今年の夏ごろ、こんな本が出てました。
「僕は、亀治郎でした。」四代目市川猿之助著
タイトルに「~でした。」とあるように、6月に4代目市川猿之助を襲名したばかりの元・2代目市川亀治郎さんの著作です。旧名で本は出されていましたが、襲名後としての著作はこれが初めて。早速、典拠ファイルを作成したのですが、ここで、重要なのは○代目という部分。人物を特定するために世系情報は欠かせません。
標目限定語・世系関連過去記事はこちら→①②③④⑤
TRCの典拠ファイル上では、「市川/猿之助(2代目)」「「市川/猿之助(3代目)」に続く「市川/猿之助(4代目)」となりました。(「市川/亀治郎(2代目)」の典拠ファイルとは相互参照)
世系情報を付記する上では、通常、初出図書だけでなく、参考資料・DB、公式・本人等のHPも確認しているのですが、古典芸能人物の場合は、以下の資料も参考にしています。
「日本芸能人名事典」
「芸能人物事典」
(下記は典拠部署の棚の写真。画像中央の2冊です)
調査対象のジャンルによって、調査する資料もさまざま。そのため、典拠部署では多種多様な参考資料を準備して効率的に作業できるようにしています。
いきなりですが、ここでクイズ。
Q: TRC典拠データベースにおいて、○代目という世系が付記されている日本人のうち、○の数字が一番大きいのは誰でしょうか?
A: 梅若六郎(56代目) でした!
梅若六郎は能役者。能楽シテ方観世流梅若家当主名のひとつです。(参考:日本芸能人名事典(三省堂))
とはいっても、実際に著者データとして56人いるわけではなく、現在登録されているのは、55代目と56代目のみ。
ちなみに、「○代目」で登録されている人数が多い名前として「千/宗室」(4~16代目まで合計13人)等があります。