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2007年12月 アーカイブ

2007年12月28日

マイケル・ジャクソンは「世界ビール大全」を書いたか?

MARC MANIAX典拠ファイル第8回は同姓同名です。
誰もがパソコンで一度は検索してみるもの、それは自分の名前ではないでしょうか?ご多分にもれず私もやってみました。どうも京都にある病院に勤める方で同じ名前の方がいるようです。

さて、タイトルです。
問題形式になっていますが、答えはYES。あのミュージシャンはこんな趣味もあるのかとびっくりされる方もいらっしゃるでしょうが、それは違います。TRC MARCにはマイケル・ジャクソンという人が2名いるのです。今回のお題、同姓同名に登場していただくのは二人のマイケル・ジャクソン。ファンの方もそうでない方も、まずはご一読ください。

典拠ファイルでは、漢字形とカナ形を対にして固有の形とします。漢字形が同じでも、カナ形が違う場合には標目限定語は付けません。どちらも全く同じ人が二人以上いるときは、後から出たほうの人に、区別のために標目限定語というものを付けます。
二人のマイケル・ジャクソンは、典拠ファイルではこのようになっています。

《典拠ID》    120000143230000
《漢字形》    Jackson,Michael
《カナ形》    ジャクソン,マイケル
《参考生没年》    1942~2007
《職業・専門等》    ビール評論家,アメリカン・ホームブルーワーズ協会顧問,CAMRA運動,ルポライター,編集者 

《典拠ID》    120000143240000
《漢字形》    Jackson,Michael
《カナ形》    ジャクソン,マイケル
《標目限定語・生没年》 1958~
《職業・専門等》    歌手,本名:Jackson,Michael Jesep,元・「ジャクソンファイブ」メンバー

ところでこの標目限定語という、またも堅苦しい名前について少し説明を。
標目限定語には2種類あって、生没年と専門、世系等に分かれています。優先順位としては、まず生没年(生年だけのものが多いです)がわかれば生没年を、わからなければ専門、世系等をつけることになっています。

そして、ここが重要なのですが、同姓同名の人物が二人以上いるとき、というよりはむしろ、ある人物と漢字形カナ形が全く同じ人物が出てきたときに、新しく出た人の方に標目限定語をつける、ということです。

有名じゃない人に標目限定語をつければいいんじゃない?と軽~くおっしゃる方もいそうですが、有名な人から順にTRC MARCに出てくるとは限らないということが問題です。典拠ファイルはあくまでTRC MARCに出てきた人物に限って作成しているので、たとえニュースを騒がせている政治家であろうと、オリコンチャートでトップをとる歌手であろうと、TRC MARCになければファイルもなし。人名事典などと決定的に違うのがこの点です。

それでは典拠ファイルの中身をご覧ください。

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2007年12月27日

総括

今年も残すところあとわずか。このブログも、明日が年内最終更新となります(=もうすぐ冬休み!)。思えば新年早々にスタートして以来、雨の日も風の日も忙しい日ものんびりした日も、コツコツと毎日記事を積み重ねて1年。無事に年末までたどりつけたのも、読者のみなさまのご愛顧(?)の賜物です。来年も面白くてお役立ちな情報をせっせとお届けしてゆこうと思っております。どうぞお楽しみに!

さて今日は、年末らしく数字による今年の総括と参りましょう。
メインページ左上で日々更新されている数字「●月●日の新刊件数」。これは、新刊目録のチームが作成しているMARCの件数であり、いわゆる新刊書として書店に並ぶ本の大部分が含まれているはずの数字です。1年間貯まると、どのくらいになったでしょう?

(答え) 65,534件
  そのうち何冊まともに読んだろう…。
  すいません、個人的なつぶやきでした。

おまけ:
分類件名チームのメンバーに、今年新しく作った中で印象的だった「件名」について聞いてみました。答えは、食育・キャラクター・ニート・ジェネリック医薬品・複合カフェなどなど…。本の中身を表すキーワードである件名には、やはり世相が色濃く反映…されてるのか?
その中から、今年の大賞(?)は「ワークライフバランス」に決定。
「タイトルにそのまま使われていないと、件名の存在すら思い出せずに使用するのを忘れそう」という意見に同情が集まりました。もっともです。何ですか? ワークライフバランスって?
…という私のような人にも優しいのが典拠ファイル。「仕事と生活の調和」で参照形が作られていました。なるほど、仕事と生活の調和のことなのね。…って、つまり何のこと?

2007年12月26日

きょうのデータ部☆ (12/26)

きょうは特別編。

先週の金曜日に行われた、データ部の送別会の写真です。

とはいえ、携帯電話のカメラなのであんまりよくは撮れていないのですが。すみません。

お店のクリスマスリースと分類/件名の黒木さん(敬意を込めてさん付けとさせていただきます)のシルエット。

20071226.JPG

そうなのです、TRCデータ部で長いこと図書の主題分類に携わっていた黒木さんが、ついに退職されることになったのです。

TRCで分類・件名を付与するようになってから20年とのこと。本当にお世話になりました。

黒木さん、ありがとうございました!


2007年12月25日

社会科見学

本日は「週刊新刊全点案内」1551号の発行日です。
掲載件数は1702件です。

*こんな本がありました*


社会科見学といえば、メーカーの工場見学とか国会議事堂とかが思い出に…。しかし、大人の社会科見学はもっとレアでヘビーでマニアック。首都圏外郭放水路や日比谷共同溝などは、すでに地下マニア向けのご本でも登場している名所ですね。ほかに核融合研究所なんて?なところや、発電所、造船所などの工場萌え系、旧日本軍が造った人工要塞島、旧長崎刑務所などの廃墟関係など、最近の流行を押さえた場所が取り上げられています。




グローバルに見学できるのならこんな都市巡りもいいな! SSDとはSustainable Site Design のことだそうで、様々な問題を抱えながらも再生した魅力ある都市を国内・海外あわせて100例紹介しています。写真も解説も盛りだくさん。

話題映画の本家、載ってます

本日は「月刊新着AV案内21号(08年1月号)の発行日。
掲載件数は1227件。 うち、DVD422件、ビデオ9件、CD784件、カセット12件です。

今回の表紙はこれ。
1月号だからか「出発」ってかんじですね。

p20071225.jpg


ちょっと前、通勤電車から映画の宣伝看板を見ました。
織田裕二(なんとデビュー20周年!東京ラブストーリーは何年前なの…?)が時代劇に挑戦しているらしい。
「椿三十郎」といえば、見たことなくても知っている黒澤明&三船敏郎コンビの名作ではないですか。他に豊川悦司、佐々木蔵之介、中村玉緒さんや鈴木杏ちゃんなど、テレビでもおなじみの面々が出演し、一大エンターテインメントに仕上がっているようです。
今号には本家「椿三十郎」のDVDが掲載されています。お正月休みにでも是非、両方見て比べてみてはいかがでしょうか。楽しさ倍増しそうです。

そんなに経ったのか…といえば原田知世さんも。角川映画での活躍が懐かしい彼女は、今ではれっきとしたシンガー。先週、新作CD「music & me」の入力をしましたが、なんとデビュー25周年、40才!になるのだそうです。4半世紀前のことがちゃんと記憶にある自分にも衝撃です。
このCDでは懐かしのあの曲、「時をかける少女」も新バージョンで歌われていますよ。

2007年12月21日

34年も経ってわかることもあります

MARC MANIAX典拠ファイル第7回は相互参照です。
直接参照を記号で表したときには、→や←を使いましたが、今回の相互参照は=です。そう、どちらかに統一するのではなく、どちらも統一標目になるパターンです。

「日本目録規則」(NCR)では
「同一著者が2以上の名称を用いるとき,次の場合には,それぞれの名称を標目とする。
ア) 改姓改名した著者が,新旧の姓名で著作しているとき
イ) 同一著者が著作の内容によって2以上の名称を使い分けているとき
(日本目録規則 1987年版 改訂3版  23.2.1.2)
とあります。

つまりある人物について、統一標目はヒトツでなくてもよい、ということですね。

それって変じゃないの?
何のために直接参照を作って漢字やヨミガナが違っていてもわかるようにしていたわけ?
と突っ込みを入れてくださる方、いらっしゃったらうれしいです。
確かに典拠ファイルの機能というのは、
・ 異なる形で書かれていても一つの統一標目にまとめる
・ 同じ形で書かれていても、異なる人物なら別人として扱う
というものです。

ただし、本人の意図で、全く異なる名前を使って本を書くことがあります。

ここに同じタイトルの本が2冊あります。
「日本人とユダヤ人」 1979年山本書店刊 イザヤ・ベンダサン著
「日本人とユダヤ人」 2004年角川書店刊 山本七平著

これだけではタイトルが同じだけで内容は違う本にしか見えませんが、実は内容は同じ本で、著者の山本七平がイザヤ・ベンダサンの名前でまず自ら経営する出版社から出した本です。

山本七平は1921年の生まれですが、イザヤ・ベンダサンの略歴には1918年と書いてあったようで、プロフィールまで創作する徹底ぶり。ですから、典拠ファイルを作った人も、多分全く気が付かなかったのではないでしょうか?

そして運命の2004年、角川書店から「日本人とユダヤ人」が発行されました。実は角川書店は1980年にも「日本人とユダヤ人」を出版しており、そのときの著者は、当然ですがイザヤ・ベンダサン。ところが全く同じタイトルで今度は山本七平著?

解説に詳しく説明がありました。「本書を新書版に収録するに際して著者名を山本七平という実名にしてもよいのであろうが、出版史上にのこる痛快事としてベンダサン名を残すのもよし、と思いつつ~」と。実に初版(国立国会図書館のMARCでは1970年が初版のようです。)から数えて34年、「日本人とユダヤ人」はついに山本七平の名義で出版されて、そうして私たちもこの二人が同一人とわかってしまった(?)わけです。

山本七平はこの外国人風のペンネームを、「日本人とユダヤ人」のほかにも何冊か使っていますが、「日本人とユダヤ人」だけがイザヤ・ベンダサン単独の著作で、ほかはイザヤ・ベンダサン著で山本七平訳となっています。(共著の形をとっているものもありますが、意味合いとしてはこれが一番しっくりくるかもしれません。)

こういった場合、もしイザヤ・ベンダサンが当初から山本七平だとわかっていたとしても、やはりイザヤ・ベンダサンはイザヤ・ベンダサンで統一標目にするのがよい、として決めたのであろう目録規則に、皆さんも納得していただけるのではないでしょうか?

些細な違いならともかく、このような場合や、結婚後、あるいは離婚後に姓を変えて著作活動をするとき、それぞれを統一標目として扱うのはまあ、当たり前といえば当たり前かもしれません。

さて、そうはいっても、山本七平ファンからブーイングが来そうです。山本七平の著作は昔全部読んだと思っていたのにまだそんな本が!!と。

ご安心ください。そこでまた典拠ファイル出動です。それが今回のお題、相互参照。つまり、全く別の名前を使い分けて著作をしていても、2つ(あるいは3つ以上でも)の名前を同一人としてリンクさせているのが、典拠ファイルの相互参照です。

具体的にどうなっているのか?
種明かししてみましょう。
まずは山本七平さんのファイルです。

典拠ID 110001051330000
漢字形 山本/七平
カナ形 ヤマモト,シチヘイ
参考生没年 1921~1991
職業・専門等 ノンフィクション,評論家,出版人,東京電機大・教授,別名:Ben Dasan,Isaiah
相互参照ID 120000020550000 

次はイザヤ・ベンダサンのファイルを見てみましょう。

典拠ID 120000020550000
漢字形 Ben Dasan,Isaiah
カナ形 ベンダサン,イザヤ
参考生没年 1918~
職業・専門等 思想家,本名:山本七平
相互参照ID 110001051330000 

そこで、アンダーラインのある部分にご注目。山本七平のファイルにイザヤ・ベンダサンの典拠IDを持たせることで、この二人が同一人物であることがわかるようになっています。さらに当然ですが、必ず二人なら二人、それぞれのファイルに別名の相互参照IDを入れておかないと意味がありませんので、イザヤ・ベンダサンのファイルの相互参照ID欄にも、山本七平の典拠IDが入れてあります。

これでどんな別名を使っていても、その人の著作を全てまとめて検索することが可能となるわけです。

■ さてここから先は載せるべきか否か?と悩みましたが、懺悔してしまいましょう。

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2007年12月20日

文学全集の思い出

先月いよいよ刊行開始となった、河出書房の「世界文学全集」。宣伝もにぎやかなので、ご覧になった方も多いのでは?


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池澤 夏樹個人編集
ケルアック著
青山 南訳
河出書房新社 (2007.11)



「揃って本棚に並んだらさぞ美しかろう」という鮮やかな色のカバーといい、「そう来るか」という著者・訳者のラインナップといい、かなり個性的。子どもの頃わが家にあった、いかにもな文学全集とはずいぶんイメージが違うものだなあと感心しました。

押入れの奥の暗がりにひっそりと蹲っていた、あのカビくさい本たち…。
たまには読んでみようかと引っ張り出しても、「ちょっ、あまっこめ」などという言葉遣いに皮膚感覚でついてゆけず、すぐ挫折…。
「何とかビッチ」「何とかスキー」の洪水の中に、「セコビッチ」「ドワルスキー」を一向に見出せない不可解…。
でも、大人になった今なら、あの時の困難を克服できるかも! (少なくとも不可解の方は解決済だし)

データ部にやってきた、おしゃれな「世界文学全集」を手に、再チャレンジを誓ったことでした。

…と思っていたら、そんな私に朗報(?)が!
「超名作だが読み通せない」ことでは定評のあるこちら↓に、なんと、まんがバージョンが誕生。しかも本家フランス産。これなら、今度こそいけるかも?

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マルセル・プルースト作
ステファヌ・ウエ翻案・画
中条 省平訳・解説
白夜書房 (2007.11)


2007年12月19日

きょうのデータ部☆ (12/19)

気が付いたら家の前に門松が立っていました。
2007年、ラストスパートです。

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ただいま残業中。。。


おまけのクリスマス飾り。
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2007年12月18日

70年

本日は「週刊新刊全点案内」1550号の発行日です。
掲載件数は1413件です。


*こんな本がありました*

南京大虐殺(南京事件)から70年がたったそうです。10年前にアメリカで出版された本で、初めての邦訳版です。以前柏書房が出そうして何かの理由で断念したものと聞きます。



同時出版のこちらにそのへんの経緯もかかれています。



2007年12月17日

よろず相談所?

新刊目録「まど」係のお話、4回目(最終回)です。

朝9時に出勤すると、私の机の上には見覚えのない本が数冊積まれている、ということがよくあります。

データ部では朝8時から働いている人もいます。前夜に取次から届いた新刊見本を、入力基準にあっているかどうかチェックしているのです。以前、MARCができるまでの連載で「最初にして最大の難所」として紹介した作業です。
基準はあるものの、どうしても「これはいいのでは?いやダメかな?」などと迷うグレーゾーンの本がでてきてしまいます。そういうものが「まど」の机の上に積まれていきます。

発行日が古い、CDやCD-ROMが主体のよう、読者が書き込むページがある、ちょっと過激な写真集などなど。これらについて適宜判断し、新刊目録以外の部署でMARC作成するものはそちらにお願いし、MARC作成しないものは返品、おっとSBで発注してあるものは仕入部に連絡しなくては…。こんな具合に最終的に行き場所を決めるのが「まど」係の仕事。


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出版社から直接届く本や、データ部のほかの部署からきた本もあります。新刊目録でMARC作成できるかな?


MARC作成をはじめた後、「その本、内容にミスがあって刊行が延びました!」などという連絡が入ることも。そういった本を探し出して取次に返却。再度、見本が入れば、また作業の流れに戻すということもしています。

本が多ければ、問題も多発。繁忙期にはいくつものイレギュラー案件を抱え、「これが全部スッキリ解決できる日がくるのだろうか」と途方に暮れたことも。でも1件、1件辛抱強く対処していけば、やがてはキレイに片付くものです。
「こんなこと、「まど」さんにお願いしていいのかなあ」「ハラダさんに訊いていいことかどうかわからないんですが」という前置きで、他部署や取引先から物事を尋ねられることも多くなってきました。「まど」はよろず相談所なのかなと思うこの頃です。その名のとおり、いつも機嫌のよい、相談しやすい窓口でありたいと思います。

2007年12月14日

討ち取ったり吉良上野介→吉良義央?

さてMARC MANIAX典拠ファイル6回目は直接参照その2です。
前回図書にあるかなヨミと統一標目のヨミガナが違っていた場合を説明しましたが、今回は漢字形が違っていた場合のお話です。

漢字が違っていたら図書にあるまま記述して、統一標目を対で入力するのだから、漢字が違う場合の参照形ってあるの?と思われる方、あるんです。
いくつかパターンがあるのですが、ここでは代表的な例でご説明しましょう。

今回のタイトルに使った、吉良上野介。
この人物はMARC上では著者としてではなく、個人件名として出てきます。実は著作がなかったわけではなく、「禁中式目」という本を著しているようです。
ただこれまでのところ、TRC MARCにはこの本のデータはなく、やはり忠臣蔵の被害者(?)ということで扱われてばかりです。

TVドラマや映画では、一般的には吉良上野介と呼ばれているこの人物、TRC MARCでの統一標目は、吉良上野介ではなく吉良義央です。

それはなぜか?
「日本目録規則」(NCR)で
著名な,あるいは著作の多い著者については,統一標目は次の優先順位による。
ア)参考資料等において多く用いられている形
イ)多くの著作で一致している形 (1987年版 改訂3版 23.2.1.1)
となっているのですが、これは著者だけでなく、個人件名にも当てはめています。

ここまで読んではた!と気が付いた方、正解です。
吉良上野介は、人名事典等では吉良上野介ではなく吉良義央で出ているのでした。
上野介は通称で名は義央、人名事典では通称ではなく本名で項目を立てているということですね。そして、個人件名では、図書にある形と統一標目を対で入力することは出来ないので、MARCには(個人件名としては)吉良上野介では出てきません。

しかし、自分の不勉強を棚に上げて言わせていただければ、あれだけ吉良上野介、上野介と赤穂浪士たちが叫んでくれると、赤穂藩の敵それは吉良上野介なんだ!とインプットされてしまいます。だいたい吉良義央ってどう読むのか?

ここでまたまたお助けアイテム、直接参照の登場です。
MARC上には個人件名として決して出てこない、このあまりにも有名な吉良上野介で検索したとき、吉良義央が統一標目だとわかるように、典拠ファイルに吉良上野介を参照形で作成してあります。

11000034540-0000 吉良/義央    キラ,ヨシナカ
11000034540-4001 吉良/上野介   キラ,コウズケノスケ

こうすることで、たとえ本名の義央を知らなくても、また漢字で義央と書くのは知っていてもどう読むのかわからなくても、無事に吉良義央の名前で検索することができるというわけです。(典拠ファイルとMARCの検索を連動させるようなシステムなら、吉良上野介で検索しても吉良義央の図書がヒットします。ただし、この吉良上野介と吉良義央の関係を知らないと、検索値で入力したものと違うものがなぜ出てくるか、ちょっと?な気がするかもしれません。)
え、最初から吉良上野介で統一標目にしてくれればいいのに?
ごもっともですが、人名事典では見事に吉良義央に揃っていて、吉良上野介で項目にしている事典は、あるのかもしれませんが確認できませんでした。
吉良上野介
→吉良義央
となっているものはありましたが。

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2007年12月13日

メモリアル・イヤー

新刊点数の増える年末を迎え、連日「人相が変わっている」新刊目録・池田です(あくまで部外秘ですので、あしからず)。

この時期たて続けにやってきて目にとまるのが、来年「生誕●●年」などのメモリアル・イヤーを迎える人たちの関連本。
そこで、ちょっと調べてみました。こういうときに便利なのが人名典拠ファイル。「参考生没年」という項目をキーに検索をかけると、その年に生まれた/亡くなった人たちがわかります。100年前の「1908年」だと約2500人、50年前の「1958年」だと約5600人と大量ヒット。熊谷直実(1208年没)、足利義満(1408年没)、ナポレオン3世(1808年生)なんていう顔ぶれも見つかりました。渋すぎるか…。

個人的にフィーチャーを期待しているのは、1998年に亡くなった詩人・田村隆一。俄か仕立てのチョイ悪おやじたちを、「百万年早いんだよ」と叱りつけて欲しい。
ちなみにこの田村さん、TRCのすぐ近くの東京・大塚のご出身。詩人が綴るふるさとの風景は今と変わらない部分も多く、「あ、あそこのことだ」なんて読書中に発見するのも楽しいものです。そのたびに、会社帰りに件のお店に寄って詩人を偲んでみたりして…(そうです、縄のれんで一杯ひっかけるということです、つまり)。

2007年12月12日

きょうのデータ部☆ (12/12)

きのうのエントリーで「セットもの」の紹介をしました。

しかし「セットもの」の実物を目にする機会は、一般の人にはあまりないかもしれません。

「都市美」の本はもうデータ部から旅立ってしまったので、違う本をモデルに「セットもの」をご紹介。


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こんな風に箱に入ってやってきます。


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中はこんなかんじ。隙間なく本が詰まっています。
本のサイズとセットの巻数によって、もっと大きい箱でやってくる場合もあります。
データ部内では「箱もの」という言い方をされることもあります。
けっこう取り扱いが大変です。

2007年12月11日

東京の本

本日は「週刊新刊全点案内」1549号の発行日です。
掲載件数は1471件です。


*こんな本がありました*

都市美協会の機関誌「都市美」復刻版のセットの中に、こんなものを見つけました。


元の本は1935年の発行なので、大正から昭和のはじめまでの東京の建築物500点近くが掲載されています。
とにかく写真がいっぱいでボリュームがあります。手の込んだ洋館や、ビルディングなど、戦前の東京の街並みが想像できて楽しい。
知ってる建物がある!と思ったら九段下にある「九段会館」でした。昔は「軍人会館」だったんですね。
知らなかった。

セットものなので、ちょっと個人では入手しづらいですが、そういう時こそ図書館で。
原本を所蔵している図書館もあるかもしれません。




こちらは1540号掲載の新刊ですが、1958年の東京と2006年の東京を“上から”見比べたもの。

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「東京変貌」プロジェクトチーム編
幻冬舎メディアコンサルティング (2007.10)



巣鴨プリズンがサンシャインシティになっていたり、まるっきり海だったお台場が繁華街になっていたり。
知っている場所が昔どうだったのか、見てみるとなかなか楽しいですよ!

 

2007年12月10日

SB係の仕事

新刊目録「まど」係のお話、3回目です。

SB(ストック・ブックス)とは、図書館から必要とされそうな本を発売前から予想して在庫しておくことです。それによって素早いお届けが可能になります。発売前にあらかじめ出版社・取次へ発注しておくのが基本ですが、新刊見本がデータ部に入荷してから「この本SBにしよう」ということになるものも相当数あります。
仕入部ではこれから出版される本の情報収集に余念がありませんが、やはりすべての新刊書を発行前に把握するのは難しいのです。彼らはデータ部に入荷して、MARC作成作業が始まった図書をオンラインで見張っており、その中から「これは!」というものを見つけて発注します。

SBとその他の本では、MARCに入力する項目が少し違います。例えば『週刊新刊全点案内』誌上ではこんなふうに違います(写真)。「コレとコレ、追加でSBにします」という連絡をメールで受けると、SB係は本を探し、MARCをSB仕様に手直しします。


200712101316000.jpg

200712101317000.jpg


時には「どうしても実物を見たいのでこの本を探して」「分類が決まり次第すぐに知らせて」というような要望にも対応。児童書か一般書かによって発注の部数が大違いになるらしく、「大人も子どもも楽しめる本」というような、かわいらしい絵本や童話などに神経を使っているようです。

200712101331000.jpg
本の山の中から目指す1冊を探す…大変なんです。


MARC作成中にデータ部の人たちはいろんなことに気がつきます。「続き物でずっとSBにしている本なのに今回SBになっていない」「SBとして発注しているけど書き込み式だったり問題集だったりで図書館におすすめできない」「かわった装丁だけど装備はできるのか」などなど…。このようなことも「まど」とSB係が一括して仕入部にお知らせしています。

よい本をご紹介したい、そして品切れも返品もゼロに、と高い目標に向かって、仕入部・データ部の連携は毎日朝から晩まで途切れることなく続きます。

2007年12月 7日

直接参照とはなんぞや?

MARC MANIAX 典拠が久々に再開します。
今回の担当は田辺です。よろしくお願いします。

さて今回のお題は直接参照です。
そもそも耳慣れないこの言葉の意味は?どういうもの?と思われるのもごもっとも。こういった用語というのは、ピンと来ないものが多いと思います。
さて、直接参照そのものを説明するには、以前にお話した統一標目をもう一度思い出していただくとわかりやすいです。ここではまず日本人名を例にします。

日本目録規則(NCR)では
「著者は,典拠ファイルに定められた統一標目の形を用いる」(1987年改訂3版 23.2.0)
とあり、さらに
「人名は,原則として最初に目録記入を作成するとき,その資料に表示されている形を統一標目とする」(同 23.2.1.0)
おまけに
「原則として本人に固有の読みを表記する」(同 23.3.3.1(ア))
とあります。
言い換えると、
一番最初にある人物がMARCに現れたときに、統一標目の漢字とカナを決める。それ以降はどんな表示があってもどんな読みがあってもそれに統一する。
となるでしょうか。いったん決まったら、その人がMARC上に現れる時には必ずその形が入力されることになります。
そうなると、統一標目とは違う形で出たらどうなるのでしょう?実は責任表示にはNCRの記述の通則
「原則として,所定の情報源などにおける表示形のまま記録する」(同 1.1.5.2)
により、本に
Muro/Saisei
とあったら記述はそのままになります。
そして統一標目である
室生/犀星 ムロウ,サイセイ
が対で入力されます。

■ MARC上ではこんな感じになります。
251F1 Muro/Saisei
751B1 室生/犀星
751A1 ムロウ,サイセイ

ところでもしも
ある本にムロオ,サイセイと読みがあったらどうなるのでしょうか?

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2007年12月 6日

先週のこと。

こんにちは。典拠 望月です。
今月の雑記当番はわたし、ではなく池田なのですが、今回はちょっとバトンタッチ。

先週の木曜日のこと、「専門図書館協議会」秋季セミナーにて、このデータ部ログ立ち上げの経験談をお話させていただく機会がありました。

「データ作成現場からの情報発信~データ部ログの立ち上げについて~」と題して、ブログプロジェクトが始まるところから、オープンにいたるまでのあれこれを紹介。

セミナー後の交流会では、出席者のみなさまとお話しすることもでき、緊張しましたが、とてもいい経験をさせていただきました。
改めて、今自分がやっていることは「広報」の一環なんだな、と意識しました。

この場を借りて、お世話になったみなさまに御礼申し上げます。ありがとうございました。


それにしても、人生のうちあんなにたくさんの方と名刺交換したのは初めてでしたよ!(いやほんとに)


■■■ お知らせ ■■■

弊社年末・年始休業のお知らせ」をTRCホームページにアップいたしました。

TOOLi(図書館専用ポータルサイト)でもご覧いただけます。

2007年12月 5日

きょうのデータ部☆ (12/5)

漢和辞典シリーズ。


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コンピュータで入力できないような文字をどうするか、調べるための資料です。


広辞苑も来年第六版が出るそうで。
ついこないだ第五版が出たと思ってたのになあ。

2007年12月 4日

歴史

本日、「週刊新刊全点案内」1548号を発行しました。
掲載件数は1606件です。
今月の表紙はこちら。
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*こんな本がありました*

ロバート・キャパ、アンリ・カルチェ=ブレッソンなどが設立した世界的写真家集団「MAGNUM」による写真集です。
ニュルンベルク裁判から反グローバリズムまで、第二次世界大戦以後の世界の60年間を写真で振り返ることができます。
ついこの前のことだと思っていたことも、こうして見ると既に「歴史」の一部なんですね。
2007年も残りあと一ヶ月です。

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写真で読む世界の戦後60年

魁星出版(2007.11)

オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る

2007年12月 3日

ベル・新継続係の仕事

新刊目録「まど」係のお話、2回目です。
「まど」はチームで仕事をしております。今のところ、ベル・新継続係2名、SB係2名、全体を見る「まど」3名の体制。席も近くにまとまっており、緊急事態発生(?)の時にはすぐに声をかけあえる環境です。

今回はベル・新継続係の仕事をご紹介しましょう。
ベルは「ベル案内」(写真)で毎月の配本予定をお知らせしております。また新継続は毎月配本とか年1回配本とか刊行予定が決まっているものがほとんどです。でも、すべての図書が予定通りに刊行されるわけではありません。ほとんどの場合、新刊見本が来てはじめて「あ、この本発売されたんだ」とわかるのです。出版社の事情によって、刊行が遅れることはよくありますし、また早くなることもあります。

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これが「ベル案内」。見本が入荷したらマーカー。

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ベル・新継続係はその日に入荷したベル・新継続の図書をリストにして仕入部にお知らせします。仕入部はそれをもとに在庫の搬入日を確認していきます。でも、これで『週刊新刊全点案内』への掲載がきまったわけではありません。「この本は早く納品したいので1号早めてください」「この本は刊行延期になりました」など、仕入部からの連絡や指示が来ます。係はそれに従って、掲載号数変更の手続きをします。ときには目録作成中の本を「ごめんなさい!」と言いつつ奪い取ったり、典拠作業で苦労しているところを「急ぎですからよろしく!」と急かしたり。関係者の間の調整も行います。

データ入力の〆切日にはその号数のベル・新継続の冊数が仕入部とデータ部で合致しているかどうか、すべてのMARCが「完成」の状態になっているかチェックして、やっと終わりです。でも、ほっとする間もなく、既に次の号の仕事が始まっているのです。

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