
ただ、覆刻の場合、そういうところまで忠実に再現している場合もあったりします。また、江戸初期の仮名活字(ちなみに複数字分の連続活字もあったりします)のものなどは、さすがにだいぶ手ごわいですが、と言って、そもそもそうした貴重本を手にすることは実際にはほとんどないでしょう。

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