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2017年9月 アーカイブ

2017年9月28日

目に魅せられて


こんにちは。分類の青野です。
今月の雑記テーマは「昔、こわかった本(トラウマ本)」。

子供の頃「モチモチの木」や「ソメコとオニ」がこわかった気が。。。
なんでだろうと考えてみると、お話ではなく滝平二郎さんの絵のくっきりした線と鋭い(と当時感じていた)目からなんとなく恐れを抱いていたようです。

ちょうどその頃、祖父母の家でお手洗いに滝平二郎さんのきり絵カレンダーが飾ってあったことも関係あるかもしれません。
トイレの花子さんが怖いお年頃だったため、カレンダーは更に恐怖を助長しているようでした。家族で談笑している中を離れて、しーんとしたそのお手洗いに行くのは毎回勇気のいることだった、ということを思い出します。

大きくなってからは鋭いと思っていた目にも優しさがあり、温かみのある絵なのだなと感じるようになりました。
今絵本を読んだらどんな印象を持つのだろう?久しぶりに読みなおしたくなっています。

2017年9月27日

きょうのデータ部☆(9/27)

2Fテラスからの一枚。
少し雲が多めですが、秋らしく空が高いです。
p20170927.JPG

2017年9月26日

柔らかくなりたい

本日は「週刊新刊全点案内」2030号の発行日です。
掲載件数は1178件でした。

*こんな本がありました*

「新しい分かり方」

佐藤雅彦(著)
中央公論新社(2017.9)


著者はEテレの「ピタゴラスイッチ」を監修されている方です。
録画するほどハマっていた友人に教えられて初めて観た時は
これ子ども向け?と思うほどの衝撃を受けた記憶があります。


あとがきに「こんなことが自分に分かるんだ」とか
「人間はこんな分かり方をしてしまうのか」
というようなことを分かるための機会をたくさん入れようと構想しました
とありました。
本の中のお題をいくつか試してみましたが
(もちろん昼休みに)
自分の頭のカタさに脱力してしまいましたが
面白い考え方を考えつく人の頭の中を覗けたような、不思議な本です。

最近「ピタゴラ~」見かけていないなと思ったら、
自分が朝起きられなくなっていただけで
甥っ子に現在も続いていると怒られてしまいました。
夕方にもやっているとアドバイスをもらいましたが
調べたら月曜日の15時台。
ごめんね、起きているけど仕事中。
かつての友人を見習って録画鑑賞して、5才児との共通の話題作りに努めたいを思います。

2017年9月25日

ADEAC秋の公開情報 その2

今週も先週に引き続き、ADEACの公開情報のお知らせです。
今回はADEACで今春以降に大幅リニューアルされた機関をご紹介いたします。
すでに公開されていた史料に加えてあらたに貴重な史料が何点も追加されています。
「前に見たことある」という方ももう一度のぞいて見て下さい!


◆多摩デジタル新選組資料館 新選組関連資料
昨年度まで「小島資料館 梧山堂雑書・新選組関連資料」という名称で公開していましたが、
佐藤彦五郎新選組資料館の史料も公開するにあたり名称を変更してリニューアル公開が始まりました。
新選組についての資料だけでなく、多摩地域に関する史料や古文書、地図なども追加されました。
新選組の史料ともあわせて、近藤勇らが過ごした当時の多摩地域についても思いをはせながらご覧ください。


◆船橋市西図書館 船橋市デジタルミュージアム
「船橋市西図書館 貴重資料」として公開していましたが、こちらも名称を変更しリニューアル公開しました。
それまでの浮世絵等に加え、新たに絵はがきや船橋ゆかりの画家・椿貞雄さんの作品なども公開しています。
また、「ふなばし産品ブランド」をPRキャラクターの「目利き番頭 船えもん」を探すミニゲームコーナーもあります。
ぜひチャレンジしてみて下さい!


◆北杜市図書館 金田一春彦記念図書館アーカイブ

言語学者・国語学者の金田一春彦さんと平山輝男さんの研究資料のデジタルアーカイブです。
昨年より一部資料を先行公開していましたが、高精細画像と音声データあわせて約1700点分の資料が閲覧可能になり本公開が始まりました。
全国各地の方言の調査資料がありますので、ゆかりのある地域の方言の音声データを聞いてみたり各地のイントネーションを聞き比べてみるのはいかがでしょうか。
10月8日には公開を記念したシンポジウムも開催されますので、ご興味のある方はぜひともご参加ください。


大幅リニューアルされた3つの機関についてご紹介させていただきました。
さて来週は公開情報ではなく、ADEACに関連していろいろなイベント等のお知らせをさせていただこうと思います。
次回は10月6日(金)更新予定です。お楽しみに!

2017年9月22日

T市のビジネスホテルにて

こんにちは。
営業部で、北関東の某県を担当していますOです。
2年前までデータ部に所属していた縁で、今日はこの部ログにお邪魔しています。

営業になってよかったことは、毎日のように色々な図書館を訪問できること。お世話になっている図書館員のみなさま、いつもありがとうございます。
同じ県内でも、図書館ごとの雰囲気や企画展示、開催されるイベントは様々です。そのため、訪問した図書館内を、ぐるりと見学して帰るのが好きです。
選書にかける思いも十図書館十色。担当の方がどのような方針を持って資料を選んでいるのかというお話を聞くと、いつもとても勉強になります。そして、元データ部員にとっては、選書の際どのようにTRC MARCや週刊新刊全点案内が使われているか・・・を教えていただけるのも、とても有難い機会です。

さて、今月の雑記のテーマは『むかし、こわかった本』です。今日は雑記を書く曜日ではないのですが、テーマを少し拝借して。

私は小さなころ、戦争に対する恐怖心が人より強かったような気がします。小学校の低学年のとき、図書館で読んでいて、ページをめくる手が動かなくなったのがこちらの本でした。

火垂るの墓
(徳間アニメ絵本 5)

野坂昭如(原作) 高畑勲(監督)
徳間書店(1988.8)

主人公たちの苦しい生活の様子に耐えられず、泣きながらそっと本を閉じたあの日から、20年以上が経ちました。先週、仕事で北関東・T市のビジネスホテルに宿泊し、翌朝ミサイル発射の「緊急速報メール」を受信しました。前回は都内の自宅におり受信しなかったため、このときが初めての経験でした。
こわかった。
空襲警報とはこのようなものだったろうかと、とっさにもぐったホテルの薄い布団の中で考えました。そして、もしこの警報メールが鳴るのが当たり前になってしまったら。これからの暮らしは、どうなるんだろう。大げさではなく、そんなことを考えました。一方で「これは果たして本当に起きていることなのだろうか」という、どこかぼんやりした感覚もありました。再度携帯電話が鳴ってミサイル通過を知らせるメールが届き、布団からは出ましたが、しばらく朝の支度にとりかかれませんでした。ただテレビの報道を、やはりどこかぼんやりした気持ちでみていました。

今年の夏も、訪問した図書館内をぐるりと見学すると、「戦争と平和」について考える展示コーナーをよく見かけました。もう、『ほたるの墓』がこわい、読めない、と言っている場合ではないですね。そして、私たちの生きる世界の過去・現在を知ること、未来を考えるためのヒントを得ることの重要さなども思いました。

来年の夏は、こわい思いをすることなく過ごせますように。

2017年9月29日

書評情報 ~MARCや検索の話~

こんにちはデータ部新刊 中村です。

 先日塩を入れた容器を派手に倒し、週末にまとめ読みするのを楽しみに積み上げて置いた新聞が塩まみれになりました。
はらってもジャリ感が消えないので、今週はまとめてチェックを諦めました。

 新聞をまとめて読んでどうする!という方もいらっしゃるでしょうか。
 確かにトップニュースはタイムリー感が大切ですが、中ほどの読み物記事や書評コーナーはまとめて読むのが楽しいのです。

 そんな新聞の書評コーナーがMARC作成に役目があり、『週刊新刊全点案内』でも活躍中だとご存知ですか?
 MARCには「書評情報:新聞名、掲載日、『週刊新刊全点案内』掲載号数」というタグがあり、
 『週刊新刊全点案内』には「書評に載った本」というコーナーがあります。

 この情報を入力するために、担当者が実際に新聞をめくってチェックし、MARCに情報を入力しています。 
 対象としているのは「朝日新聞」「産経新聞」「日本経済新聞」「毎日新聞」「読売新聞」「中日新聞・東京新聞」の6種7紙です。新聞チェックが終わったら、該当する本のMARCを検索し、書評情報を入力します。書評に取り上げられる本は既に発売されていることがほとんどなので、一度完成したMARCを呼び出して、追加情報として入力することになります。

 『週刊新刊全点案内』の「書評に載った本」のコーナーで紹介するのは、誌面の都合があるため「はじめて書評にとりあげられたもの」のみとしています。同じ本があちこち複数の新聞に紹介されることがありますが、そのたびに何度も登場することはありません。
 しかし書評情報は複数入力しますのでMARC上には複数の新聞名があることもあります。

 たとえば、2017年上半期芥川賞を受賞したこちらは、6紙の書評欄に登場したようです。
影裏」

沼田真佑(著)
文藝春秋(2017.7)

 そして私がよく行く書店でテーマ特集されていた「定年後」の話題作、
定年後」
楠木新(著)
中央公論新社(2017.4)
は、5紙に取り上げられています。

「TOOLi」では、新聞名および掲載日からの検索が可能です。 
「このあいだの○○新聞に載っていたという本を探したい」というリクエストや、「購入の参考にしたい」という時に是非ご活用ください。

2017年9月21日

見るのも触るのも

新刊の藤澤です。
今月の雑記テーマは「昔、こわかった本(トラウマ本)」。

こちらのお題を振られましたが、思い当たるものがなくて悩みました。
子どもの頃は極度の怖がりで、こわい気配がするものには一切手を出さず。大人になってからは貧相な読書生活で、興味のないホラーまで手がのびず。今、毎日のように入荷する怪談本をみていると、この世界を楽しめないと人生損してるんだろうな...とは思うのですが。

子どもの頃怖かった本の2大巨頭は、自宅にあった「モチモチの木」と「すてきな三にんぐみ」。どちらも大人になってから読んで、胸をゆさぶられましたが、当時は、表紙が見えないように!触らないように!と本棚の一番端に押し込んでいました。

図書室のルパンやら少年探偵団やらの一角には近づかない、学級文庫に担任が置いた水木しげる「悪魔くん」全集からは目をそらす...。思い返すと、怖いものだらけの中、よく頑張った!と昔の自分をほめたい気もします。でも、人生損してるんだろうなと思います。

2017年9月20日

きょうのデータ部☆(9/20)

2Fテラスからの一枚。
今日は生憎の曇天。水墨画のような空が広がっています。
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2017年9月19日

災害に学ぶ

本日は「週刊新刊全点案内」2029号の発行日です。
掲載件数は1122件でした。

*こんな本がありました*
「病院からの全患者避難 災害医療フォーラム全講演」

福田幾夫(編)
医薬ジャーナル社(2017.9)

タイトル関連情報にもある通り、2015年と2016年に開催された「災害医療フォーラム」の講演集です。
地震や水害などの自然災害によって被害を受けたとき、病院はどうやって避難をしてきたのか。病院の機能が低下した中で、どうやって人々の診療を続けたのか。経験者の講演とその後行われた討論が収められています。

今まであまり想定されてこなかった病院の被災。実際の災害に学ぶことで、いざというときどうしたらいいのか、備えたり想定したりすることの大切さが伝わります。

2017年9月15日

新種目続々~分類・件名のおはなし・76~

2020年東京オリンピックが決定してから、たくさんのオリンピック本が出版されましたが、最近目にするのがオリンピックの「新種目」に関係する本です。たとえばこちら。


「スポーツクライミング教本 完全図解」

東秀磯(著)
山と渓谷社(2017.6)


東京オリンピックで「スポーツクライミング(ボルダリング・リード・スピード複合)」の種目の追加が決定しました。分類は786.16 ロッククライミング.フリークライミングです。

ここで、件名をどうするのかが問題になりました。
今までTRCでは、岩(壁)を登るスポーツには「ロック クライミング」を付与していました。
オリンピックの種目にもなったし、「スポーツクライミング」を新設する? ついでに気になっていた「ボルダリング」も作った方がよい?

色々調査した結果、ロッククライミングが一番上の概念で、道具を使うエイドクライミングと、安全確保以外の道具は使わないフリークラミングにわかれており、ボルダリングはフリークライミングの一種と判明しました。スポーツクライミングは3種類のフリークライミングを含む競技の呼び方のようです。
書いているだけで頭が混乱してきますが、このような色々な呼び方の件名をそれぞれ作ってしまうと、かえって件名が使いづらいのでは、という結論に達しました。

結果、これまでと同様「ロック クライミング」を付与することにしました。
「ボルダリング」「フリークライミング」「スポーツクライミング」は参照形を作成しましたので、典拠ファイルを使うと、どの言葉からも検索が可能です。

2017年9月14日

嫌いは好きの裏返し?

こんにちは、典拠の木内です。
今月の雑記テーマは「昔、こわかった本(トラウマ本)」。
思い当たります。こどもの頃こわかった、でも、開かずにはいられなかった本。それは、家にあった百科事典です。百科事典ブームに乗って(?)我が家にもずらっと並んでいました。

百科事典の何がこわかったのか?
はい、それは「惑星」の項目。宇宙というものの認識もあやしいこども時代ですから、説明されている惑星の大きさ、地球からの距離、ビジュアルに脅威しか感じませんでした。とりわけて木星と土星がダメでした。なにこの巨大さ!なにこの輪っか(土星リング)!
想像をはるかに超えた惑星に戦々恐々...。でも、家にあった百科事典の思い出がこの「惑星」しかないということは、裏をかえせば興味津津だったのかもしれません。

プラネタリウムへ出かけたり、大人になってから天文講座をひそかに受講したり、岐阜県にあるスーパーカミオカンデへ見学に行ったり。嫌いは好きの裏返し? そうか、やっぱり惑星が好きだったのか。この記事を書きながら、今はもうない実家の百科事典をなつかしく思い出しました。

2017年9月13日

きょうのデータ部☆(9/13)

2Fテラスからの一枚。
今日はすっきりとした空模様。天気が良いと気分も良いです。
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2017年9月12日

ワンダフル

本日は週刊新刊全点案内2028号の発行日です。
掲載件数は1151件でした。


*こんな本がありました*

ワンダフルストーリー
(PHP文芸文庫)

伊坂幸犬郎(著)
PHP研究所(2017.9)


犬をテーマにした物語を集めた短編集です。

著者は

伊坂幸犬郎
犬崎梢
木下半犬
横関犬
貫井ドッグ郎

誤植ではありません。
犬にちなんだ名前を使用しているのです。
著者紹介でのよみがなも
「こういぬろう」「いぬざき」「はんいぬ」...
となっています。

この本のためのペンネームのようで、今のところ2014年に刊行された単行本と、今回の文庫本にしか出現していません。

人名典拠ファイルでは記述形として作成しています。

2017年9月11日

ADEAC秋の公開情報 その1

秋のADEAC公開情報のお知らせです。
と言っても前回4月のお知らせからたくさんの新しい史料が増えました!
一度では紹介しきれないので数回に分けて見どころをお知らせしたいと思います。
今回は少しさかのぼって4月後半から9月1日までの間に新たにADEACで公開が始まった機関をご紹介いたします。


◆常総市 デジタルミュージアム
(4月26日公開)
常総市の歴史史料や合併前の水海道市史・石下町史などを公開しています。
中でも国指定重要文化財「坂野家住宅」のパノラマ3Dでは、住宅の内部を360度見てまわることができます。
坂野家住宅は携帯電話会社のCMでも使われているので、見覚えのある方も多いのではないでしょうか。
それぞれの部屋を見て回り部屋の解説なども同時に読むことができます。


◆跡見学園女子大学 図書館所蔵百人一首コレクション
(5月30日公開)
跡見学園女子大学図書館が所蔵する「百人一首コレクション」を高精彩画像で見ることができます。
百人一首と言っても多種多様、史料の種類も幅広くさまざまなタイプの百人一首に関する史料を公開しています。
比較的なじみのある百人一首ですから、どんなことが書かれているのかがわかりやすく見比べる楽しさがあります。
大学図書館ですとなかなか一般利用が難しいことが多いので、このように貴重な史料を見られるのはうれしいですね。


◆安城市図書情報館 地域資料デジタルアーカイブ
(6月1日公開)
昭和6年から昭和18年まで刊行された「安城町農会報」、大正13年から昭和10年まで刊行された農業研究誌「安城農報」の全巻公開の他に、安城市図書館所蔵の古地図などを高精細画像で見ることができます。
昭和初期から高度経済成長期に出版された史料が多く、安城市の当時の様子や発展の過程を知ることができます。


◆木曽町図書館 合併町村史
(6月2日公開)
木曽町合併前の木曽福島町・日義村・開田村・三岳村の四つの町村史などを全ページ公開しています。
町村史に限らず、木曽町について書かれたブックレットや写真集なども見ることができます。


◆静岡県富士山世界遺産センター 静岡県富士山資料デジタルアーカイブ
(7月10日公開)
絵はがきコレクター平川義浩氏のコレクションの中から富士山の絵はがき約450枚を見ることができます。
こちらもひとくちに絵はがきと言ってもジャンルも多種多様!
中には明治時代の絵はがきもあり、現代の絵はがきとはまた趣の異なる味わいのある絵柄に、思わず「欲しい~」と思ってしまうものもあります。
それぞれジャンルは違っても必ず富士山という共通点があるのも面白いです。


◆たましん地域文化財団 『多摩のあゆみ』バックナンバー
(9月1日公開)
多摩中央信用金庫(現・多摩信用金庫)が昭和50年に創刊し店頭で無償配布している「多摩のあゆみ」の創刊号から第100号までを公開しています。
多摩地域の歴史・民俗・地理・自然などの情報を調べることができます。
今も刊行の続いている季刊誌ですが、なかなか手に入らない過去のバックナンバーです。
現在のものをご存じの方はぜひ見比べてみて下さい。


◆徳島県立図書館 とくしまデジタルアーカイブ
(9月1日公開)
徳島県立図書館所蔵の貴重な郷土資料の中から絵図・古地図58点を公開しています。
一辺2メートルを超える絵図もありますので、ぜひ拡大してご覧ください。


手短にご紹介させていただきましたが紹介しきれない部分もありますので、ぜひ実際にアクセスしてご覧下さい。

次回の9月25日ではリニューアルされた機関についてご紹介します。
また続きをお楽しみに!

2017年9月 8日

ソンとスン ~典拠のはなし~


先日、アメリカの女性詩人を描いた映画
「静かなる情熱 エミリ・ディキンスン」を観てきました。


エミリ・ディキンスン
(Emily Dickinson 1830~1886)。


生前には10篇ほどしか発表されず、
没後1800篇近くの詩が見つかったこと。
その詩が今や多くの人に影響を与えていること。
後半生は白いドレスに身をつつみ、
ほとんど屋敷から出ることがなく、
家族以外の人との交渉を拒んで過ごしていたこと。


謎も多いこの詩人を、女優シンシア・ニクソンが
見事に演じていました。

今回の典拠のはなしでは、
このエミリ・ディキンスンが活躍した19世紀ごろの
著名な西洋人を調査するために使っている資料をご紹介します。


こちらの記事では明治期以前に活躍した日本人の資料を
ご紹介しました。
さて、西洋人はどんな資料をみていくのでしょうか-


歴史上の人物や著名な人は、
参考資料に多く用いられている形を統一形としています。
第一に見る資料は、日本人の調査の場合と同様
「人物レファレンス事典」(日外アソシエーツ)。


それ以外にも、統一形を決めるために参考にしている
人名辞典があります。

19世紀ごろに活躍した西洋人について調べるときは

コンサイス外国人名事典(三省堂)
岩波西洋人名辞典(岩波書店)
岩波世界人名辞典(岩波書店) 
平凡社大百科事典(平凡社)


広く網羅しているのはこの4冊。


エミリ・ディキンスンのように文学関係の人の場合は

新潮世界文学辞典(新潮社)
集英社世界文学大事典(集英社)
も照会します。


西洋人の調査では、こちらもよく使用します。

キリスト教人名辞典(日本基督教団出版局)


西洋人名を人名辞典で調査する際に注意すべきは、
翻訳の仕方が辞典によって異なることです。
見出しは日本語で書かれるのが一般的。
ですが、翻訳のしかたに、
それぞれの個性がでることもあります。

たとえば 先ほどより例にあげているエミリ・ディキンスン。

映画の邦題では「エミリ・ディキンスン」とされていましたが
「平凡社大百科事典」の見出しは「ディッキンソン」、
「コンサイス外国人名事典」「岩波西洋人名辞典」
「岩波世界人名辞典」「新潮世界文学辞典」
「集英社世界文学大事典」では「ディキンソン」。


「新潮世界文学辞典」「集英社世界文学大事典」の凡例には
英語の語尾にある「~SON」は「ソン」と訳し
「スン」とはしない旨明記されています。
各社、編集方針があるのですね。


語尾の部分が違うのであればまだしも、
先頭部分の翻訳が違う場合、掲載されているのに
探せなかったという事態が起こる恐れも。
かといって翻訳されるであろうパターンを
想定しながら探すのは大変です。
こんなとき力を発揮するのが、索引。


外国人名を掲載内容に含む人名辞典には
原綴索引が必ずあります。
こちらを使えば翻訳のしかたに左右されずに、
掲載されている人名を探し当てることができます。


西洋人名の調査の時は原綴索引を必ず見る。
これが典拠のチームのお約束ごとです。

2017年9月 6日

きょうのデータ部☆(9/6)

昨日、2Fテラスからの一枚。
すっきりしない天気が多いですが、雲間から空が見えるとうれしくなります。
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2017年9月 7日

封印!

こんにちは。典拠 小松です。

9月の雑記のお題は「トラウマ本」です。

「何」が思い出すのもイヤという気持ちを植え付けるのかはそれぞれですね。

私の苦手な本の題材は、お化け幽霊の類ですが、
今回は、他の人の苦手の話を...。

図書館蔵書のチームで仕事をしていたころ、工場から送られてきた荷物の中に厳重にコピー用紙でくるまれた1冊がありました。

見れば「開ける時は注意してください」と、くるんだ紙に付箋が貼ってあります。

図書館から送られてくる荷物については、こういうこと実はよくあります。汚れやすかったり、傷みやすかったり、すでに傷んでいたりなどというものです。うかつに開けると分解しちゃったりしますからね。

しかし、工場からの荷物は大抵新しい本。
なので「なぜ」と思いつつ開けてみたところ...

なんと、そこにあったのはフルカラーの爬虫類の図鑑でした。
表紙にはシャーッと威嚇する蛇、くつろぐトカゲ、重なり合うワニなどなど色鮮やかな爬虫類がたくさん並んでいます。

実は、工場の担当者が、蛇、トカゲの類が大の苦手。
フルカラー写真のカバーを触るのすらイヤと、ひける腰で一生懸命にコピー用紙で梱包して、やっとのことで箱に詰めたのだそうです。

その姿を想像すると、本人には悪いのですが、笑ってしまいました。

ちなみに、お化けが苦手な私の嫌いなものは怪談ですが、
秀逸な怪談は、読み終わるまで怖くないのが、たちが悪い。

最近の一番のおすすめ?は、

続きを読む "封印!" »

2017年9月 4日

分散型台帳技術ともいうそうです~新設件名のお知らせ2017年8月分~

明日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名標目のお知らせ」を掲載しています。
新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。

8月は11件の件名を新設しました。その中に「ブロックチェーン」があります。

ブロックチェーンについて記述のある図書は昨年から刊行され、累積件数も着々と増加しています。また、最近では仮想通貨以外への利用拡大にも期待が集まっているようで、件名「仮想通貨」では内容を表現しつくせないブロックチェーン技術の本も出始めましたので、このたび件名標目として採用しました。

実は私、新設を検討する段階で「ブロックチェーンって件名はもうあったのでは?」と思ってしまいました。今年1月に「フィンテック」を件名標目として新設したので混乱したようです。カタカナ語に弱いのがまるわかりですね、お恥ずかしい。

2017年9月 1日

表紙よいずこ-和本の装丁(4)

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

前回まで、和本のさまざまな装丁ということで、冊子と巻物のことを見てきましたが、和漢古書の整理の現場では、そもそも狭義の「本」ではない、平面の紙1枚になっている絵図やら地図やらを整理しなければならないこともしばしばあります。
平面の紙1枚のこれらのものは、そのままの呼び方ですが「一枚物(いちまいもの)」と称します。中には、広げると非常に大きいものになることももちろんあり、そうした場合しばしば折りたたんだ状態で保存するようになっています。すなわち、現代書の地図などでもこれはよくありますが、最初から折りたたんだ大きさの表紙・裏表紙をつけて造本されているものがあり、これらを「畳物(たたみもの)」と称します。
和漢古書では、一枚物は「枚」で数えるのに対し、畳物は「舗(ほ)」で数え、対照事項として広げた大きさを記録した後に、折りたたんだ状態での大きさを括弧に入れて付記します。ちなみに、冊子は「冊」、折本と旋風葉は「帖」、巻物は「軸」で数えます(なお、現代書では、一枚物も畳物も「枚」、巻物は「巻」で数えますので、注意が必要です)。

一枚物や畳物の場合、書名の情報源としては、本紙に題字欄がある場合は、それが第一優先となります。畳物の場合は、表紙や題簽にきちんとした書名があることもしばしばありますし、以前合巻のところで触れた「袋」に入っていることもわりとあります。出版事項については、ちゃんとした刊記がある場合もありますが、図の欄外に小さな字で記されていることも多いです。
ただ、書写資料の場合は、情報がそもそも乏しいことが多く、目録作成にもいささか難渋します。端書(はしがき)や奥書(おくがき)があれば、その文中から書誌情報を拾うことができる場合もありますが、本紙の表には何も書誌情報が無く、紙の右上の裏にあたる端裏(はしうら)に記された後人の仮題からタイトルを採用するしかない、といったことも多いかと思います。

さて、この「一枚もの」と「畳もの」ですが、表紙や袋が残っている場合は「畳もの」ということで問題ありませんが、表紙が取れてしまっていると、折り目がついているからと言って、さてどちらとすればよいのか判断しかねることがよくあります。現状たたまれているとしても、それはたんに保存していたひとの都合で折りたたんだだけで、もともとは折りたたまないはずで造られていたのかもしれません。逆に刊記の配置などからして、明きらかに折りたたんだ状態を前提としているようであっても、表紙をつけた形跡はどうも最初からなかったりするものもあります。
ということで、このあたりの判断は何ともむつかしいところではありますが、折り目がついているイコール畳物ということではない、という前提のもと、個別に適宜判断していくしかないようです。

整理の現場では、こうしたもの以外にも、掛軸や歌留多(かるた)といった「物品」に出くわすこともありますが、こうしたものはやはり「博物資料」として、図書とは区別して整理したほうがよいでしょう。
証文や手紙などを含むいわゆる「文書(もんじょ)」も、物品などよりはるかに高い割合で和漢古書のなかに混在していますが、ほんらいは図書と区別して整理すべきものです。形態的には冊子のものも多数ありはしますし、『日本古典籍総合目録データベース』のなかにもけっこう数多く収録されてしまっていたりするのですが(つとに長澤規矩也氏がこのことを『国書総目録』の大問題点の一つとして指摘しておられます)、次回見るようにやはり根本的に違う性格のものですので、「図書」の整理対象からは原則としてはずすべきでしょう。
といって、コレクション形成の過程において、こうしたものも含まれてきてしまうのは、それはそれで当然のことでもありますので、まとまった分量でなく少量であれば、「図書」の目録規則をあてはめて整理するのは、現実問題としてはとやかく言うことでもないだろうとは思います。

2017年9月 5日

謎の浮世絵師

本日は週刊新刊全点案内2027号の発行日です。
掲載件数は1198件でした。
今月の表紙はこちら。

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田舎の方では、この季節になると鳥を脅す「パーン」という音があちこちで響いて夏の終わりをその音で実感していました。ついでに夏休みも終わるので、何とも切ない音でもあった様な...。(Juriさん)


*こんな本がありました*

「ヘンな浮世絵 歌川広景のお笑い江戸名所」
(コロナ・ブックス)

歌川広景(画),太田記念美術館(監修),日野原健司(著)
平凡社(2017.8)

浮世絵で「歌川広」ときたら、まず思い浮かぶのは「歌川広重」ですが、
この本で紹介されている浮世絵師は「歌川広景」。
ん?見慣れない名前だぞ...?

それもそのはず、
文中でも「無名の浮世絵師」「謎の絵師」と称されるほど、一般的にはあまり知られていない浮世絵師なのだそうです。
一応、歌川広重の弟子とされているそうですが、その根拠も実は希薄なのだとか。
...なんだか気になる存在です。

掲載作品「江戸名所道戯尽」をパラパラ見てみると、
 ふんどし姿の若者が雪道ですってんころりんしていたり、
 暴れ馬が糞尿を撒き散らしていたり、
 酔っ払いが立ち小便をしていたり、
せっかくの名所が台無しでは?!と、良い意味で衝撃的な浮世絵ばかり。
「江戸っ子変顔コレクション」などのコラムもおもしろく、
ますますこの謎めいた浮世絵師に興味がわいてきます。

太田記念美術館へ、いつか実物を見に行ってみようと思います。

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