データ部新刊 大谷です。
TRCむかし話、2回目は、人名・団体名典拠ファイルのお話です。
MARCは手書き原稿をパンチして作成していたというお話を以前しました。
人名・団体名の典拠ファイルも手書きカードで管理していました。
典拠チームの棚には人名・団体名のカードがずらっと並び、MARC作成の際には、まずそのカードをめくり、見つからない場合は、参考書類をあたります。そうして判明した読み方や綴りを目録原稿に記入します。
※写真はイメージです(まったく別の用途に使っているものです)
図書館には「TRC MARC人名典拠録」という冊子の形でご覧いただいていました。
ただし、冊子では、続々と登場する新規著者の情報をご案内できません。
そこで、ずらっと並んだカードをデータ化することになりました。
データにすれば、図書館にも典拠ファイルをご提供できるようになります。
それに、内部の作業もカードをいちいちめくるよりずっと効率的です。読み方や綴りをMARC入力画面で機械的に展開させれば、手間が省けるうえ誤記入も格段に少なくなります。マルクスであろうと芭蕉であろうと初めて出てきた著者であろうと、1件1件MARCを作るごとにパンチしていたわけですから、残念ながら校正もれによる誤りなどもありました。
著者カードの入った箱を作業中に手を滑らせてぶちまけるといった心配もなくなります…。
図書館にご提供しても恥ずかしくない内容にするべく、それまで持っていた著者情報の総点検を行いました。参考図書で読みかたや綴りを確認し直したり、同名異人・異名同人が混在していないか改めて調査したり…数年間にわたる地道な作業です。 (ちなみにこの頃よく使われていた「名寄せ」という言葉、てっきりデータ部用語だと思いこんでおり、この言葉が約15年後TVのニュースから聞こえてきたときはちょっとビックリしました)
そして1994年。典拠ファイルのご提供を開始しました。
ひきつづき冊子を使いたい図書館もいらっしゃいますから、1991年には冊子の典拠録の新版も刊行しています。このクリスマスカラーの典拠録です。
※右が新しくできた典拠録,左は旧版です(内部作業で酷使されているため背の文字が消えかかっています)
表紙の色をどうするか?「ほかの参考図書とかぶらない色にしたい」「東洋人と西洋人の巻が一目でわかるようにしたい」「せっかくだから華やかな色にしたい」などいろんな意見が出て、そのころ大ベストセラーになっていた名作小説と、期せずして同じ色になりました。(この色合わせは当時ホントに流行していました)