神男女狂鬼
典拠・望月です。
2月の雑記のテーマは「鬼」。
毎年当日になって豆まき用の豆を用意しようとして、「売り切れ...」とがっくりしていたわたしですが、今年は"いつもより1日早い節分"が話題になっていたおかげで、はやめに豆を確保することができました。ちゃんと厄払いできたかしらん。
さてタイトル。「神男女狂鬼」とは何かといいますと、日本の伝統芸能のひとつである「能」に関連することばです。
1回の能の公演の上演形態は、現在では「能2番あいまに狂言1番」とか「狂言1番のあとに能1番」とかいった構成が一般的です。上演時間2~3時間といったところでしょうか。
しかし、江戸時代は能を1日に5番(あいまに狂言)上演していたそうで、その順番をあらわすのが「神男女狂鬼」なのです。
神(初番目物):神仏が主役。おめでたい。
男(二番目物):武将が主役。きほん負け戦だが勝つものもある。
女(三番目物):女性が主役。たおやか。
狂(四番目物):いろいろ。物狂いのものと、ほかの4つに分けられないものがここ。別名:雑能
鬼(五番目物):鬼をはじめ、人間でないものが主役。派手。
ざっくりかつ独断で解説してみました。
「鬼」は長い上演のラスト演目。妖怪があばれたり、怨霊が襲ってきたり、鬼を退治をしたり、アクション成分多めです。集中力も切れてくるころだから派手なのか、派手だからラストに演じられるようになったのか。「紅葉狩」のように、前シテは美しい女人、後シテは女人に化けていた鬼、みたいに見た目がガラッと変わる楽しさもあったり。能を初めて観るなら「鬼」、なんておすすめもできそうです。