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2017年7月 アーカイブ

2017年7月31日

此頃巷デハヤル物

明日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名標目のお知らせ」を掲載しています。
新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。

7月は10件の件名を新設しました。そのひとつに「御朱印」があります。

御朱印とは、神社やお寺にお参りした証としていただく印章のこと。御朱印そのものは古くからあるものですが、なぜこのタイミングで件名を新設したかといえば「御朱印についての本」が増えているためです。

TRC MARCで「御朱印についての本」を検索してみると...
 2013年...4冊
 2014年...7冊
 2015年...12冊
 2016年...26冊
 2017年...6冊 + これから増える...?
と、2016年に急増したことがわかります。
そういえばニュースでも御朱印めぐりブームの話題を見たような。流行具合が出版点数によく表れているのですね。(もうちょっと早く件名を新設すべきだったか...)

御朱印の本来の意味としては「朱印または朱印状の敬称」(デジタル大辞泉)なので社寺に限ったものではないのですが、件名としては「社寺でいただく御朱印」に限定して使用することにしました。


もう1件。こちらは流行...と言ってはいけないかもしれませんが、近ごろ話題のものといえば「ヒアリ」ですね。先日のブログでもヒアリを警戒する男の子の話題がありましたが、このたび「ひあり」を学習件名として新設しました。
この本↓の94 ページに「ヒアリ」についての解説があったのです。

「ずかん海外を侵略する日本&世界の生き物」

今泉忠明(監修)
技術評論社(2017.8)

小学校高学年くらいからを対象にした本なので、保育園の子にはちょっと難しいですが、あまりにも心配だったら読んでみてもいいかもしれません。

2017年7月28日

文庫生まれ文庫育ち ~MARCや検索のはなし~

本日は、コード化情報「特殊な刊行形態」の中のひとつ、
「文庫オリジナル」についてご紹介します。

「文庫オリジナル」とは、
「文庫で書き下ろされた著作」に対して付与している情報で、
 この著作が形になるのはこの文庫が初めてですよ!
 以前に単行本などで刊行されたものの再刊ではないですよ!
ということを意味しています。

付与基準の例を一部ご紹介しますと...
例えば短編集では、過去に刊行された本に掲載された作品を寄せ集めて文庫にしたものには、原則として「文庫オリジナル」は付与していません。
また、古典作品などの新訳にも、「文庫オリジナル」は原則付与していません。

最近では、ベストセラー作家が文庫で初めて新作を発表するというようなケースも多くなっていますので、
そんな文庫生まれ文庫育ちの作品も見逃さず、
お目当ての作家さんの著作を余すところなくチェックするには、
TOOLiでの、
 著者名(あるいは内容細目著者名)×刊行形態「文庫オリジナル」
の掛け合わせ検索も有効です。

逆に、
「文庫オリジナル」の情報がない文庫であれば、
 これは以前に単行本で出ているのか。
 じゃあ丈夫なハードカバーの方が良いから、そっちで買おうかな。
など、購入時の検討材料としても活用していただけるのではないかと思います。

「文庫オリジナル」は週刊新刊全点案内にも表示されるようになっていますので、
ぜひ、選書の際には注目してみてください。

2017年7月27日

なんとここでも

7月の雑記テーマは公園・庭園です。
今月の『週刊新刊全点案内』掲載の新刊にも公園や庭園の本がちらほら。
件名に「公園」や「庭園」を含むもので検索してみると

帝都公園物語」

樫原辰郎(著)
幻戯書房(2017.8)

京都の庭園 御所から町屋まで 上」

飛田範夫(著)
京都大学学術出版会(2017.7)

京都の庭園 御所から町屋まで 下」

飛田範夫(著)
京都大学学術出版会(2017.7)


などがあがってきます。

ウルトラライト・イエローストーン FLYFISHING ADVENTURE」

阪東幸成(文・写真)
ふらい人書房(2017.6)

こちらは釣りの本ですが、第2件名にイェローストーン国立公園が付与されています。
イェローストーン国立公園で釣り、雄大な気分になれそうですね。

趣旨も規模も違いますが、公園と釣りといえば、幼いころよく遊んだ公園に久しぶりにいってみたところ、池の周りに沢山の人が腰をおろして、簡易な釣りざおを手にしている光景に遭遇しました。
「いつの間にか公園の池が釣り堀に!?」と思いきや、ブルーギルやアメリカザリガニなどの外来生物の駆除活動をしている団体のイベントでした。
そばを通っている間にも釣果(?)があがっていて、「ほんとにこんなにいるのか」とびっくり。
以前から池に生物を放すことを禁止する旨の看板はあったのですが、昔はあまり頓着せず魚を放している人もみかけました、そういえば。かくいう私も幼稚園児のころ金魚を放そうとして、祖母に止められた記憶が。
7月25日の記事でも外来生物がとりあげられていましたが、ことのほか身近にある問題だと感じます。

2017年7月26日

きょうのデータ部☆(7/26)

今日は雨が降っていたので、ちょっと前の写真ですが
3Fの裏側にある植栽です。
青々としてきて目の保養になっています。
窓側まで行かないと見えないのが残念。


2017-07-18-3F-20.jpg

2017年7月25日

ついに上陸

本日は、週刊新刊全点案内2022号の発行日です。
掲載件数は1098件でした。

*こんな本がありました*

家路をいそぐ母の携帯にかかってきた、息子からの買い物リクエスト電話。

「ヒアリをやっつけるプスレー、買ってきて!」

え? プスレー? ヒアリをやっつける??

ヒアリ上陸のニュースが保育園のお友達のあいだでも話題だったようで、ヒアリに効く殺虫スプレー(プスレーではない)があるらしいとのガセネタをつかまされたよう。

それから数日後、MARC作成で手に取ったこちらの本。

「終わりなき侵略者との闘い 増え続ける外来生物」

五箇公一(著)
小学館クリエイティブ(2017.7)

帯には「日本に定着した外来生物と、その防除と駆除の最前線を探る」の文。
ヒアリも取り上げられています。
ああ、息子が中学生くらいであれば、スプレーの代わりに買って帰ってあげるのに。

ヒアリをはじめ、かつて日本上陸で話題になったセアカゴケグモ、ペットとしても人気のクワガタ・ザリガニ(我が家にも一匹います)など、身近な外来生物のエピソードが紹介されているので、夏休みの自由研究にも役立ちそうです。
人・物がグローバルに移動する現代社会で外来生物の侵入を防ぐことができるのか、そもそも外来生物がなぜそんなに脅威なのか、私もこの夏休みに考えてみたいと思います。

2017年7月21日

空からやってくる災害 ~分類・件名のおはなし・75~

こんな異常気象、体験したことない!...そんなことが、たびたび起こる昨今の日本。記憶に新しいところでは、「平成29年7月九州北部豪雨」と命名され、福岡県・大分県を中心に多大な被害をもたらした集中豪雨がありました。この豪雨により被災された皆さまにお見舞いを申し上げます。


TRC本社が位置するここ、東京都文京区でも、3日ほど前に「えっ?!」と驚くような気象現象に遭遇しました。空がどんどん暗くなり、強風と横殴りの雨、雷もすごい。嵐だ...と思っていた次の瞬間、バラバラバラバラ...と何かが窓ガラスに激しくぶつかる音。慌ててガラス越しに外を見ると、テラスにゴロゴロと氷の塊が...。...雹でした。こんな大きな雹を見たのは、人生初めてかも。その後、ここ近辺で撮影された動画をいろいろと見ましたが、本気で身の危険を感じ、地球大丈夫か?!と思ってしまいました。


さて、NDCにおける雹の分類は451.65となります。あられ、みぞれの分類も同じです。雹とあられとみぞれの違いって?...調べてみました。まず、雹とあられの違いは、その氷の大きさの違いだけだそうです。5mm以上のものが雹(この前の雹は余裕で3cm以上あったように思います!)、5mm以下のものがあられ、とのこと。みぞれというのは、雨にとけかかった雪がまざって降るもののことだそうで、気象学の分類上は雪になるようです。あれ?NDCの分け方と違いますね。(雪の分類はNDCでは451.66です。)


今回の雹、幸い大きな人的被害は出なかったようですが、これがもし災害となり、気象庁からその報告書などが出版されれば、451.98の気象災害誌の下に、地理区分を付与して分類されることになります。豪雨のような異常気象についても、雨という現象を扱った本であれば451.64に分類されますが、九州北部豪雨関連の本は、451.9819(最後の19は九州地方を表す地理区分)の下に分類されます。


梅雨も明け、今度は本格的な台風のシーズンが到来します。どうか、甚大な被害をもたらすような台風がやって来ないことを、切に祈ります。

2017年7月24日

夏休みの宿題対策に!~TOOLiで探そう~

地域によっては、もう子どもたちが夏休みに入っているところもあるようですね。
教師の負担を減らすために、夏休みを短くする計画が上がっているようですが、子どもの頃、どんなに夏休みが楽しみだったかを思い出すと、なんだかかわいそうな気もします。

しかし!夏休みは楽しいばかりではありません。
「宿題」という十字架が重くのしかかっています。
小学生だった当時は、毎年のように「七月中に宿題を終わらせて八月は遊びまくるぞ!」と心に誓うのですが、結局最終日に「あー!あれやってなかった!」と慌てることになるのでした。

そんな憂鬱な夏休みの宿題の頼もしい味方、それが「教科書単元検索」です。
「教科書単元検索」とは、小学校の教科書の単元と学習件名をリンクして、学習に役立つ図書を検索することができる、TOOLiに標準搭載されている機能です。

例えば、小学校5年生の理科では「雲と天気」という単元がありますが、その単元に対して「雲」や「気象観測」という学習件名が表示されます。
雲についての宿題が出されたときは、その学習件名を選択するだけで、そこから雲をテーマとした児童書を探し出すことができます。
学習件名は1ページ以上記述があるものに付与されているので、タイトルで検索するよりも、たくさんの本がヒットします。
宿題がバッティングして、図書館に借りたい本が残ってない...というときにも、学習件名で探せば見つかることも多いはず。

夏休み終盤になって、子どもに「宿題がわからない!」と泣きつかれた親ごさんも、こっそり参考にできる本を探すことができます。
昔とは学んでいる内容がちょっと違っていたり、忘れていることもあるはずなので、義務的に宿題を片付けるのではなく、親子で楽しみながら新しい発見ができるといいですね。

2017年7月20日

ちいさいお庭

7月の雑記のテーマは、公園・庭園。
「庭」という言葉から思い出す一番古い記憶は、実家の庭です。

洗濯物を干すスペースと、すこしの植木と
子どもが2人座れるくらいの小さな砂場があるだけの
こじんまりとした裏庭でした。

小さい頃の外遊びといえば、いつもここ。
定番の遊びは、砂場でのおままごとです。
プリンカップで型ぬきをして、庭の花をつんでふりかけ
妹と母親役と赤ちゃん役を交代しながら、毎日のように遊んでいました。

夏になると、子ども用ビニールプールを出して水遊び。
台所の蛇口から、長い水色のホースをのばして水を入れるのですが
たまるのが待ち切れずに、ホースで水の飛ばしっこをして
洗濯物がびしょ濡れになり、しかられたこともあります。

家を建て替えてた時に、庭は駐車場になってしまいました。
妹と飽きずに遊んだ、小さな砂場が
両親の手作りだったと知ったのは、つい最近のことです。

2017年7月19日

きょうのデータ部☆(7/19)

昨日の昼休みに3Fの窓より撮影した2Fのテラス。
外は暑く、太陽も強く照っていたので、影が黒々と...。
この2時間後、大雨が雷や大風や『ひょう』と一緒に降って
きたのでありました!!!

20170718テラス20.jpg

2017年7月18日

ないなら作ろう紙文房具

本日は「週刊新刊全点案内」2021号の発行日です。
掲載件数は1166件でした。

定期的にやってくる文房具フィーチャーの日々。個人的にだったり、世間もそうだったり。最近では文房具ソムリエという素敵なお仕事もあちこちで紹介されています。でも星の数ほど(?)ある文具の中から自分にぴったりなものを見つけるのは、なかなか大変ですよね。


*こんな本がありました*


週末でつくる紙文具

永岡綾(著)
グラフィック社(2017.7)


こんな機能が付いていたら嬉しいのに...。
デザインがもう少しこうだったら良いのに...。

手に、目に、使い勝手にしっくりくる文具を求めて気持ち的には三千里。見つからないなら作ればいいじゃない!という思いを叶えてくれるアイデア満載の一冊がこちら。目的に沿った、さまざまな形・機能を持つ文具をすべて紙から手作りできます。

「書く」「整理」「保存」。3つの用途別に分けた作り方が、わかりやすく掲載されています。不揃いの紙束を使い勝手よくメモ帳にしたり、大きさの違うノートを組み合わせて一つのノートにしたり。ふせんやクリップなど、個々では筆箱の中でバラバラになってしまいがちな小さなパーツのあれこれを、見事使いやすくホルダーに収納したり。ほかにも封筒からつくるチケットファイルや、インデックス付きで見やすく写真や書類を区分けできるボックスやアルバムなどなど。

自分の手になじむ、世界に一つしかない手製の紙文具。愛着を持って丁寧に仕上げたものならば、毎日の作業がより楽しくなるかもしれません。

2017年7月14日

記述形いろいろ~典拠のはなし~

こんにちは。データ部典拠の望月です。
先日の部署異動で、新刊目録のチームから典拠チームの所属へと変わりました。とはいえ、このデータ部ログを始めたころ典拠チームにいて、典拠の記事も書いていたので、「久しぶり」の典拠のはなしです。

さて、先日のこと。作成した典拠ファイルの校正用のリストを見ていたら「ベートーベン」の文字が目に入りました。これは、あの作曲家のベートーベン?どうして新規作成ファイルのリストに?もちろん、まるっきり初めてファイルを作ったというわけではありません。
その時点で記述形が23件(!)あったのですが、また新たな形が「視聴覚資料のMARC」で出現したのです。こういう場合、あらたに記述形のファイルを作るので、リストに出てくるのですね。

統一形:Beethoven,Ludwig van 
    ベートーヴェン,ルートヴィヒ・ヴァン
記述形:L.V.ベートーベン

統一形と記述形については、これらの記事をご覧いただくと詳しいです。
記述形その3:子だくさん
豊穣なる翻訳文化を支えます
典拠東洋人と西洋人

もう出尽くしたのでは、と思いたくなる人でも、ときたま現れては記述形を増やしていくのがおもしろいです。

記述形といえば、ぱっと見図書に書かれたカナだと別人にしか見えないのに、原綴で確認したら同じ人だった、という例もいくつかありました。
名前がショーショウ    ...Shaw
名字がジーカーザーチャー ...Zircher
おなじく名字がブルジョブルゴー ...Bourgeau 

毎回思うことですが、外国語の発音を日本語のカナで表すのって難しいのですね。

2017年7月13日

ラジオ体操会

新刊藤澤です。7月の雑記のお題は公園です。
会社の裏には教育の森公園があります。そこでは年中ラジオ体操をやっている、とは聞いていたのですが、先日見つけたポスターに、「みんなの体操祭・午前5時半開場・先着1000名参加賞あり」とあり驚きました。すごい光景でしょうね。

私はニュータウン育ちで身の回りにそんな会がなかったのですが、ひと夏、ご近所お子様軍団でラジオ体操会をやったことがあります。

郵便局でラジオ体操カードをもらい、かわいいスタンプセットを用意。カセットに番組を録音して、電池を詰めたラジカセ持って公園へ。大人はめったに来なかったと思います。幼児小学生10人強が張り切って集まっていました。体操してちょっと遊んで戻ってごはん食べて、9時ぐらいからまた遊ぼうね~などとやっていました。

ラジオ体操自体はなんだかはずかしくて、ふにゃふにゃとやっていたように思います。適当に口実をつけて、早朝から外に出たかったのでしょう。朝涼しいうちに公園で楽しむと、1日が長くて、夏休みを得したような気分になったのでした。

2017年7月12日

きょうのデータ部☆(7/12)

 先週の記事を掲載したら、あれは遺跡調査で結構長く続くようですよ。
 看板もでていました。

 と、教えていただいたので、見に行ってきました。

20170712用写真 20.jpg


  まだまだ続くのですね。

2017年7月11日

紙の方舟

本日は、週刊新刊全点案内2020号の発行日です。
掲載件数は1111件でした。

*こんな本がありました*

最近動物園が賑わっているというニュースをよく耳にします。
動物園といえば個人的には爬虫類館のような屋内施設が好きなのですが、メインはやはり屋外展示。
ところが、雨の多い今の季節は動物たちも小屋にこもりがちで、訪れた展示スペースに動物が何もいないということもしばしば。
そんな折、こんな本を見つけました。

紙の上の動物園

シャーロット・スレイ(編著),堀口 容子(訳)
グラフィック社(2017.7)

この本は18~19世紀に描かれた生き物の絵を集めた図録です。
魚や虫を含む様々な動物画がおさめられており、異国の生物・自国の生物・家畜・奇怪な生物の四つに分類されています。

今まで近代的な動物画というと、博物図譜のように背景のない画面に生き物が静かに横たえられたものをイメージしがちだったのですが、この本で紹介されている絵は、一つの画面の中に種類もサイズも様々な生き物が同時に描かれていたり、ポーズや絵のタッチが独特だったりとバリエーション豊か。ある程度系統だってはいるものの、背景まで書き込まれたそれらにあまり学術的なにおいはせず、むしろ若冲の動植綵絵のような風合いさえ感じられます。

個人的に面白かったのは、奇怪な生物の項目で、実在・非実在を問わずまとめられた変な生き物たちの絵はカオスを極めておりそれだけでも壮観なのですが、加えて当時の人々がどんな生き物を「奇怪」ととらえていたのかもわかり、価値観の一致・相違を感じられる点でも楽しめました。

天気が悪かったり良すぎたり、何かと外に出るのが憂鬱になりがちなこの季節、紙上の動物園で空想散歩なんていかがでしょう。

2017年7月10日

いつまでつづく?-和漢古書の書誌作成単位(3)

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

前回、「複数の図書がまとめて出版される」合刻本ほかについて見てきましたが、それと逆に、階層構造を持つセットもので、途中で出版事項が変わったり、下位の階層の書誌それぞれに個別の刊記があったりするものがあります。
これらについては、書誌作成単位としては、まとめて一書誌で作成しようが、親-子のかたちで複数書誌を作成しようが、どちらかが間違いということもありません。なので、どちらで処理しようとかまわないのですが、基本的には、それぞれの内容著作について、個別の刊記があるものが多かったり、本タイトルと異なる別タイトルがそれなりの数あったりして、一書誌で作成すると注記が非常に煩雑になる、などという場合には「親-子」のかたちで作成する、というような便宜主義的な対応方法でよいのではないかと思います。

また、階層構造を有するセットものというわけではない多巻物が、長い期間にわたって何回か出版される場合もあります。こうしたものには、途中で書名が変わるものと変わらないものがあり、書誌作成単位のとらえ方もそれによって異なってくることがあります。
「途中で書名が変わるもの」については、その前と後とでそれぞれに異なった見返しや刊記があるのであれば、当然別々に書誌を作成することになり、後のほうの書誌に「『○○』の續編」などと注記することになります。もっとも、出版事項が基本的に同じで、巻次が通しになっている場合などは、「第10~20巻の書名:××」などと注記して、1書誌としたほうが適切でしょう。
微妙なのは、書名もしくは巻次が途中から「續~」「~續編」「~後編」などとなっている場合です。和漢古書の場合、通常はそれで別書誌を作ったりせず「博物志 10巻續10巻」という具合にしたりしますが、出版事項ほかが異なっていて、1書誌にすると記述があまりにごちゃごちゃするような場合は、別書誌としておくほうが適切だろうと思います。そうした例として、たとえば、『道二翁道話』『道二翁道話續編』(中沢道二)、『文話』『續文話』(斎藤拙堂)、『農家益』『農家益後篇』『農家益續篇』(大蔵永常)、『(正)文章軌範』『續文章軌範』などといったものがあげられるかと思います。
なおもちろん、たとえば『續古今和歌集』『續高僧傳』のように、内容・成立から言って、最初からもとのものとは別の著作として扱うべきという場合もしばしばありはします。

上記に対し、「途中で書名が変わらないもの」のほうは、基本的に1書誌で作成し、途中で出版事項が変わる場合は、「第15~20巻の出版者:~」「3編(巻第7~9)の出版事項:~」などと出版の注記を行うことになります。
もっとも、後者の例のような、こうした「巻」より大きなまとまりを示す「~篇」「~輯」などの扱いも微妙なところがあり、通常は「和説假名論語 前編3巻後編3巻三編3巻」という具合に「巻数と連動する部編名」として巻次の一部を構成すると考えていいと思いますが、書名の一部になると見なしたほうがよい場合もあります。そうすると、「~編」まで含めて書名と考えるのであれば、「途中で書名が変わるもの」として考えるべき、ということになります。

そのように考えないにしても、読本などの大長編になると、巻より大きなまとまりとしての「編」が10編前後もあって、各編ごとに出版者の増減や変更がある、などということもよくあります。そうなってくると、その情報を1書誌で記述するというのはたいへんなわけで、むしろ「編」ごとに、あるいは刊記が変わるごとに別書誌にしてしまう、などというやり方もあるかもしれません。
ちなみに、有名な曲亭馬琴の『里見八犬伝』9輯98巻は、最初のうちは各輯5巻くらいのペースで発行されていますが、第8輯は上下に分けられた上でいくつかの巻も「第8輯巻之4上」「第8輯巻之4下」などという具合に分割されだし、第9輯に至っては、巻より大きなまとまりが「上套」「中套」「下套上」「下套中」「下帙下甲」「下帙下乙上」「下帙下乙中」「下帙下編上」「下帙下編中」「下帙下編下」という具合につづいていき、全106冊のうち半分以上が第9輯に入るという、何とも奇々怪々な構成になっています。「9輯」で完結させることにこだわったのでこうなってしまったということだそうで、もうちょっと最初から何とかならなかったのかいなと思わざるをえませんが、まあ人気作品というのは得てしてこんな具合になってしまいがちなのかもしれません。

2017年7月 7日

合刻そのほか-和漢古書の書誌作成単位(2)

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

前回、四書五経に代表される、セットで刊行されている図書について見ましたが、最初から『四書』『五経』といった「セットの書名」なしで、一そろいのものとして刊行される場合もあります(もっとも「四書」「五経」の場合でも、そうした「セットの書名」自体は現物のどこにも見あたらないということは珍しくありません)。こうしたものについては「合刻本(がっこくぼん)」という言い方があります。
「合刻本」は、広義にはセットの書名がある場合を含めてもよいですが、その場合はセットの書名をタイトルとする上位の書誌と書誌階層を形成するかたちになるのに対し、セットの書名がない場合は、そういう具合にはいきません。後から貼られた帙題簽から親書誌の書名を採用したり、目録作成者が仮のセット書名をつけたりすることはもちろんありうるでしょうが、あまり恣意的にやりすぎるのも考えものです(ちなみに、『日本古典籍総合目録データベース』などでは、こうした場合「書名なし」という仮想の親書誌を作って階層構造化しています)。
もちろん、物理的に1冊になっている「合刻本」は、「合集」として1書誌でデータを作ることになるでしょうが、全5冊で最初の2冊がAという著作、あとの3冊がBという著作、などという場合、やはり書誌は別々に作成し、それぞれの書誌に、「『○○』と合刻」といった書誌的来歴の注記をして、「兄弟書誌」の存在を明記しておく、というやり方がよいかと思います。個々の巻次を記録しない冊子目録などでは、1冊の場合と同じように1書誌にしていることもよくありますが、オンラインデータベースでそれを踏襲する必要はかならずしもないでしょう。

さて、これらの合刻本ですが、四書五経などの場合と同じく、合刻の出版事項も「兄弟書誌」の最初か最後にしかない場合が多いです。ですので、合刻であることを把握できないと、いたずらに「出版事項不明」の残念な書誌が増えていくことになります。整理している中でつづけて出てくればピンときますが、間隔が空いて出てくると突き止めにくいこともあり、経験を要するところかもしれません。
四書五経に関連するもののほか、よく目にする合刻本としては、和古書では『保元物語・平治物語』『辨道・辨名』(荻生徂徠)『中華事始・大和事始』(貝原恥軒)『非徴・非物篇』(五井蘭州)『作文率・文用例證』(山本北山)などが、漢籍では『帝範・臣軌』『黄帝内經素問・黄帝内經靈樞』『圓機詩學活法全書・圓機韻學活法全書』『張子全書・周子全書』(張載(横渠)・周敦頤(濂渓))『救荒野譜・救荒本草』(王西樓・徐光啓)などがあげられます。
『老子翼・荘子翼』『李太白詩・杜工部詩集』(李白・杜甫)『柳文・韓文』(柳宗元・韓愈)なども、よく読むと合刻の序跋や目次があってそこから『老荘翼』『合刻李杜詩集』『韓柳文』などと上位階層の書名を採用することができたりもしますが、こうしたものも、刊記はたいてい、合刻のセット全体で一箇所にしかありません(なお、長澤規矩也氏に「和刻漢籍の合刻本・合印本とその處理法」(『著作集』第4巻所収)という一文があることをご紹介しておきます)。

「合刻本」は長澤氏の『図書学辞典』にも「二、三種の本が、互いに軽重の別なく、まとめて出版されたもの」とあるように、どちらがメインということがない場合を言い、これに対し、あきらかに従属的・附録的なものが本体と別のタイトルで刊行されている場合、これを「附刻本(ふこくぼん)」と称します。NACSIS-CATなどでは、おそらく「バランスしない書誌」のかたちで作成するのがもっとも適切でしょう。
よくお目にかかるものとしては、『韓非子』に附した『韓非子識誤』(顧廣圻)、『日本書紀』に附した『日本紀文字錯乱備考』(大関増業)、『春曙抄』に附した『枕草紙装束撮要抄』(壺井義知)、『伊勢物語古意』に附した『よしやあしや』(上田秋成)などがあげられます。
「附刻本」の出版事項は、メインのものとまったく同じ刊記があったり、あるいは全然別の年月の刊記があったりすることもありますが、本体と附刻あわせて刊記がどちらかの一方にしかない、ということもやはりよくあります。ですので、上記の合刻本の場合と同じく、関係する書誌があるのに「出版事項不明」で放ったままにしておかないよう、注意しなければなりません。

なお、セットものや多巻ものなどで、全体の一部分のみを抜き出して刊行したもののことを「抽刻本(ちゅうこくぼん)」と称します。『史記』列伝第45の「扁鵲倉公傳(へんじゃくそうこうでん)」を抽刻したものや、『延喜式(えんぎしき)』巻第9-10の「神名帳(じんみょうちょう)」のみを刊行したものなどがあり、こうした場合、何という本からの・どの巻の抽刻かということを注記しておかなければなりません(ちなみに、『大学』『中庸』はそれぞれもともと『礼記』の一篇なのですが、これはさすがに抽刻本とは称しません)。
なお、抽刻というのとはすこし違いますが、『日本書紀』は、全30巻で刊行したものより、最初の「神代」2巻のみを刊行したもののほうが多数派です。これについては、とくに注記はせず、書名として『日本書紀 神代2巻』と記録しておくのが適当だろうと思います。

2017年7月 6日

ぼくと握手!

こんにちは。新刊 中村です。
7月の雑記のお題は「公園」。

データ部のある文京区には沢山の公園があります。
なかでもここぞと言えば、駅名にもなっている「後楽園」があがるでしょう。

 はるか遠い幼き日、後楽園ゆうえんちのヒーローショーは子どもたちの憧れでした。テレビで「後楽園でぼくと握手!」と言われるたび、これは私を誘っているに違いない、ぜひ行きたいものだと夢見ていました。
 そしてついにその日がやってきました。父が「後楽園行くか」と誘ってくれたのです。ひそかに一張羅を着て出かけた先は...ただの庭。ヒーローは待っていません。
 その時私は知りました。ヒーローやドンチャック(遊園地のキャラクター)が待つ「後楽園ゆうえんち」のほど近くに「小石川後楽園」なる庭園があることを。
 お庭を散策し記念写真を撮る。その頃よくあるおでかけでしたが、時おり聞こえるゴォーッというジェットコースターの音や、向こうの空に見える落下傘のような遊具に、心は沈むばかりでした。

 月日が経ち小石川後楽園の味わい深さもきっとわかるようになったはずですが、ブルーな思い出が邪魔をして、入社以来一度も行ったことがありません。いつかぜひ行ってみたいものです。


2017年7月 5日

きょうのデータ部☆(7/5)

3Fの廊下の窓から外をみると道の向うで工事中
のはずが、2週間前はまだこの状態。

7gatu-10.jpg


今週は、もうこんな感じでした。あっというまですね。

7gatu2-10.jpg

 写真は、少しトリミングしてあります。

2017年7月 4日

謎はいつまでも尽きず

本日は、週刊新刊全点案内2019号の発行日です。
掲載件数は1128件でした。
今月の表紙はこちら。

p20170704.jpg

子供の頃、初めて海に連れていってもらった時、
砂浜に沢山奇麗な貝殻が落ちているのかと思ったら
実際は、割れていたり、割れていなくても、それほどのものでなかったり・・・
漸く、模様のきれいな巻貝を見つけた時はそれはそれは嬉しかった!(Juriさん)

*こんな本がありました*

さらに悩ましい国語辞典

神永 曉 (著)
時事通信出版局(2017.6)

辞書編集者を務める著者が、言葉の謎に頭を悩ませつつも様々なことについて解説をしてくれています。
最近よく聞く「忖度」の本当の意味とは?
「で」が「に」になったり「粟」が「泡」になったりと揺れの多い「濡れ手で粟」の話、
「施策」は「シサク」?「セサク」?などなど...。
ただでさえ時の移ろいと共に変遷していく言葉、これに関する謎というのはきっといつまでも尽きないのだろうな...と思わせてくれる、奥深い話に溢れた1冊です。

個人的にへぇーと思ったのは、「だらしない」の話。
元々は「しだらない」の言い間違いから生まれた言葉だそうです。確かにしだらないでも似たようなニュアンスは感じる...ものの、口にするときはだらしないの方がなじむような気がします。
言い間違いの方が用いられるようになった言葉は他にもあるようで、「山茶花(さざんか)」も元は「さんざか」だったそう。
最近では、「雰囲気(ふんいき)」をスマホで「ふいんき」と打ってしまっても予測変換に出てくるようになりましたが、もしかするとこちらも入れ替わってしまう日がくるのでしょうか...?

2017年7月 3日

空飛ぶ...~新設件名のお知らせ2017年6月分~

明日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名標目のお知らせ」を掲載しています。
新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。

6月は8件の件名を新設しました。そのひとつに「よくりゅう(翼竜)」があります。

翼竜といえばプテラノドンが有名ですね。恐竜の人気ランキングがあったらけっこう上位に入るのではと思います。しかし、翼竜は、厳密には恐竜ではないということをご存じでしょうか?
恐竜は陸上で四足もしくは二足で直立歩行をしていたものを指します。恐竜と翼竜は同じ爬虫類で近縁種ではあるけれど、系統としては別。翼竜は「空飛ぶ爬虫類」であって、恐竜ではないそうです。

ということで、新設する機会をねらっていたところ、タイミングよく1冊まるごと翼竜の本がきたため、めでたく新設となりました。

ちなみに、恐竜と混同されがちな爬虫類には「くびながりゅう(首長竜)」という件名もあります。日本で発見されたフタバスズキリュウなどがこれにあたります。
次の新設候補はぎょりゅう(魚竜)でしょうか。1冊まるごと魚竜の本が出ないかと、恐竜好きとしては心を熱くして待っています。

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