きょうのデータ部☆(3/31)
本社ビル脇に「同潤会大塚女子アパート跡地」の碑があります。
本にも取り上げられた歴史ある建物でした。
本社ビル脇に「同潤会大塚女子アパート跡地」の碑があります。
本にも取り上げられた歴史ある建物でした。
Q.最近芥川賞を獲った宇佐見りん著「推し、燃ゆ」を図書館で借りようとしたら、予約者がたくさんいて半年くらい待つことになりそうです。
これ以前の芥川賞受賞作を読んでみたいのですが、まとめて探す方法はありますか?
A.TOOLiでは受賞情報から本を探せます!
図書検索画面中央の「受賞情報」に賞名を入力することで検索が可能です。
ここに「芥川賞」を入れて検索すると、第1回から最新回までの芥川賞受賞作が表示されます。
それぞれの本の書誌詳細画面では、賞名だけでなく回次(年次)も確認できます。
・最近の受賞作が読みたい
→出版年月を2020年~などにすると、最近出版された本に限って探せます。
(古い受賞作の再刊などがヒットする場合もあります)
・通勤時に読むから、鞄に入る文庫本がいい
→分類記号の別置を「文庫」にすると、文庫本のみを検索できます。
・大きくて読みやすい文字がいい
→コード化情報の刊行形態を「大活字」にすると、大活字本のみを検索できます。
ニーズに合わせて、色々な項目と組み合わせてお使いください!
また前月の主な受賞情報の一覧を『新刊週刊全点案内』の第3週目の巻末記事と、TOOLiのお知らせページに載せています。
選書やレファレンスなどにご活用ください!
本日は「週刊新刊全点案内」2203号の発行日です。
掲載件数は1252件でした。
*こんな本がありました*
「タンゴの真実」
ただ「タンゴ」といったときに思い浮かぶ曲はありますか?
碧空? 黒猫のタンゴ? リベルタンゴ? ラ・クンパルシータ?
どれも「タンゴ」には違いないのですが、純粋な「アルゼンチンの」タンゴではないようです。
この本は「アルゼンチンの」タンゴについて書かれた本です。著者は「リベルタンゴ」や「情熱大陸」のテーマ曲で一世を風靡したバンドネオン奏者(しかもご両親もタンゴ・ミュージシャン)です。
音楽家による音楽の解説というと、素人(私だけ?)にはちんぷんかんぷんと思いきや、この本では楽器の説明から、リズムの歴史、タンゴ音楽の世界的な広がり、ダンスにいたるまで、広く解説されています。
解説されている演奏をスマートフォンなどで聴けるQRコードがついているので、音源を気軽に聴いて「なるほど」と合点したり、楽しんだりできるのもありがたいところ。まるで視聴覚室(今もあるのでしょうか?)で講義を受けているようにノーストレス。本の作りの親切さもさることながら、便利な時代になったものです。
今月の雑記、テーマは「恋愛ものの本」です。
小説は読むけど、「恋愛もの」と思って読んだものはあまり
なかったのでこのお題をきいて、何か読んだっけ??と思い、
ネットで恋愛小説ランキングというものを検索してると、
有川浩さんの「阪急電車」が載っていました。
良かった! これなら書ける。
阪急電車
有川浩著 (幻冬舎文庫)
阪急電車のうち宝塚駅から西宮北口駅まで走る今津線を舞台
にした小説で、1駅について1話ずつ、往路と復路で16話
ある短編集であり、どの短編の主人公も、他の短編の主人公と
関わって、良い影響を与えあっていきます。
映画になったので、知っている人も多いかも。
改めて読んだら、あれ?、最後の胸のすく場面は、やはり映画
の方が数倍誇張されていたような...。
往路 宝塚駅→西宮北口駅
1話目は、勤め人になって5年目の征志が、社会人図書館でよく
新刊の争奪戦をしている女性と、阪急電車の中で会い、ふとし
たきっかけで付き合いだす。
2話目は、結婚式準備中に、婚約者を同僚に盗られた女性=翔子
が、元婚約者の結婚式に白いドレスで「討ち入り」をした話。
帰りの阪急電車の中で、女の子に、「花嫁さん」と言われて、
涙をこらえきれなくなるまで。
3話目では、その女の子をつれたおばあさん=時江が、
「花嫁さん」の事情を察して、話を聞き、「おせっかい」と
して提案をする。
その後、時江は交際相手にDVを受けている女性にも一言、
その女性は、その後電車の中で、女子高生が友達と交際相手の
話しているのを聞いて、ある決心をする。
もう1カップルの話もはさんで、西宮北口駅へ。
復路 西宮北口駅→宝塚駅
6か月後の設定らしい。今度は西宮北口駅から宝塚駅へ向かう
途中に、それぞれの人たちのその後が語られ、再スタートを切
ることができた人は今度は自分が「おせっかい」をやき...。
また、ほのぼの組にも進展が...。
様々な関係、様々な時代(回想も含む)の恋愛があり、みんなが、
(主人公は)元気になるお語でした。恋愛にかかわらず、電車の
中は、いろんな出会い、気づきの場所になるかも。
まあ、朝の通勤電車はこの限りではないと思いますが。
こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。
前回は漢籍の類書について見ましたが、NDCで032.1だけでなく031.1も「類書」となっている通り、和書でも類書はあります。『日本古典籍総合目録データベース』で「分類」を「類書」で検索すると、65点ほどヒットしますが、「事典」とか「辞書」とかされるものと明確な線引きはしがたいところもあります。
たとえば上記データベースで「事典」としているなかでポピュラーなものとして、中村惕斎(なかむら・てきさい)編の『訓蒙圖彙(きんもうずい)』20巻および寺島良安(てらしま・りょうあん)編『和漢三才圖會(わかんさんさいずえ)』105巻という絵入り百科事典がありますが、後者のモデルとなった『三才圖會』という漢籍は「子部・類書類」に分類される本です。
また、これらと近い性格のもので、「節用集」というジャンルもあります。これはもともと、『下學集(かがくしゅう)』という中世の用語集をもとに作られたイロハ分けの辞書ですが、江戸時代に入ると、巻首や頭書にたくさんの付録がつけられるようになり、そうした構成の通俗用の百科全書を指して「節用集」というようになりました。代表的なものに『合類大節用集』『永代節用無尽蔵』『都会節用百家通』『江戸大節用海内蔵』といったタイトルのものがあります。
形状としては大本1冊で二~三百丁になるぶあついものが多いですが、以前触れた「飛び丁」もしばしば見られます。標準的なスタイルでは、先頭に日本地図や世界地図、絵入の百人一首や三十六歌仙、小笠原流の礼式書や茶道・華道の作法書等々を載せ、武鑑の一部をそっくり収録している場合もあります。
全体の5/1から4/1ほど進んだところに本文の巻頭があり、タイトルはそこから採用します。本文はイロハ分けした後さらに部門分けした辞書になっており、手習い用に行書主体で左側に楷書を添えた「真草二行」のスタイルのものが多いです。上層には年代記や系図、寺社一覧や案内記、往来物などを付載しています。末尾には名乗り字一覧や占い関係の記事などがあることが多く、時に「朝鮮国の文字」といってハングルを紹介していたりなどしています。
「節用集」はこういった具合に、とにかく教養百般を1冊にまとめたものを言うようになり、その意味で往来物とも重なってきます(先日紹介した「往来物倶楽部」にも多数収録されています)。いっぽうで江戸後期には、逆に付録類を取り去った『早引節用集』といったポケット版辞書も盛んに刊行されています。
似たようなものとして、「重宝記(調法記)」というものもあります。これは礼儀作法・家事・家庭医学など日常生活の必要知識をまとめたハンディーな通俗啓蒙書で、こちらもやはり往来物とも重なってきます(実用書一般の総称として使われることもあります)。いずれにしろ、こういった「一家に一冊!」とか「~~便利帳」とかいった具合のものは、やはりどの時代でも高いニーズがあったわけですね。
窓からお花見ができました!
本日は「週刊新刊全点案内」2202号の発行日です。
掲載件数は1372件でした。
手に取ると、ずっしりとくる厚さです!
*こんな本がありました*
「与謝蕪村 「ぎこちない」を芸術にした画家」
今春、美術館で江戸時代の俳人・画家である与謝蕪村の展覧会が開催されているそうです。その図録にあたるのがこちらの本。表紙の脱力系の絵にひとめで心奪われました。
そういえば、以前「若冲と蕪村」という展覧会(同い年の二人!)を若冲目当てに行ったのに、気付いたら蕪村のゆるゆるとした筆づかいに夢中になってしまったことを思い出したり。
この何ともいえない魅力について、新たに「ぎこちない」をキーワードとして読み解いていく。ゆったりとした気持ちで開きたくなる本でした。
日本には実にさまざまな「○○の日」があります。今日が何の日なのかを調べ、それに関するいろいろを紹介してしまおうというこの企画(不定期掲載)、本日は第18回目です。
3月22日。今日はどんなことがあったか調べてみると、日本ではないのですが、1995年、宇宙ステーション「ミール」に宇宙滞在最長記録である438日間滞在していたロシアの宇宙飛行士ワレリー・ポリャコフが地球に帰還した日でした。
ポリャコフは医師の資格を持ち、他の乗組員の筋肉とレーニングや食事、休息などを管理しつつ、無重力での滞在が人間に与える影響を調べたそうです。
この宇宙滞在最長記録はポリャコフ2度目のミッションで達成されたもので現在も破られていないとのこと。ちなみに、通算での最長宇宙空間滞在日数はセルゲイ・クリカレフの804日間、日本人の最長記録は若田光一さんの348日間だそうです。いずれにしてもすごい記録です。
ポリャコフが書いた「地球を離れた2年間」という本もありましたのでさっそく読んでみたのですが、とても興味深かったです。
「地球を離れた2年間 人類の夢、火星への挑戦」
ポリャコフが滞在したミールは、ソビエト連邦の宇宙ステーションで、1986年から1999年まで運用され、2001年に大気圏に再突入しました。
現在運用中の国際宇宙ステーション(ISS)には野口聡一さんが長期滞在中です。ISSが東京の上を通過するときは時間が合えば見るようにしていますが、なかなか時間が合いません。でも、野口さんがSNSにあげてくれる画像を見るのが毎日楽しみで、ここ1か月はバジルの成長を見守っていました。バジルの種を埋め込んだ容器を「きぼう」船内に取り付け、給水して栽培していたのですが、光に向かってにょきにょき伸びていくバジルがとても楽しかったです。バジルは冷凍保存され地球に戻ってくるのでその日を楽しみに待っています。
咲いてるかな? いや全然。と思ったら、
1本だけ気の早い木がありました。
今月の雑記、テーマは「恋愛ものの本」です。
若い頃はそればかり読んでいたから本棚には結構あるはず!と眺めて、久々に手に取ったのは5冊。
角田光代さんの「八日目の蝉」は別れる時のセリフで号泣、でも親子愛(親子じゃないが)か。小川洋子さんの「博士の愛した数式」は慈しみ深いが恋愛じゃないか。小池真理子さんの「欲望」は正真正銘だが、豪華すぎて私に書く自信がない。山田詠美さんなら「トラッシュ」。しかし本の厚み程には内容を覚えていない。よし、古都を舞台にした伊集院静さんの純愛小説「白秋」にします。
「白秋」
心臓を患う(それは美しい26歳の青年)真也は鎌倉・長谷で看護婦(女の盛り40歳独身)の志津と二人、療養生活を送っている。寒さや湿気すら体に悪い真也は、外にも出ず、楽しみと言えば画集を開いたり骨董をめでる程度。実母は既に亡くなり、後妻を迎えた裕福な実家とは付き合いもない。献身的な志津は真也の心を慰めたいと、ある日家に花を活けてもらうことを思いつく。そうして(控えめだが芯の強い可憐な22歳)文枝が出入りするように。(思った通りに)真也と文枝は惹かれ合うようになる。自分が連れてきた文枝だが、二人の恋心に気づくにつれ、志津は嫉妬の炎を燃やします。志津の邪魔に対し、文枝を娘のように思う華道の先生や真也に亡き息子の姿を重ねる骨董屋が味方となり、二人は結ばれるのですが...。
初めて読んだ20年前も古風な二人だと思いましたが、今読んでみるともはや古典のような美しさ。携帯電話もメールもない時代、今よりも会うことは困難で、それがまた恋人たちの気持ちを強くします。「LINEするね!」「写メ送る!」で伝える手段は簡単便利な現代ですが、なければないで良かったこともあったよなと昔に思いを馳せたり。志津と同年代になった今、真也を恋人のように息子のように大事に思うあまり、思いつめる気持ちも少しわかるような気もします。
かつて読んだ本も、年齢を重ねることで、感情移入する登場人物が変わったり、わからなかった感情が少しわかったりするものですね。面白そうな本はないかと新しいものを探すのもいいけれど、昔読んだものを再読したい気持ちになりました。
皆様こんにちは。AS(学術情報ソリューション)の入江です。
今回はADEACで今月新たに公開・更新されたデジタルアーカイブ4つをご紹介します。
◇『千葉市/千葉市地域情報デジタルアーカイブ』(3月1日新規公開)
千葉県の県庁所在地である千葉市は今年1月に市制100周年を迎えました。
このデジタルアーカイブではそんな千葉市の歩みを振り返る『千葉市史 通史編』をフルテキスト化して順次公開していきます。
今年度は第1弾として、通史編の第1巻「原始・古代・中世編」が公開されました。
フルテキスト化の利点として、本文全体を対象にしてキーワード検索が可能です。郷土研究やレファレンスなどにご活用ください。
◇『久喜市立図書館/久喜市デジタルアーカイブ』(3月1日新規公開)
江戸時代に日光道の栗橋関所で代々番士を務めた島田家に伝わる古文書および関連資料を紹介しています。
いわゆる「入り鉄砲に出女」の取り締まりに関する通行証文などの貴重な記録が詳しい解説とともに掲載されています。
今後も資料原本の高精細撮影と公開が予定されていますので、更新をお楽しみに!
◇『江戸川区立図書館/デジタルアーカイブ』(3月4日追加公開)
江戸川区内の史跡を探訪するコンテンツとして、新たに「一之江名主屋敷」のパノラマ3Dと関連コンテンツが公開されました。
「一之江名主屋敷」は江戸時代初頭から一之江新田(現在の江戸川区春江町)の名主を代々務めていた田島家のお屋敷で、実際に現地を訪れているかのように敷地内を動き回り、部屋の内装を360度ぐるりとご覧いただけます。
現地で解説プレートが設置されている場所では、埋め込まれたリンクから解説画像を見ることもできます。
めったに見ることのない屋根裏を訪れることもできて探検しているようなワクワク感があります。
そのほか、田島家の所蔵する古文書や、屋敷で行われている瞽女唄ライブの演奏なども合わせてお楽しみいただけます。
◇『伊那市/伊那市デジタルアーカイブ』(3月10日新規公開)
伊那市出身の民俗学者・向山雅重(1904年~1990年)が長野県内各地を巡って撮影した膨大な記録写真の一部をデジタル化・公開しています。
ここでは約2,000点の記録写真を多種多様なテーマで絞り込みながらご覧いただけます。
また、向山資料保存会が伊那谷の写真のうち三百二十枚を厳選して発行した 向山雅重記録写真『伊那谷の民俗』もデジタル化しています。
一冊丸ごとのビューア(電子書籍)としてご覧いただけるほか、掲載写真一覧画面から探してもいただけます。『伊那谷の民俗』掲載写真には他の著書や野帳からピックアップされた説明文もついているため、一緒にご覧いただくと1枚1枚の写真をより楽しむことができます。
以上、3月に更新・公開された機関の中から4つをご紹介しました。
今後も年度末にかけて多くの期間で新規公開・資料追加が予定されていますので、どうぞお楽しみに!
(おまけ)
ADEACのYouTubeチャンネルが開設されました!
図書館総合展などで使われてきたPVや、過去に行われたADEACやデジタルアーカイブに関するフォーラム・セミナー・講演会の記録映像などがご覧いただけます。
各機関が作成した紹介ビデオや使い方の解説動画も紹介していますので、ぜひご覧ください!
こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。
前回、漢籍の韻書について見てきました。代表的な韻書のひとつとして、「經部・小學類」ではなく「子部・類書類」に収められているものですが、清代の『佩文韻府(はいぶんいんぷ)』という図書があります。これは古今の書物の中から2~4字のワードを集めてきて、末尾の文字の韻の順番に並べたものです。漢詩を作る場合、句末の字で押韻するわけなので、もともと詩作の実用のために作られたものですが、古典の語の用例を収録した最大級のものとして、「類書」として用いられることが多いので、そのように分類されます。
この『佩文韻府』106巻も、前々回に触れた『康煕字典』と同じく、康熙帝の命により、大臣の張玉書と陳廷敬らが関与して編纂されたもの(ちなみに「佩文」というのは康熙帝の書斎名)ですが、こちらの場合は筆頭の纂修官である「蔡升元〔ほか〕纂修」とするのが通例です。実際に目にする刊本は、汪灝(おう・こう)らによる「拾遺」106巻が附されているものが多く、日本でも明治期に入ってから何種かが刊行されています。
江戸時代の日本で音韻引きの漢籍の類書としてポピュラーだったのは、『圓機活法(えんきかっぽう)』という書物で、和刻本は菊地耕斎(きくち・こうさい)の訓点を附したものが何度も印行されています。構成は「詩學活法全書」24巻と「韻學活法全書」14巻から成り、後者が106韻から引けるかたちになっています。この本については、各巻ごとに巻頭のタイトルが細かく変わっており、それぞれで書誌を作成し、題簽にある『圓機活法』をセットの書名として処理するのが適切かもしれません。
「類書」というのは、作文・作詩のための用語集というのがその起源ですが、多くの書物から事項や語句を抜き出して分類配列するということで、一種の百科事典と位置づけられます。特定のジャンルについてのものは当然そこに分類されますので、「子部・類書類」に入れられるものは基本的に網羅的な性格のもので、したがって相当大部になるものもあります。
ただ、以前、『蒙求』という書物が、流儀によって「子部・類書類」に分類されたり「子部・雜家類・雜纂」に分類されたりすることがある、と述べたように、どういうものを類書とするか、捉えかたによって多少判断が揺れるところがあります。『東京大學東洋文化研究所漢籍分類目録』でいずれも「子部・類書類」に分類している、『永嘉先生八面鋒(えいかせんせいはちめんほう)』(宋・陳傅良撰)・『五雜俎(ござっそ)』(明・謝肇淛撰)・『唐詩金粉(とうしきんぷん)』(清・沈炳震撰)といった書物は、それぞれ「史部・職官類・官箴」「子部・雜家類・雜説」「集部・總集類・各代之屬」に分類されている場合もあったりします。
こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。
前回は漢籍の「字書」について見ましたが、小學の書としてはもう一種類、字音によって分類した「韻書」があります。四部分類では基本的に「經部・小學類・音韻之屬」に収められています。
中国語の漢字の音はすべて単音節で、子音(声母)と母音(韻母)から成りますが、さらにその高低(声調)も音を区別する要素になります。声調は、歴史的には平声・上声・去声・入声の四声(しせい)の別があり、平声30韻(上下15韻ずつに分けられます)・上声29韻・去声30韻・入声17韻の計106韻とするのがスタンダードとされました(ただしこれは中世の音で現代音とは別ものです)。
こうした音韻について整理した韻書として現存最古のものは、隋代の『切韻(せついん)』とされますが、原本は残っていません。この『切韻』をもとに、唐代には『唐韻』(751年)、宋代には『廣韻』(1006年)『集韻』(1039年)という名で増補修訂されたものが作られました。
音韻というものはある種システマティックなものでもあり、唐代以降、子音と母音とを縦横軸に配置した韻図(いんず)という図表も作られました。これには、仏教書のところで触れたとおり、悉曇学の影響があったものと考えられています。
代表的な韻図としては『韻鏡(いんきょう)』というものがあり、オリジナルの序(1161年)によれば、南宋の張麟之(ちょう・りんし)というひとが友人から譲られた『指微韻鏡』という書物をもとに「字母括要ノ圖ヲ撰ビ,復タ數例ヲ解シテ」編纂刊行としたというものです。この序末に「慶元丁巳(1197年)重刊」の刊記が彫り加えられ、さらに1203年の張氏の序と凡例が加えられたものが、日本に伝えられて戦国時代に出版されました(なお、序・凡例の末尾には「韻鑑序例」とあり、すなわち『韻鑑(いんかん)』という別称もあります)。
この和刻本の初刊には、堺の宗仲という僧がいくつかの写本を校訂して出版した、という経緯を記した享禄戊子(1528年)の清原宣賢(きよはら・のぶかた)の跋が附されています。『韻鏡』は貴族や僧侶の命名にもよく参照されたという事情もあり、以来江戸時代にもおびただしく重刻されました(いっぽうで中国ではこの本は早くに失われ、明治期になってから、『古逸叢書』に含まれて紹介されています)。
『韻鏡』は研究書や関連書籍も多く、元禄4年(1691)刊の盛典(せいでん)著『韻鏡易解(いんきょういかい)』や正徳5年(1715)刊の毛利貞斎(もうり・ていさい)編『韻鏡袖中秘傳鈔(いんきょうしゅうちゅうひでんしょう)』などといった書物は頻繁に目にします。
また江戸中期の学僧・文雄(もんのう)による『磨光韻鏡(まこういんきょう)』2巻もよく読まれましたが、これは上が本図、下が「韻鏡索隱」および「翻切門法」から成ります。『大全磨光韻鏡』5冊セットというものもときどき目にしますが、これはこの2巻に加え、文雄のその他の著作である、『韻鏡指要録』『翻切伐柯篇』を合わせた『磨光韻鏡後篇』、および『磨光韻鏡字庫』2巻を合刻したものです(ちなみに「翻切」(はんせつ)とは、「反切」とも書きますが、ある文字の子音と、別の文字の(声調を含む)母音とを組み合わせて発音を表記する方法のことです)。
このほか、江戸後期の太田全斎(おおた・ぜんさい)著『漢呉音圖(かんごおんず)』3冊なども韻鏡に基づいた書籍です。この本の題簽は「漢呉音圖 上」「漢呉音徴 中」「漢呉音圖説 下」となっていますが、それぞれのタイトルは内容書名とした上で、総合タイトルとしての『漢呉音圖』は、序から採用したとして処理するのが適切と思われます。
本日は「週刊新刊全点案内」2201号の発行日です。
掲載件数は1254件でした。
*こんな本がありました*
「ATELIER to nani IRO 季節をまとう一年の服」
マオカラーや個性的な形、
でも着疲れしないゆったり感。
生地もすてきだ。
著者の伊藤尚美さんはテキスタイルデザイナーであるだけでなく、水彩画家でもあるそうです。軽やかでやわらかく繊細な雰囲気は、水彩画に由来する季節のテキスタイルを用いているからなのですね。
10年くらい前?洋服づくりにはまったことがあります。
洋裁の本を開いて、ウキウキ。
生地を眺めて、ウットリ。
上手に作業できなくて、イライラ。
出来上がって、バンザイ!
着てみて、ソワソワ。
今、おうち時間が長くなっています。
眠ったミシンや裁縫道具、引っ張り出してみようかな?
以前と違って目元があやしいけど...(ガクッ)
今月の雑記、テーマは「恋愛ものの本」です。
最近、700ページもの小説を読みました。
「ここ過ぎて―白秋と三人の妻」
お正月に数えで100歳の瀬戸内寂聴さんと高橋源一郎さんの対談をラジオで聴きました。なんとお元気!あやかりたい! 寂聴さんの本を何か読んでみたいと思っていたところ、この評伝小説が目に留まりました。
サブタイトルにあるように、国民的詩人・北原白秋と三人の妻のことが書かれています。白秋作詞の歌曲「この道」「からたちの花」「待ちぼうけ」など、よく知られているかと思います。詩は、たとえばこのようなフレーズを読んだことがあるでしょうか。
「薔薇の木に薔薇の花咲く、なにごとの不思議なけれど」
あたり前のことに驚いて言葉にする、そのことで読み手をも感動させる。子どものような、素直すぎる強さを感じます。最初の詩集『邪宗門』などは、異国趣味で、きらびやかで、ロマンティックです。(青空文庫をのぞきました。)
こんな白秋の最初の妻は、俊子。出会ったときは人妻でした。当時は姦通罪というものがあり、白秋と俊子は訴えられ、捕らえられ、新聞等でたたかれ、そんな末にやっと結婚するのですが、数年で別れます。当時の白秋はとても貧しく、俊子は白秋の家族との折り合いも悪く、居づらくなって家を出てしまいます。
二番目の奥さんは、章子(あやこ)です。この小説の軸になっているのはこの人です。詩人、歌人としての著作もある才女。感受性豊かな、ちょっとエキセントリックな人だったようです。極貧時代の白秋を支え、心の底から白秋を愛し、尊敬していたはずなのに、あったのかどうかよくわからない章子の不貞を理由に二人は別れます。
他人の思惑を考えず、自分の心のままに突っ走る人で、痛い目を見たり、メディアに利用されたりもします。なんでもしゃべってくれるので、ゴシップ記事になりやすいのです。そんなだから大切な人たちを困らせます。最後は身体の病と心の病の両方で、極貧のなか一人で死んでゆきます。白秋と章子が別れた本当のいきさつは寂聴さんがいろいろ調べてもよくわからなかったようです。資料や証言をたどっても、「心の変化」までは知りえない。そこを想像力で埋めてゆくのが、評伝小説の本領発揮なのだろうと思います。章子は、その後の人生でも、ずーーーっと白秋のことを忘れず、死ぬまで意識は「前白秋夫人」であったようです。
対して、白秋は彼女より数年前に亡くなりますが、晩年は献身的な三番目の妻・菊子と幸せに暮らしました。章子と別れたころから暮らし向きもよくなり、子どもにも恵まれ、国民的詩人の地位を確かなものにしてゆきます。
若き日の白秋も、そして俊子も章子も「恋に落ちる」という表現そのままに、出会って世界が一変し、離れがたく結びつきます。その激しい恋模様から白秋の短歌や詩が続々と生まれたのです。食べるにも事欠くほどの貧しさのなかで、夫の作品を心から尊敬し、大切にしていた章子が、どうして読むのも辛いような晩年を送らねばならなかったのか。
この時代の女性は、結婚していなければ生活できない。離婚してしまったら、もう安住の家はない。食べていけるような職もない。それでも命がけで恋をする人たち。白秋の同世代、大杉栄や竹久夢二も奥さんや愛人、恋人がたくさんいました。平塚らいてうも柳原白蓮も同世代です。リスクを承知で恋愛に身を投じ、冷めたら別れる男女。大正の文化人たちの激しさに脱帽します。
全くの偶然ですが、10年前の3月も
「きょうのデータ部」担当でした。
日々変わる状況に動揺しながら
「早く春来て!」と桜のつぼみをアップするぐらいしか
思いつかなかったことを思い出しました。
今日は「週刊新刊全点案内」2200号の発行日です。
掲載件数は1302件でした。
*こんな本がありました*
先月の地震のこともあり、幣宅でも防災の見直しをしました。
引越後、避難用品の準備を怠っていたな......と反省しつつ。
あれから10年。
みなさま、思うことは各々おありかと存じます。
このごろは震災関連本も多数出版されており、この10年の重みを改めて強く感じております。
あの経験を繋いでいくために、今一度、生命を守るためのご準備を。
おしゃれ防災アイデア帖
今週・来週の月曜日はデジタルアーカイブシステムADEACの新規情報をお届けいたします!
今回は昨年12月から今年1月にかけてADEACで公開・リニューアルされた機関のうち3機関をご紹介します。
◇『那須町立図書館/那須町デジタルアーカイブ』(2020年12月25日新規公開)
栃木県の最北端に位置する那須町は、古くから温泉郷として名高く、雄大な那須岳や殺生石の伝説、松尾芭蕉ゆかりの地など、数多くの名所旧跡を擁した町です。
このデジタルアーカイブではそんな那須町の見どころを中心に分類された絵葉書コレクションや、那須地域の年表をご覧いただけます。
◇『伊賀市/デジタルミュージアム 秘蔵の国 伊賀』(2021年1月19日追加公開)
10月から公開されていた「芭蕉と俳諧の世界」に加え、「伊賀流忍者」「郷土資料」のページが新たに公開されました。
「伊賀流忍者」のページでは、三大忍書と呼ばれる『万川集海』(一部)、『正忍記』、『忍秘伝』をはじめとして、伊賀の里に伝わった忍術書が公開されています。
忍者の用いた道具の製法や、変装術・火術などの秘伝書、忍者にとって重要な心構えまで、多岐にわたる資料をご覧いただけます。
一部の資料はゆかりの場所や忍具の写真とあわせてご覧いただけます。
「郷土資料」のページでは、藤堂藩の藩政関係資料である『永保記事略』や『庁事類編』など、市内各所で伝えられてきた貴重な古文書をご覧いただけます。
「郷土資料」コンテンツは全文が翻刻されていて、画像と一緒にご覧いただくことが可能です。
◇『多摩市立図書館/多摩市デジタルアーカイブ』(2021年1月25日新規公開)
今年2021年は多摩市制施行50周年にあたります。そんな記念すべき年に多摩地域の歴史研究、学習にご活用いただけるデジタルアーカイブとして公開されました。
昭和63年(1988年)から平成11年(1999年)にかけて刊行された『多摩市史』や、多摩市指定有形文化財の「調布玉川惣画図」など、数多くのコンテンツをご覧いただけます。
『多摩市史』は「通史編」「民俗編」全文をテキスト化し、刊行後判明した誤りは訂正して掲載されています。
『調布玉川惣画図』は、源流から河口にいたるまでの約13メートルの絵巻物を細部まで鮮明に拡大できる高精細画像で公開します。
そのほかにも、市内の遺跡の発掘調査で出土した縄文土器の3Dや図書館所蔵の地図・絵葉書・和装本など、常設の展示ではご覧いただけないものも含め多彩な資料をご覧いただけます。
次週の更新では3月に公開された機関を中心にご紹介します!
TRC MARCは昨年末で累積件数400万件を超えました。
TRC MARCは1982年からご提供を始め、取次から入手する見本を用いて作成する新刊データと、図書館から蔵書をお預かりして作成する遡及データの2本立てで作成を続けてまいりました。
全国の図書館にてご愛顧いただき、早40年。
図書館を支える皆さまに便利にご活用いただけるように、また、多くの方に多くの図書との出会いを楽しんでいただけるように。
これからもコツコツと丁寧に、より充実したMARCのご提供を目指して歩んでいきます。
ぶー子
「データ部ログも今後ともよろしくお願いいたします!」
今月の雑記、テーマは「恋愛ものの本」です。
出会いは9年前の新聞記事でした。(※1)
取り上げられていたのは、とある書店で行われていた「ほんのまくら」フェア。本文の書きだしのみを印字したカバーで全体をくるんだ文庫本を陳列し、タイトルや作者名を伏せたまま、冒頭部分の印象のみで本を選んでもらうという企画です。
記事はこのような一文で結ばれていました。
「これまでに一番売れたのは「*****」で始まる詩集という。」
(*****は本ブログ執筆者による伏字です。記事本文には冒頭の二節が書かれていました。)
そこに書かれた冒頭二節がとても素敵で、「確かにこれは買いたくなるなぁ」と思った当時の私。が、本を探し出そうとすることもなく月日は流れ、私の頭にはその素敵な冒頭のみが残りました。
ところが昨年の4月。ひょんなことからその本の正体を知ります。ある歌人さんが、前述のフェアで購入したとTwitterでこの本を紹介していたのです。
「求愛瞳孔反射」
(河出文庫)
8年前に道で助けてくれたけど名前も言わず立ち去った紳士の正体を知った気分でした。
穂村弘さんのエッセイや歌集は読んだことがあるので「まぁあなただったのね!」という気持ちで購入。素敵な二節で始まる最初の一篇はやはり素敵でした。
しかしこちらの本。あえて言いますが、うっとりした気持ちで読もうとすると度肝を抜かれます。読み進めるうちに、思っていたのとは違う方向に連れていかれます。途中もはや狂気です。
手に入れるまでのちょっとしたドラマ性によるバイアスもあり、私の中では「恋愛もの」枠なのですが、
はたしてこの詩集は「恋愛もの」と言っていいのか。
また、私がどんな書き出しに心を動かされたのか。
気になる方はぜひお手にとって確認してみてください。(※2)
(※1)朝日新聞2012/8/22夕刊「「まくらカバー」文庫、大売れ」
(※2)単行本と文庫がありますが収録されている詩の並び順が違うらしいのでお気をつけください。
ご近所の学校です。
ご卒業おめでとうございます!
本日は「週刊新刊全点案内」2199号の発行日です。
掲載件数は1032件でした。
今月の表紙はこちら。
春の地面から出た植物のイメージです。
寒~~~い2月が終わり(温暖化で昨今はかなり暖かかったりしますが...)、雪も溶けて水分を含んだ地面から「春だ~」と色々なものが顔を出し始める...!
そんな感じでしょうか!?(Juri)
*こんな本がありました*
「世界の歴史 1~20」
(角川まんが学習シリーズ)
堂々20巻です。
世界史の授業、自分が学生だった頃は地域ごとのタテの流れが主だった気がしますが(昔ですので)、いまは同時代の地域と地域のつながりのヨコ糸が重視されていて、新鮮です。
そして最近の学習まんがは格段に絵がキレイでカッコイイですね。昔は「まんがでありさえすれば子ども的にオッケー!」と思われてた感じの絵柄が多くて時々怖かった...。
高校の新教科「歴史総合」も視野に入れたとのことで、近現代史の比重が高いです。3分の1程度の巻が20世紀以降の歴史に割かれています。
お財布とスペースが許せば、子どもに読ませるという言い訳のもと、大人用に買いたい。
明日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名のお知らせ」を掲載しています。
新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。
2021年2月は4件の件名を新設しました。そのひとつに「羊皮紙」があります。
ヨーロッパ中世の文書や写本のイメージが浮かびます。身近にはないのに、なぜか知っていることばの一つです。しかもいつ覚えたのか全くわかりません。小説に出てきた?もしや世界史かなにかで教科書に載っていたりしたのでしょうか。
「羊」皮紙と訳されていますが、羊だけでなく牛や山羊などの皮からも作られるようです。となるとなぜ羊皮紙という訳語になったのでしょうね。英語のparchmentやvellumの直訳ではなさそうですし。日本語での初出はいつ、だれの文なのか興味がわいてきました。
羊皮紙そのものからは少し離れたところが気になりだしてしまいましたが、手始めに件名「羊皮紙」で検索すると、該当した本に参考になる内容が含まれているかも。後で探してみようかと思います。
まったくの余談ですが、羊皮紙ということばを先に知っていた私、「雁皮紙」という字を最初に見たとき、「トリ皮の紙!?」と思ってしまったことを告白します。もちろん、今ではちゃんと雁皮という植物が原料の紙だと知っております。雁皮紙の本の件名はちゃんと「和紙」としますのでご安心ください。