必殺仕事人
~ チェック その2 ~
校正作業は「チェック」と呼ばれます。
単純な本だと1回で終了ですが、ものによってはさらにもう1回、別の担当者による「2回目チェック」が入ることも。
チェックを主に担当しているのは、約12人。
念には念を入れて確認を繰り返し、ミスのない完璧なMARCをめざします。
「武器は赤ペン」の仕事人たち。(←気分は職人)
~ チェック その2 ~
校正作業は「チェック」と呼ばれます。
単純な本だと1回で終了ですが、ものによってはさらにもう1回、別の担当者による「2回目チェック」が入ることも。
チェックを主に担当しているのは、約12人。
念には念を入れて確認を繰り返し、ミスのない完璧なMARCをめざします。
「武器は赤ペン」の仕事人たち。(←気分は職人)
のんびり続いているこのレポートも、今週から後半戦に突入。
入力が終わったMARCのその後のお話が始まります。
~ チェック その1 ~
MARC作りの第2工程は、入力された情報の校正作業です。
入力者とは別の担当が、プリントアウトされた用紙と本とを見比べて、間違いはないか・余分な情報が入っていないか・必要な情報が漏れていないかを、赤ペン片手に入念に調べていきます。
赤ペン、メジャーなど、校正作業に必須の道具たち。
(地味だな…「七つ」もないし…)
1518号には、いま超話題のあの人の本が掲載されています。しかも2冊。
データ部としても心待ちにしていた人物の登場に、(一部)とても盛り上がりました。
その人物とは、宮崎県知事の東国原英夫さん。
以前、そのまんま東というお名前でタレント活動をされていました。
東国原英夫という本名で県知事としての活動を行うと知ったとき、ひそかに思ったものです。
「いつかきっと、本名で書いた本を出すに違いない…」
東国原知事は、そのまんま東名義で書いた本が12件あります。(文庫版、新装版も含む)
初めて書いたのが「ビートたけし殺人事件」ですので、そのときに「そのまんま東」を統一標目にしたファイルを作成しました。
11000056284-0000 そのまんま東 ソノマンマ ヒガシ
今回、「宮崎で生まれた改革の波は、そのまんま~東へ!」および「宮崎発日本を変えんといかん」には、しっかり東国原英夫著と書いてありました。本名で出した初めての本、となるので新たにファイルを作成します。
11000497462-0000 東国原/英夫 ヒガシコクバル,ヒデオ
そしてこの2つのファイルを相互に参照させるのです。(参考:「人名典拠」第5回)
そう、東国原知事は、相互参照のいま一番ホットな例として待ち望まれていたのでした。
この2冊の本、なんとなく似たかんじのタイトルがついていますが、よく見ると異なる分類・件名が付与されています。
「宮崎で生まれた改革の波は、そのまんま~東へ!」は分類:779.9、件名:そのまんま東
「宮崎発日本を変えんといかん」は分類:318.296、件名:宮崎県-政治・行政、件名:東国原/英夫
(分類:779.9はテレビタレントの項目、分類:318.296は宮崎県の行政に関する項目)
これはいったいどうしてなのでしょう。
分類/件名の部署のメンバーに聞いてみました。
「ああ、これはですね、本の中身が違うからこうなったんですよ」
本の中身の違い、ですか。
「はい。最初の「宮崎で生まれた改革~」はタレント時代の話が2/3以上を占めていました。だから分類:779.9に、次の「宮崎発日本を~」は県知事になってからの話がメインだったので、分類:318.296にしました。それぞれ主題が異なると判断したので分類・件名も違うものになったのです」
なるほど。その本に何が書かれているか、1冊1冊確認して分類・件名を付与しているんですね!
おまけ。
近所のスーパーの九州フェアで売っていた宮崎名物「冷や汁」のパッケージ。こんなところにまで登場するなんて、さすがです。頭が光ってます。
夏になったら食べようっと。
本日、「週刊新刊全点案内」1518号を発行しました。
掲載件数は1414件です。
そして「月刊新着AV案内no.13(4月号)」も発行しました。
掲載予定は1004件。内訳はDVD:297点、ビデオ:33点、CD:667点、カセットテープ:7点です。
さて「週刊新刊全点案内」も「月刊新着AV案内」も、誌面の編集までデータ部がやっています。これ、すごくないですか?
中身のMARCは作るけど、それをカタログにするのは印刷屋さんでしょ、と思っていた私は、初めて知った時とても驚きました。(あれ、私だけ?)
印刷屋さんにデータを渡すと、当然もう直せません。やっと作業が終わったのは嬉しいけど、なにかとんでもない間違いを犯しちゃいないか…ちょっとドキドキの火曜日です。
(AV 山老)(またまた代理アップ 典拠 望月)
さて、10回にわたって「人名典拠ファイル」についてご紹介してきました。
今回のシリーズでは、人名典拠ファイルやMARCについて全く知らない人でもイメージしやすいように、シンプルに説明することを心がけました。
人名典拠ファイルの特長に関してはひととおり触れましたが、まだまだ説明しきれていない事柄もたくさんあります。
このシリーズは今日で終了しますが、今後もっと突っ込んだ記事もアップしていく予定です。
どうぞお楽しみに。
というわけでまとめです。
「人名典拠ファイル」は本の著者を管理するファイルです。
根拠をはっきりとさせたひとつの形を見出し(統一標目)としています。(第2回・第7回)
それはID番号と漢字、ヨミガナから成り立っており、
・同名異人を一目でわかるようにする(第3回)
・表記ちがいの異名同人を一つのファイルにまとめる(第4回)
・ペンネームの使い分けなどを相互に参照する(第5回・相互参照)
・見出しにならなかった別名から参照する(第8回・直接参照)
といった機能があります。
相互参照や直接参照は、より便利な検索が可能な人名典拠ファイルならではのしくみです。
書いた人の名前から本を探す。よく使われる検索の手法です。その検索が、無駄なく正確にできるよう、人名典拠ファイルは大きな役割を果たしているのです。
企画記事:人名典拠
*こんな本もありました*
先日発行しました週刊新刊全点案内1517号には、こんな本も載っていました。
この本の表紙を飾っているのが、TRCから徒歩数十秒、すぐご近所のパン屋さん「マールツァイト」の「ライ麦カンパーニュ」なのだそうです。なんだか嬉しくなったので、ご紹介してみました。
こちら、とても小さなお店なのですが、「日本で唯一のミルク酵母パン専門店」とのことで、東京のパン屋さんガイドなどでもよく見かけます。酵母のことは全くわからないのですが、素朴で個性的なパンが多くて、それぞれにしっかりした良い味だな、と思います。
私にとって、ここは何よりも、残業時の不安を解消してくれる頼りになるお店…みもふたもないですが、こちらのパン、しっかりしていてとにかく「腹持ち」が良いのです!
人の倍、消化吸収能が高い胃腸を持ってしまった私にとって、お昼を食べた後にまだ何か満たされないものを感じたときの、「このまま夕方から空腹が気になってMARCがとれなくなったらどうしよう…」という不安は切実なものがありまして。そんな時に「マールツァイト」さんのパンをいただくと、夜まで空腹を忘れて働けることに気づいてからは、条件反射のようにお店に足が向くように…。小さいパンなのに少々お値段が張ることなど気にならなくなってしまいました。
3~4月の繁忙期はほぼ毎日、お弁当に加えてこちらのパン2つをせっせと摂取。お蔭様で、大きな山を無事に越えることができました。
今後ともお世話になります、どうぞよろしくお願いします!
~ 入力 その9 ~
入力が完了すると、データをプリントアウトします。
入力された全項目と、リンクがはられた典拠ファイルの詳細情報が印刷されます。
通称「ゲラ」。
左側が入力した項目(TAGといいます)の一覧(ちなみにこの本では48個。ごく平均的な数です。)
右側はリンクした典拠ファイルの詳細(この本は4つ。著者1・出版者1・件名2)
~ 入力 その8 ~
常に眼光鋭く本と画面を見比べていますが、どうしても人の目には限界があります。
そこで、入力の最終段階では、機械の力をかりて間違い探し。
必要項目が揃っていなかったり、間違った情報が入っていると、「エラーメッセージ」が出て教えてくれます。
何かが足りないみたいですよ…
本日、「週刊新刊全点案内」1517号を発行しました。
掲載件数は1612件です。
先週この記事を更新したあと、熱を出して寝込んでしまいました。
週末もんじゃ焼きを食べに行く約束をしていたのも、泣く泣くキャンセル。
とほほな日々でありました。みなさんも風邪にはお気を付けください。
*こんな本がありました*
アメリカ建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライト。その生涯と作品に迫る豪華本です。
この本のシリーズ名は「講談社トレジャーズ」
何がお宝なのかといいますと、「手紙やコンセプト・スケッチなどの秘蔵資料の実物大複製品」が図書に綴じこまれているのです。
いままでにも「オードリー・ヘップバーン・トレジャーズ」や「ミッキーマウス・トレジャーズ」など貴重な資料の複製品がたくさん付いている本がありました。
しかしこのお宝、いたるところに折りこまれているため取り扱い要注意。
気を付けないとうっかり破損してしまいそう。なので、せっかくの豪華本なのですが、ちょっと図書館には向いていない作りとなっているのでした。残念。
好評連載中の「MARCができるまで」。今回はその人名典拠ファイル版をお送りします。
名付けて「典拠ファイルができるまで」(←そのまんま)
人名典拠ファイルができるまでの流れを簡単に説明していきますね。
初めて本を書いた著者(=まだ人名典拠ファイルがない著者)がいる図書が典拠の部署にやってきます。
まずその著者の名前を確認。
どういう漢字か、ヨミガナはあるか、情報源によって表記が違っているところはないか。
日本人か、東洋人か、西洋人か、いつの時代の人か。
図書の情報源(MARCと同じ、標題紙、奥付、背表紙、表紙、カバー)にプラスして、典拠の部署では「著者紹介」もしっかり見ます。
次に、本当に人名典拠ファイルがないかどうか、改めて確認します。
漢字の形、ヨミガナの形で検索。同姓同名のファイルがあれば、略歴などを見比べて判断します。
調査が必要であれば、参考資料にあたります。
日本人で古い時代の人ならこれとこれ、といったようにだいたい見る資料が限定されているので、それをもれなく調査。
調べ終わったところで、見出し(統一標目)の形を決めます。
そして、図書の著者紹介や参考資料で得られた情報から、その人と特定しやすい部分をまとめて作文します。現在の職業や、専門分野、生没年などが主だったところです。
ものによってはこの一連の作業を2回繰り返し、ひとまず完成となります。
できたものは必ずほかの人の目で確認する、それがTRC MARC作成現場の鉄則。
ここからは、できた人名典拠ファイルを確認する作業となります。
担当者が、人名典拠ファイルをひとつひとつ見直します。見出し(統一標目)はこの形でよいか、情報を正しくまとめられているか、図書と照らし合わせながらチェック。誤字脱字などのケアレスミスも見逃しません。ここまでは図書を手元に置きながら作業します。
このチェックが終わった時点で、図書はMARC入力の部署へ返却。
その翌日、担当者は前日にチェックした人名典拠ファイルを、1日分まとめてリストの形にして見直します。この時はもう図書は手元にないので、リストだけを重点的にチェック。
(もちろん必要なときは、図書を探して確認する作業も行います)
別の担当者が、さらに違うリストで最終的な見直しをして、人名典拠ファイルの作成は完了します。
企画記事:人名典拠
~ 入力 その7 ~
時間とにらめっこで、本の中身をわかりやすく説明していく使命を帯びた内容紹介部隊。
そんな彼らの泣きどころは、こんなタイプの本です。
帯をください...(↓歌集・詩集のたぐい)
私にどうしろと...(↓外国語の学術論文)
~ 入力 その6 ~
本日も「内容紹介」のお話です。
「内容紹介」については、データ部に見学に来られるお客さまの関心も高く、「全部読んでるんですか?」などと興味津々に聞いてくださる方もおられます。
が、しかし...なにしろデータ部に届く見本は1日平均270冊。すべてに目を通している余裕はとてもありませんので、本のあちこちから文章を拾い上げて手際よくまとめていきます。目安は1時間に10冊。
たいていは、帯やカバーのソデ部分・あとがき等を使います。
これ↓は、ソデ部分に要約らしきものがあるタイプ。
帯あれこれ
~ 入力 その5 ~
毎週1回、図書館に新刊情報をお届けしているカタログ「週刊新刊全点案内」では、本の実物がなくてもイメージをつかんでもらえるよう、いろいろと工夫をしています。
(何回か前にご紹介した表紙の写真もそのひとつ)
その大きな柱が、「内容紹介」です。最大105字で、本のあらすじや特徴、受賞情報などを紹介しています。作文しているのは、腕に自信ありの専門部隊。
優雅に読書中...。ウソです。
本日、「週刊新刊全点案内」1516号を発行しました。
掲載件数は1462件です。
桜とともに忙しさのピークも去っていったようです。
*こんな本がありました*
モダンな街並みが広がる大阪。大正時代から戦前期、そして戦後の復興を経て、変わりゆく大阪の姿を切り取った写真集です。
このあいだまでやっていたNHKのドラマ「芋たこなんきん」にはまっていたので、興味津々。思わずじっくり眺めたくなってしまいました。(仕事中)
上の本をbk1で探そうと、「昭和の大阪」で検索したら、こんなものを発見!
おお、まさにどんぴしゃり。この本も読みたいなあ。
典拠種別 | 個人名(東洋人) |
典拠形態 | 統一形 |
対象冊数 | 32件 |
典拠ID | 11000292987-0000 |
漢字形 | リリー・フランキー |
カタカナ形 | リリー フランキー |
参考生没年 | 1963〜 |
職業・専門等 | フリーライター,イラストレーター,ペンネーム |
著者紹介 | 1963年福岡県生まれ。武蔵野美術大学卒業。 |
初出書誌 | 女子の生きざま |
TRC MARC | No. 97053651 |
典拠種別 | 個人名(東洋人) |
典拠形態 | 統一形 |
対象冊数 | 9件 |
典拠ID | 11000155115-0000 |
漢字形 | 宮沢/賢治 |
カタカナ形 | ミヤザワ,ケンジ |
標目限定語(生没年) | 1944〜 |
職業・専門等 | 白百合女子大・文・教授,筆名:健太郎 |
相互参照 | 11000287207-0000 宮沢/健太郎 |
初出書誌 | 宮沢賢治近代と反近代 |
TRC MARC | No. 91026610 |
~ 入力 その4 ~
TRCデータ部では、1冊ごとの本の情報を記録した「MARC」とは別に、検索のキーとなりそうな項目をそれぞれデータベース化した「典拠ファイル」というものも作っています。
各「典拠ファイル」内の項目は、15桁のIDによって管理されています。このIDをMARCに入力して「典拠ファイル」とリンクさせておくことで、後々図書館において、文字列ではなくIDを使った、より精密な検索が可能になるのです。
このリンク作業も入力中に行います。
こんな風に変わります (ところで…何の本?)
藤原正彦著 (=責任表示)
新潮社 (=出版者)
新潮新書 (=シリーズ)
↓
藤原正彦著
110000868340000
新潮社
310000175020000
新潮新書
60655460000000
注)典拠ファイルについては、企画記事「人名典拠」で詳しく解説中!
~ 入力 その3 ~
さあ、入力してみましょう!
分類/件名付与が終わった本は、新刊目録の棚に移動しています。数冊とってきて作業開始。
(難しそうなのは敬遠しがちですが…選り好みせずに、ガバッといきましょう)
まずは、カバーをはずして5つの情報源をチェック。
それから、必要な項目を入力していきます。
(手書きではありません、念のため。 → 昨日のエントリーを参照)
大きさ、ページ数、分類/件名、タイトル、著者、出版者、などなどなど…。
どんな本かな? こう見えて、チェックはキビシイ私です
測ってます
現在「MARCのできるまで」は
MARCの「入力」についてご紹介していますが
私が入社したころはまだ「手書き」の時代でした。
まず図書を見ながら、専用の「原稿用紙」に書き込んでいく。
原稿と図書をチェック。夕方に一日分をまとめて
プロのキーパンチャーさんのいる会社に送付。
翌日、入力された内容のゲラ刷りと原稿が返ってくるので
正しくパンチされているかどうか校正。
間違いがきれいになったところで、
TRCのコンピュータにMARCデータが「電送」されてきました。
大谷の持ち物の中にあった当時の原稿のコピー。
実物は罫線の色が、新刊目録は茶、図書館蔵書は緑となっていました。
左下のは手書きの目録カードです。
毎日先輩同僚の書く字を一字一句見ているので、
サインがなくても誰が書いた原稿かわかりました。
疑問があれば筆跡の主に「ここのこれなんですが」と確認。
先輩の達筆な文字につくづく見とれたり
「今日は○さんのいつもの字と違うなあ」と思い聞いてみると
「じつは今朝から風邪っぽくてつらいの…」なんてことも。
目録カードは当時もMARCから出力していましたが
とくに図書館蔵書の担当部署では急ぎの場合などに
「カードを手書きして納品」という流れも存在していました。
自分最大キレイな文字で、それはそれは緊張しました。
慣れた先輩はさらりと書いていましたけれど。
現在は目録カードを置いている図書館もすっかり少なくなりました。
教科書の中でしか見たことがないという方もいらっしゃるかもしれません。
データ部では、校正用リストの役目で残っています。
本の特徴は目録カードの形がいちばん見やすくわかりやすいと
私は今でも思っていますが、皆さんはいかがでしょう。
本日、「週刊新刊全点案内」1515号を発行しました。
掲載件数は1950件です。
どうやって無事に終了できたのか、正直わかりません。
おそろしく大量の本を見ました。
「週刊新刊全点案内」にも、「電話帳か!」とツッコミを入れてしまいました。
新年度のスタートとなる今月の表紙は、フレッシュな雰囲気のこちら。
*こんな本がありました*
「ライオン禁止」という規則がある図書館が存在するのかどうか、残念ながら私は知りませんが、この図書館には幸いそんな規則はなかったみたいで、ある日突然やってきたライオンくんはたちまち人気者になります。
読み聞かせでは子どもたちと一緒にお話の進展に一喜一憂。はしゃぎすぎて館長に「静かに!」なんて怒られてしまいます。(どうやら、「館内を走らない」「大声を出さない」という規則はしっかりある模様)
遊ぶだけじゃありません。しっぽの先でササッと書架のホコリとりもしてくれるし、重たい本は背中に載せて運んでくれるしで、職員のウケも上々なのです。
うちの近所の図書館にもし現われたら…
わき腹のとこに寄りかかって、のんびりポカポカ読書したいなあ。時々しっぽをくるくる回して遊んだりして。
でも、もしかして「ライオン禁止」かな? カウンターの人に聞いてみようかしら。
4月になりました。
新年度のスタートです。
それでは今週も「人名典拠」のはなし、はりきって参りましょう!
人名典拠ファイル(には限りませんが)を作成するとき、「根拠をはっきりさせる」ことが大切だと、前回簡単な例で説明しました。
今回はその続き。はっきりさせたあとのお話です。
見出し(統一標目)を決めるとき、たとえばほかの参考資料に別の形の名前が出ていて、いくつかの候補の中から決めることがあります。
芭蕉の奥の細道紀行に随行した河合曽良を例にすると、
河合曽良 根拠:国立国会図書館著者名典拠録
曽良 根拠:国書人名辞典
岩波曽良 根拠:日本人名大事典
とありました。
この時は、国立国会図書館著者名典拠録の「河合曽良」を見出しに決定。しかし候補に上がったものの、惜しくも選ばれなかった形(「曽良」や「岩波曽良」)からも、決まった見出し(統一標目)にたどりつけると便利ですね。そこで、それらの名前に「こっちを見てね」という参照機能を持たせるのです。
11000029711-0000 河合/曽良
←11000029711-4001 曽良
←11000029711-4002 岩波/曽良
これを直接参照といいます。「曽良」と検索しても「岩波曽良」と検索しても、見出しは「河合曽良」ですよ、と道案内をしてくれる。「ひとつの形に決める」と「いろいろな形から検索できる」という二つの目的にかなうシステムになっているのです。
*直接参照に関しては、よくご質問をいただきますので、またのちほど詳しく説明する機会を設けたいと思っています。
企画記事:人名典拠