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2021年10月 アーカイブ

2021年10月29日

ページ付いろいろ

TRC MARCはデータ作成時、メジャーを使用して本の高さを測ります。選書の際、書架に入るかどうかはこのサイズから把握できますが、厚みに関してはページ付からだいたい推測することができます。

ページ付の種類は実に様々です。
シンプルに1種のみの場合も、ページによって振られていたりいなかったり、デザイン性が高すぎて探すのに苦労することもしばしば。
図書によってはページ付そのものがないものもあります。アート本など、ページ全体に写真や絵が広がるタイプに多く見受けられる印象です。図書中のどこにもページ番号がない場合は、「1冊(ページ付なし)」として入力しています。

似たような形に「1冊」もあります。
本文のページ付が複数種あれば〈16,202,30p〉といった具合に「,」で区切って入力しますが、これが4種類以上あり煩雑な場合、もしくはノンブルのない本文が図書の1/4以上あり、その数ではあまり意味を成さない場合は「1冊」とします。

本文の核心的な内容にふれた文章がある場合は、前付のように見えても本文として扱います。〈10,215p〉といった形で表すため、1万ページ!?とびっくりしてしまいそうですが、本文が2種類あることを示しています。ご安心ください。

2021年10月28日

エーゲ海の島の人

10月の木曜日は「思い出の一枚~美術編~」というテーマで、芸術の秋にちなんでアート作品についての話題をお届けします。
先週の記事に登場した徳島県の大塚国際美術館に行ったことがあります。実物大のシスティナ礼拝堂のレプリカ、鮮やかなものでした。おすすめします。

 ◆

紀元前3000年~2000年ころ、新石器時代でしょうか、エーゲ海キクラデス諸島のある島の人は、狩りや漁のあいまに、やわらかな白い石で小さな像をこしらえました。背もたれのない椅子に、ちょこんと腰かけ、右手にコップを持ち左の手は右ひじに軽く添えています。顔を少し上向きにして、ちょっと考えごとでもしているようです。
白い石をなめらかに削って仕上げたこの像を、家に飾ったのか、だれかに捧げたのか、あるいは子供に与えたのか。これを作った人、これを喜んだ人のことを自然と想像してしまう小像です。

鼻筋は見えますが、目や口はないというプリミティブな造形が、ミニマルな現代アートのようにも見えてしまう。洗練された雰囲気です。「cycladic art cup bearer」で検索すると、画像がみつかります。シンプルで品よく、愛らしい。
キクラデス諸島といえば、ミロのヴィーナスが出土しています。ヴィーナスのざっと2000年前はこんなアートがあったのでした。

おそらく初めて上野の西洋美術館へ行ったときに見たものです。当時小学5年生。大昔のギリシャの人が作ったのだということくらいしか理解できませんでした。でも、遠い昔の遠い場所の人がつくったものに、懐かしい親しみを感じたのです。
コップの飲み物を飲んで、一息つくような生活があり、それを形にして楽しむ余裕、つまり文化があったのかと。小さな像を介して、4000年前の人に「出会った」経験でした。図録は実家にまだあるはず、TRCマークにもあります。

ギリシャ美術の源流
-エーゲ海キュクラデス諸島出土 グーランドリス・コレクション-
国立西洋美術 監修

もう一度、見たい...いや、会いたい。ギリシャに行かないとだめかな。

2021年10月27日

きょうのデータ部☆(10/27)

データ部は2・3階にあるので、ほとんどの場合は階段移動です。
なんとなしに畏縮していた社会人1年目の頃は「いつかエレベーターに気軽にのってみたいなぁ」なんてことを考えていましたが......いまでは業務で別フロアに行く必要があるため、日々あたりまえ(?)のように使っています。
 
そんな弊社のエレベーターがこちら。
 
1027.jpg
 
しろい。

2021年10月26日

境目をさがす

本日は「週刊新刊全点案内」2231号の発行日です。
掲載件数は1083件でした。

*こんな本がありました*
「RE−END 死から問うテクノロジーと社会」

塚田有那(編著)/ 高橋ミレイ(編著)/ HITE−Media(編著)
ビー・エヌ・エヌ(2021.10)

先日見たドラマ(「相棒」です)に、殺人事件の被害者となったIT長者が自らの作り出した仮想空間世界ではまだ生きていて、かれが事件解決のカギを握っているのでは(次回へ続く)...というような話が出てきました。

ごく素朴に考えると人の死は肉体の死なのでしょうが、自分の場合はともかくとして、自分ではない誰かだとそこまで簡単に言い切れません。
ドラマの設定は極端にしても、テクノロジーによって人と人の距離感が変化してきた状況では、なおさら生と死の境はあいまいになるように思います。
今わたしが見ているSNSの発信は、もう亡くなった誰かの名のもとにbotが作り出しているのかもしれません。
往年の名歌手をAIで再現して歌を歌わせる、というのもありましたが、あの歌はいったい誰の歌なのか、...若干心もとない気分になりますが、興味が尽きない話題でもあります。

こちらの本では民俗学から情報社会学、人工知能研究といった多様な著者の論考を収録し、テクノロジーと社会の変容を「死」という視点から考察しています。

2021年10月25日

今年もやります!狼煙上げ!(図書館総合展)

広報部 ZENです。
このブログをご覧の皆さまにとっては、もうすっかりおなじみでありましょうが、改めてご紹介させていただきます。
【図書館総合展2021_ONLINE_plus】が、2021年11月1日(月)~11月30日(火)の1ヶ月間、開催されます!「ハイブリッド形式」と称してリアルな小会場群(サテライト会場)を一部に設けるそうですが、TRCはオンラインのみの出展になります。今年のテーマは「"これからの図書館を考える"」。フォーラムは、5~7本(※TRC-ADEAC含む)となる予定です。
そうそう、TRCの関連会社・図書館総合研究所が、なにやらビッグなプロジェクトを企てているようです。なんでも、「総合展は狼煙上げのタイミングにすぎない」のだとか!これは期待せざるを得ないですね。しかもビッグなのに2企画もあるそうですよ!
詳しくはTRCの出展ページおよびTRC HPでお知らせして参りますので、ぜひぜひチェック&ご視聴をお願いいたします♪
  
さてここからはワタクシの独り言です。


昨年初めてオンライン形式となり、暗中模索でありながら、各コンテンツをなんとか世に送り出しました。ほぼ社内向けアカウントだったYouTubeチャンネルを本格的に稼働させ始め、取材に飛び回り後戻りができなくなったり、"バーチャル図書館"を作ってみたり。バーチャル図書館は、図書館総合展が初お披露目の場となりましたが、お蔭様で多くの方々にご覧いただけました(バーチャル図書館はこちら/誕生秘話はこちら/TRCチャンネルはこちら)。

そして本日、気付けば10月も最終週。いよいよ開幕が1週間後に迫って参りました。・・・そう、文字通り、社内事務局のワタクシのすぐ足元にまで迫ってきております。水面下で鋭意準備進行中!でございますので、情報解禁をお待ちくださいませ。11月の本番をどうぞお楽しみに♪

そうそう。そういえば、オンラインに移行した昨年から「第〇〇回」という冠表現がひっそりと無くなってしまいました(完全に消えたのは今年からのようです)。なんとなく寂しい気持ちにもなりますが、"これからの図書館"を考えるにあたっては、後押しされている気分にもなります。どうか今後とも、応援のほどよろしくお願いいたします。

2021年10月21日

フレスコ画

10月の雑記テーマは「思い出の1枚~美術編~」です。

こどものころ、毎年楽しみに観ていたテレビ番組がありました。
ヴァチカンにあるシスティーナ礼拝堂の、天井・壁面のフレスコ画の修復の様子を紹介したドキュメンタリー番組です。
1984年から2004年までの文化の日に、日本テレビ系列で放送されていました。

1980年から行われたシスティーナ礼拝堂のこの修復は、近年では一番の大規模なもので、1999年の12月に完了します。
私が観ていたのは、たぶん前半のほう。緻密な作業と、鮮やかな色に蘇ったフレスコ画の美しさに、感動していました。

当時はただひたすら「すごい」「きれい」としか思っていませんでしたが、修復作業とその結果については、現在でも賛否両論があるようですね。
「大人になったら絶対にシスティーナ礼拝堂を見に行こう」とも思っていたのですが、もうずいぶんな大人になった今も、まだ行けていません。

徳島県の大塚国際美術館には、陶板画で再現されたシスティーナ礼拝堂があるそうなので、そちらにも行ってみたいです。

2021年10月22日

今日は何の日~アニメの日~

日本には実にさまざまな「○○の日」があります。

今日が何の日なのかを調べ、それに関するいろいろを
紹介してしまおうというこの企画(不定期掲載)、
本日は第21回目です。

10月22日は「アニメの日」です。
なぜこの日が「アニメの日」なのかというと、1958年の10月22日に日本初の総天然色長編漫画映画『白蛇伝』が公開されたからだそうです。
わたし自身は観たことがないのですが、宮崎駿など、その後の日本アニメに大きな影響を与えた作品だったとか。

わたしの一番古いアニメの記憶は「アイスラッガー」という作品です。
内容や登場人物は全く覚えていませんでしたが、主題歌だけはうっすら記憶に残っていました。
どんなアニメだったのか気になってネットで調べたら、全く情報が出てこない。
あれ?と思い、改めて主題歌に出てくる「氷河の戦士」で調べたら、「アイスラッガー」ではなくて、なんと「ガイスラッガー」だったことが判明。なんですとー!
氷河だったら普通「アイス」じゃないですか!?ウン十年間ずっと「アイスラッガー」だと思って生きてきましたよ。
しかし、よく考えたら主題歌にも「ガイ、ガイ、ガイ~」という歌詞がありました。「ガイスラッガー」だったからか...脱力。

日本のアニメを考察したこんな本もあります。

ジャパニメーションの成熟と喪失」

杉田俊介(著)
大月書店(2021.8)

2021年10月20日

きょうのデータ部☆(10/20)

今日は涼やかな秋の空を。
 
9階(電算室)の窓から見渡す光景は、2階(データ部)の窓とは全く違う景色。
 
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天高く映える青、グラデーションがかわいい。
緑の木々はこれから赤や黄へと移ろうのでしょうか、季節が深まるのが楽しみです。

2021年10月18日

ADEAC2021秋の公開情報その2

皆様こんにちは。AS(学術情報ソリューション)の入江です。
前回に続き7月以降に更新されたデジタルアーカイブをご紹介します。

◇『多摩市立図書館/多摩市デジタルアーカイブ』(7月20日追加公開)
以前にもご紹介した「調布玉川惣画図」と縄文土器のページに動画コンテンツが追加されました。
「調布玉川惣画図」のページでは、充実した解説と一緒に絵図の中を旅できる「「調布玉川惣画図」をたどる」と、絵図の作者に関して詳しく学べる「作者相沢伴主・長谷川雪堤」の2つの動画が追加されました。
縄文土器のページでは、現在掲載されている土器5点それぞれに解説動画がつきました。
解説動画をご覧いただくことで、普通に見ているとなかなか気づかない見どころを知ることができます。
すでにこれらの資料をご覧になったことのある方も、動画と合わせてご覧いただくことで新しい魅力を見つけていただけるかもしれません。

◇『酒田市立図書館/光丘文庫デジタルアーカイブ』(10月1日追加公開)
今回の更新で県指定文化財の『保定記』、『印旛沼登道記・詰中・下道中日記』、『続保定記』が追加公開されました。
天保11年(1840)の三方領地替えや、庄内藩の農民が動員された千葉県の印旛沼開削工事、庄内大山騒動等に関する記録がまとめられた貴重な資料です。全ページを原文画像と翻刻文で重ね表示してご覧いただけます。
他にも大正から昭和期にかけての酒田市街を描いた古地図などの資料が追加されて、酒田の歴史をたどるための資料がどんどん充実してきています。


さて、ここまでご紹介したように多くのデジタルアーカイブで日々資料が追加されていますが、一方で掲載されたデータを活用しようという機運も高まっています。

7/24(土)にはデジタルアーカイブに掲載されている多様な資料を用いて学校教育の現場で用いる教材をつくるワークショップが行われました。
現在その成果物が下記のページで公開されていますので、こちらもぜひご覧ください。
https://trc-adeac.trc.co.jp/Html/Home/9900000010/topg/SxUKILAM/index.html

11/6(土)には上記のワークショップの第2回が図書館総合展フォーラムの1つとして開催される予定です。
どなたでもZOOMで視聴参加が可能ですので、詳細をご覧になりたい方はこちらをご覧ください
https://wtmla-adeac-r.com/

2021年10月15日

フロンティア?~分類・件名のおはなし・115~

分類表というものは普段、最初から最後まで読み通すような性質のものではありませんが、たまにぱらぱらと順にめくっていると「こんな項目がたっていたのか」という発見もあり面白く、頭の片隅にとどめておくと(たまに)分類付与や書誌検索に役立つことがあります。

そんなわけで、今回はおなじみの分類のすぐ横でひっそりと存在している分類記号を探しにいきたいと思います。
もし「日本十進分類法」(NDC)が近くにあるようでしたら、ぜひ一緒にご覧ください。

「290 地理.地誌.紀行」の下、といえば、旅行ガイドブック、紀行文などでおなじみの分類です。2021年10月現在のTRCMARCで29△の分類を付与している件数は15万超。昨年一年に作成したMARCだけでも3000件を超えています。
さて、NDC10版で290の下をみていくと、「291 日本」...「296 南アメリカ」、「297 オセアニア.両極地方」といきまして、298は欠番、その後に

「299 海洋」

があります。TRCMARC で299以下に分類しているのは現在175件。航海誌などがおさめられています。個人的には年に一回くらい「知っていてよかった」となる項目です。
もうこのあたりでだいぶ"通"な感じの分類になってきましたがさらに先にいってみましょう。
「299.1 太平洋」...「299.62 チレニア海」(恥ずかしながらどこか分からないので後で調べます)...「299.8 南極海」ときて


「299.9 地球以外の世界」!!


29△の最後にひっそりとありますが、知る人ぞ知るNDC屈指のびっくり項目といえましょう。
1969年の人類初の月面着陸などを反映してでしょうか、1978年刊行のNDC8版からすでにある項目です。ですが、残念ながら、というか当然ながら、実績は0件。
NDC10版が刊行された時にも「今回もちゃんとある!」と少し嬉しくなりつつも、正直「付与することはなさそう」と思っていました。
しかしながら、先日ニュースを見て「ついに、あの分類を知っていて役に立つ日がくるのでは?」という期待が。
先月、2021年9月に初の民間人だけの宇宙旅行が成功したとのこと。高度585キロの軌道の地球周回旅行だそうですので「地球以外の世界」とは言わないのかもしれませんし、民間の宇宙旅行体験記でも当面は538.9の宇宙開発の下に分類するのがよさそうですが、今後、民間の宇宙旅行の目的地が広がり、体験者も増えていけばあるいは...?

2021年10月14日

時を超えて

こんにちは。典拠・望月です。
10月の雑記テーマは、芸術の秋にちなんで「思い出の1枚~美術編~」です。

私も計画を立てずにふらりと美術館や博物館に出掛ける派なのですが、去年訪れた美術館の展示で印象的なことがありました。それは「1930年代の東京」をテーマとした展覧会でのこと。

昭和初期の東京の大発展を取り上げる導入として、大正末期の出来事、関東大震災による甚大な被害を描いた作品群が展示してあったのですが、その中に直後の東京の街中のスケッチがありました。

ざらっとした画用紙に、鉛筆(?)でささっと描いたような絵。壊れた建物と街中を行きかう人々がラフに描かれていて。リアルという訳では全然ないのに、絵に切り取られた一瞬がなんだか生々しく感じられたのが不思議でした。描き手である画家が、その場で見て感じたものが絵になり、その絵を見た私にまで伝わってきたといえばいいか。このころの絵は、メディアでもあったのだなあと、改めて思いました。絵の力ってすごい。

ところで、これはほんっとうに偶然なのですが。
スケッチを描いた画家の人、私はてっきり無名の人かと思い込んでいましたが、調べてみたらよく知られた人でした。柳瀬正夢さん。画家かつ漫画家で、政治漫画や風刺画などの分野で活躍したそうです。
さらに調べてみると、東京都現代美術館美術図書館に「柳瀬文庫」というコレクションが存在しており、関連資料がデジタルアーカイブで公開されていると判明。これはすごいっとクリックして開いてみたらなんと、デジタルアーカイブシステムADEACが手掛けていたものでした。

柳瀬正夢 関連資料
私が見たスケッチブックも(たぶん)こちらで公開されています。
ぜひご覧になって、時を超えて伝わる景色を楽しんでみてください!

※スケッチブックの26、27、28が関東大震災後の東京を描いたときのもの。

2021年10月19日

チャンス?

本日は「週刊新刊全点案内」2230号の発行日です。
掲載件数は1019件でした。


*こんな本がありました*

「大西泰斗のそれわ英語ぢゃないだらふ」

大西泰斗(著)
幻冬舎(2021.10)


タイトルのパンチがすごい。
ブログ執筆用の本を探していたところ、いつの間にか手に取っていました。
ちなみにMARCのタイトルヨミは「オオニシ/ヒロト/ノ/ソレ/ワ/エイゴ/ジャ/ナイ/ダロウ」です。


「日本人は英語が話せない」。よく耳にする問題ですが、その原因は一体なんなのでしょう?解決策はあるのでしょうか?

本書では、日本人が英語を話せない原因を「訳読を偏重する歴史的・文化的なクセ」と「訳読に特化した英文法」であると論じます。そこから脱却し、学習の中心をシフトしていけば必ず英語を話せるようになる、とのこと。

英語教育の問題点とは?新しい学習方法ってなんだろう?と本書をめくっているうちに、だんだん英語を勉強したくなってきました。
しっかり英語を学ぶ機会は、学生時代に比べ格段に減りました。
語学に意識が向いた今こそチャンスなのでは...?


さて、このモチベーションをいつまで維持できるか。
私にとってはこれも問題です。

2021年10月11日

ADEAC2021秋の公開情報その1

皆様こんにちは。AS(学術情報ソリューション)の入江です。
今週と来週月曜日の2回にかけて、デジタルアーカイブシステムADEACで7~10月に公開・更新された機関をご紹介します。
今回は九州地方の新規・更新デジタルアーカイブに焦点を当てていきます。

◇『田川市立図書館/筑豊・田川デジタルアーカイブ』(7月16日追加公開)
今回の更新で新たに「田川地方の巡礼文化」というコンテンツが追加されました。
霊峰・英彦山を擁する田川地域では昔から民衆の間で巡礼文化が盛んでした。
このコンテンツでは巡拝ルートを記録したマップや札所のデータを収集・公開しています。

◇『八代市立図書館/デジタルライブラリ』(8月23日新規公開)
熊本県南部に位置する八代市の自然や文化を紹介するデジタルアーカイブです。
公開コンテンツの第一弾として、豊かで多様な自然環境に恵まれた八代市に生息する「八代の植物」の特集ページをご覧いただけます。
美しい植物の魅力を切り取った写真はもちろん、充実した解説にも引き込まれます。

◇『大牟田市立図書館 大牟田市立三池カルタ・歴史資料館/大牟田市三池炭鉱歴史資料デジタルアーカイブ』(10月1日追加公開)
炭鉱の街・大牟田市の歴史を語るうえで欠かせない、三池炭鉱に関する資料を大量に追加搭載してリニューアルしました。
三池炭鉱はかつて日本一の出炭量を誇って日本の近代化を支え、戦後日本における最大規模の労使紛争「三池争議」の舞台ともなりました。
このアーカイブでは「三池争議」関係資料や、三池炭鉱社創業満50年を期に編纂された社史『三井鉱山五十年史稿』、三池炭鉱に関わる地図・絵はがきなど、貴重なコレクションを公開しています。
なお、一部のコンテンツについてプライバシー保護の観点から閲覧に制限が生じています。
利用を希望される方はお問い合わせが必要となります。

2021年10月12日

動作いまむかし

今日は「週刊新刊全点案内」2229号の発行日です。
掲載件数は1126件でした。

*こんな本がありました*

「絶滅危惧動作図鑑」

藪本 晶子(著)
祥伝社(2021.10)


タイトルを見て「絶滅した動物同士を戦わせたらどっちが勝つか?」という児童書を連想しましたが、よく見ると違います。「絶滅危惧」の「動作」の「図鑑」でした。これが昭和に子ども時代をガッツリ過ごした私には懐かしいものばかり。


「牛乳瓶を開ける」
小・中学校の給食は瓶の牛乳で、給食当番の時、二人一組でも運ぶの重かった! たまに割ってしまうとガラスは危ないし、拭いても牛乳の匂いはなかなか取れなかった気がする。爪噛み癖のある男子は紙のフタが開けられなくて、いつも誰かに頼んでたな。


「黒電話」
もう現役では使われていないのでしょうか?今となっては掛け方も面白いですよね。手書きの住所録がセットのように近くに置かれ、電話にかけるカバーというものもありました。思春期には友達との話を親に聞かれたくなくて、コードを最大限伸ばして電話を持って移動したりもしていました。


「障子を破る」
これも張り替えタイミングになると母親に「びりびりにしていいよ」と言われ、いつもはいけないことを堂々とできる嬉しさにパンチをしまくったことがあったような。大人になって住んだマンションに障子がありましたが、木目模様の鉄製の枠に、ほぼビニールとみられる白いシートが貼ってあり、とても驚きました。


あれもこれも絶滅危惧なのか!と驚くと同時に、楽しく懐かしく思い出すことがたくさんあります。
自分の親世代と話しても、子ども世代と話しても、話したいことがたくさん出てくるかもしれません。

2021年10月 7日

風船画伯

しばらく暑さと涼しさが行ったり来たり...という日々でしたが、数日前にふと金木犀の香りがしてきて秋だなぁと実感しました。10月の木曜日は「思い出の一枚~美術編~」というテーマで、芸術の秋にちなんでアート作品(図画工作含む)についての話題でお届けします。

休日にふらりと展覧会に行くのはわりと好きで、行くとなにかしらグッズも買ってしまうのですが、カタログまでは買わずに済ませることが多いです。(お値段がそれなりにするのと、家の本棚にスペースがないため...)
なので、カタログを持っているものはその当時とりわけ気に入った展覧会であった。と言えます。どんなものがあったっけ?と見直してみたら懐かしいカタログが。


『谷中安規の夢-シネマとカフェと怪奇のまぼろし-』
このカタログにはMARCもあって、注記に「会期・会場:2003年12月9日-2004年2月1日ほか 渋谷区立松濤美術館ほか 主催:渋谷区立松濤美術館ほか」とあります。
そうか、そんなに前か...


谷中安規は、幻想と怪奇の版画家などとも呼ばれ、デカダンで映画的な独特の雰囲気のある作品を残しています。私は内田百閒のエッセイで知りました。百閒先生が「風船画伯」と呼んでかわいがり、百閒著の『王様の背中』や『居候匆々』では挿絵も担当しています。
『王様の背中』の方が挿絵満載で豪華なのですが、個人的には『居候匆々』の挿絵がとても好きです。『居候匆々』は新聞連載小説ですが、話の展開、というか、連載なので(予想通り)どんどん〆切に追いまくられる百閒先生と風船画伯の版画との掛け合いのような相乗効果が面白く、そして最後には予想外のメタ展開が...!
カタログに続いて久しぶりに文庫本を引っ張り出して読みふけってしまいました。やっぱり牛鍋の絵(版画)がとてもかわいい。

2021年10月 6日

きょうのデータ部☆(10/6)

今年の秋はあたたかいですね。
今日の最高気温は28度だそう......!
わたしもそうですが、部内には軽やかな服装の方が多いです。


555.jpg


今回は通勤路に咲く花を。
調べてみたら、このこはゼフィランサスというそうです。
6枚の花びらがピンととがってかわいらしい。

2021年10月 8日

同姓同名はうれしい?~典拠のはなし~

今回の典拠のはなしは、典拠ファイルの機能のひとつである「同姓同名の区別」に関する最近のトピックスをご紹介します。


個人名典拠ファイルで同姓同名の多い名前は、田中実(タナカ,ミノル)、鈴木博(スズキ,ヒロシ)です。ずっとそう思っていました。しかし、ふとしたことがきっかけで検索し直してみると典拠班の定説に異変が!


★個人名典拠ファイル 同姓同名ランキング2021年版(2021年10月8日現在)
1位 高橋徹(タカハシ,トオル)38件 ←new!
2位 田中実(タナカ,ミノル)35件
3位 鈴木博(スズキ,ヒロシ)32件


なんと、高橋徹が田中、鈴木両氏をおさえてトップに躍り出ているではありませんか!
不動の両巨頭と思われた田中実、鈴木博でしたが、2011年頃から作成件数が少なくなり、逆に、高橋徹は毎年着々と新規の著者が出現しファイルが作成されていたのでした。


一般的に自分と同姓同名の人と出会うと、その偶然の一致の不思議さに、驚きとうれしさを感じる方が多いようです。
先日もそのようなニュースを見かけ、ふと思い出した典拠ファイルがあります。


同姓同名というだけでなく、活動した時代、専門とした分野がまったく同じというものです。

伊藤/武雄(イトウ,タケオ)の個人名典拠ファイルは現在9件。そのうち2件が今回取り上げるこちら↓(はなしの便宜上【A】【B】としています)


【A】
110000100640000 伊藤/武雄 イトウ,タケオ
1895~1971 独文学者,四高,金沢大,桃山学院大・教授,専:19世紀文学

【B】
110007848740000 伊藤/武雄 イトウ,タケオ
1909~1977 独文学者,名古屋大・名誉教授,名城大・教授,元・八高・教授


似ている!
伊藤武雄名義で、著者紹介がないドイツ文学の本が出たら、どちらを選んだらいいんだ!?(または、この二人とは別人の新規の同姓同名の著者の可能性もありますね)


事の発端は、1895~1971の伊藤武雄(【A】)に別のドイツ文学者の伊藤武雄のMARCが間違ってリンクされているのではないか?というご指摘でした。図書および人名辞典を調査した結果、【B】の伊藤武雄の存在を確認。新規で【B】の典拠ファイルを作成し、MARCを【A】から【B】にリンクし直すメンテナンスをしたという経緯があります。


調査の途中で発覚し驚いたことには、
「シュトルム選集 第7巻」清和書院 1959年刊(TRC MARC No.93211844)
この本の中で、【A】【B】両方の伊藤武雄さんが翻訳に携わっているという!
なんてことだ!
 「桶屋のバッシュ」という作品は【B】の伊藤武雄の翻訳
 「ハーデルスレーフフースの祭」は【A】の伊藤武雄の翻訳


Wikipedia伊藤武雄の項に、このおふたりを含めた伊藤武雄さん5人がにこやかに同じ写真に並んでいます。みなさん、同姓同名のお互いを認識していて、この偶然を楽しんでいた様子。なんだか微笑ましい。


でも、区別がたいへん!
こんなときにお役に立てるのが典拠ファイル。
同時代同ジャンルの伊藤武雄も、38人の高橋徹も区別して、それぞれの著書を一覧することが可能です。

2021年10月 5日

写真の力

本日は「週刊新刊全点案内」2228号の発行日です。
掲載件数は1028件でした。今月の表紙はこちら。
p20211005.jpg

秋らしい休日の午後(午前中に掃除やあれこれ雑用を済ませて!)
家の2階の窓辺に寝転んで本を読んでみたり・・・
それからちょっとウトウト昼寝して
目が覚めると、視線の先の窓。雲と一緒に空が流れて行く~
穏やかな風が開け放った窓から心地よく流れ込んで来る。
そろそろ下に降りてお茶でもしようか・・・!
(Juri)

屋根にとまる青い鳥がかわいい。

*こんな本がありました*
「日本オリンピック委員会公式写真集 東京オリンピック日本代表選手団 」

日本オリンピック委員会(企画・監修)
アフロ ポプラ社(発売)(2021.10)

個人的な話ですが、自宅にテレビを置いていないためTOKYO2020をビジュアル的には全く享受しませんでした。(TOKYO2020を、と書きましたが、今回大会に限った話ではなくここ数年は常にです。)

会社でこの本を見かけ、何の気なく開いて圧倒されました。
迫力のある写真の数々。アスリートのみなさまさすがに美しい。

リアルタイムで見ていた方ならその時を、自分の状況や感情も含め思い出せるでしょうし、今この時代を全く知らない後世の人もその時の空気を感じられるでしょう。
やっぱり写真ってすごいなぁと改めて感じました。

2021年10月 2日

台風、来ないで...~新設件名のお知らせ2021年9月分~

明日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名のお知らせ」を掲載しています。
新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。

2021年9月は2件の件名を新設しました。
「東日本台風(2019)」と「房総半島台風(2019)」、いずれも台風の名称です。

災害名については「気象庁が名称を定める顕著な災害、および歴史上の著名な災害」を件名として採用するという基準を設けていて、台風の名称のほかにも大雨による災害なども件名としています。2017年の九州北部豪雨、2018年の西日本豪雨、そして2020年の熊本豪雨もそれぞれ西暦年を付記して「九州北部豪雨(2017)」「西日本豪雨(2018)」「熊本豪雨(2020)」という件名標目となっており、ここ数年、日本は毎年大きな気象災害に見舞われてしまっていることがわかります。

台風シーズン真っ只中の今。今年は件名標目になるような台風に襲われないことを祈るばかりです。

2021年10月 1日

訳者から本を探したい! ~TOOLiで探そうQ&A~

Q. 村上春樹が翻訳した本が読みたい!

A. TOOLiの著者名検索を「典拠OFF」でご利用ください。

TOOLiの著者名検索は「典拠ファイル」とリンクしています。
デフォルトでONになっているこちらの機能は、検索時に典拠ファイルを経由することで同姓同名を区別したり、別のペンネームで書いている図書をまとめて検索したりすることができます。(詳しくはこちら

しかし村上春樹が翻訳した本を探しているとき、典拠ファイルを使って検索すると村上春樹の作品が全て出てきてしまいます。その中から翻訳本を見つけるのは一苦労。

そんなときは、「典拠OFF」で検索しましょう。
TOOLiの著者名検索は、典拠OFFで使うと「著述区分」も一緒に検索することができるのです。

著述区分とは、責任表示の役割を示す言葉です。
著者なら「著」、編者なら「編」、翻訳者なら「訳」という著述区分を責任表示と一緒に記録しています。

例えば、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」のMARCには下記のように責任表示が記録されています。
251F01 J.D.サリンジャー∥著
251F02 村上春樹∥訳

この著述区分を検索に利用します。
著者名検索欄に、「村上春樹訳」と著述区分の「訳」まで含む形で入力し、「典拠OFF」に変更して検索すると、村上春樹が翻訳した本のみを検索することが可能です!
翻訳者には「監訳」「編訳」などのバリエーションがありますので、こちらも併せて検索することをおすすめします。
(翻訳とあるときは「訳」に統一していますので、「村上春樹翻訳」は検索語とする必要はありません)

2024年7月

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