ときどきいただくご質問に「伝記の分類は2類のはずなのに、1類や7類になっているものがあるのはなぜ?」というものがあります。
NDC(日本十進分類法)では280~289が伝記の分類です。
だから当然、伝記なら28△という分類になるはず...
なのですが、実はいくつかの例外規定があるのでそのパターンをご紹介します。
■例外その①
特定の主題や事件に関係する人物を集めた列伝(3人以上の伝記)
→28△ではなく、特定の主題・事件のほうに分類します
たとえば数学者の列伝なら410.2△(数学の歴史)に、フランス革命に関わった人々の列伝なら235.06(フランス革命)に分類します。
■例外その②
専門分野が1類、7類、9類にあたる人の個人伝記(2人までの伝記)
→28△ではなく、それぞれの専門分野のほうに分類します
NDC本表の289個人伝記のところにある「ただし,哲学者,宗教家,芸術家,スポーツマン,諸芸に携わる者および文学者(文学研究者を除く)の伝記は,その思想,作品,技能などと不可分の関係にあるので,その主題の下に収める」という注記がこれにあたります。
たしかに、ピカソの伝記は画集や作品研究と同じ場所にあるほうが親切といえるでしょう。宗教家の場合は人生そのものが信仰の対象だったりするわけですし。
探す人の利便性を考えた細やかな工夫! ではあるのですが...
逆に、どの分野でもいいから伝記が読みたいと思った人が、28の書架に探しにいった場合には、1類、7類、9類にあたる人の本が見つけられないということが起こりえます。それらの人には有名人が多いので、伝記の書架はなんだか地味なかんじに。また「世界の伝記」のようなシリーズがあれば、シリーズの大部分の分類は28なのに数冊だけが1類や7類になってしまうこともありえます。こうなるとせっかくの親切が仇に...(分類ってこういうパターンが多いような)
そういうわけで、図書館によっては28の書架にサイン表示をしたり、上記の例外は取り入れずに伝記はすべて28に配架するなどの対応をされているようです。両方の書架に置ければいいのですが、物体としての本はそうもいかず。
そこで、せめて検索画面では分類にかかわらず伝記を探せるようにということで、TRC MARC/Tタイプでは「伝記・手記」という新ジャンルを入力して、今年の6月からご提供しています。
タイトル:立川談志自伝狂気ありて
著者:立川/談志 著
分類:779.13
個人件名:立川/談志
新ジャンル:芸術・芸能>演芸・タレント>落語・寄席
新ジャンル:伝記・手記>伝記>日本