« 2023年11月 | メイン | 2024年1月 »

2023年12月 アーカイブ

2023年12月27日

きょうのデータ部☆(12/27)

赤い実をつける植物。
...たちの、見分け方を教えてもらってもすぐに忘れてしまいます。

1227.jpg

わからないまま「冬っぽいなぁ...」と思って眺めています。

2023年12月26日

身近な体験の裏側にあるメカニズム

本日は「週刊新刊全点案内」2338号の発行日です。
掲載件数は1209件でした。


*こんな本がありました*

「「合う」のメカニズムを科学する」

阪口 幸駿(編),富田 健太(編)
ミネルヴァ書房(2024.1)


「合う」といえば演奏のリズムや料理のペアリングから靴下の左右まで、様々な事柄の表現に用いられる動詞ですが......この本で扱うのはコミュニケーションにおける「合う」です。

人によって気が合ったり合わなかったり。共同作業のさいに努力して息を合わせたり、あるいは無意識にお互いが影響し合い、いつの間にか息が合っていたり。

コミュニケーションや共感における「合う」を支える心理的なメカニズムを解説しています。

2023年12月28日

カセットテープの思い出

12月の雑記テーマは「ドラえもんの道具でほしいもの」です。

どこでもドア」はマストとして、次点ぐらいでほしいのが「きせかえカメラ」です。
幼少の頃、きせかえ人形遊びが大好だったわたし。きせかえ人形の設定では、大体夜にパーティーがあり、「ドレスを着ていかなくちゃ」ということで、あれこれドレスを選んだりするのがめちゃくちゃ楽しかったです。
そんなわたしの妄想を実現してくれそうな「きせかえカメラ」は、今でもわたしのあこがれの道具なのです。

ドラえもんは、「のび太の恐竜」をリアルタイムで映画館で見ていた、ドンピシャの世代です。
「のび太の恐竜」も感動しましたが、2作目の「のび太の宇宙開拓史」が非常に面白くて、親にねだって映画の「カセットテープ」を買ってもらいました。
そう。まだ家庭用のビデオが普及していない時代。家で映画を再現する方法がなく、唯一の方法がカセットテープで音声だけ聞く、というものでした。
もちろん、音声用に再編集したものとかではなく、ただ単に映画の音声だけを吹き込んであるので、どんな場面なのか、セリフと効果音だけで脳内再生していました。
インターネットで古い映画も最新のドラマも好き放題に見られる今となっては、隔世の感がありますが、そんな素朴な時代がいまは懐かしいです。
とはいえ、年末年始はインターネットでドラマやら映画やらをたっぷり見るつもりですが。

データ部ログの年内の更新は本日が最後となります。
次回の更新は年明けの1/5(金)です。
今年一年ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

2023年12月25日

和漢古書あれこれ ― 古地図

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

前回書いた「絵図」ですが、『絵図学入門』(東京大学出版会2011)という総合的な解説書では、その冒頭で「近代的な地図が一般化する以前、中世・近世に日本列島でつくられた世界や空間についての図的表現」というぐあいに定義しています。すなわち、江戸時代以前の、建物の平面図や道中案内図などをも含んだ、やや広い意味での地図ということになり、一般には「古地図」と置き換え可能な概念として認識されているかと思います。実際、「〇〇絵図」というタイトルで出版されたり筆写されたりしている江戸から明治にかけての地図は山のように存在します。ちなみに「城絵図(しろえず)」と称される城郭図は、軍事機密に属するということで版行が禁じられており、一枚物にしろ図帳にしろ、目にするのはみな写本です。

地図資料はNCRでもふつうの図書や静止画と区別され、書誌データを作成するにあたっての大きな特徴としては、縮尺の情報を記述しなければならないということがあげられます。和漢古書の場合も、一定の縮率で書かれているものもそれなりにあり、タイトル等に「分間(ぶんけん)」とあるものは、実地の測量にもとづいて描かれたものであることを示しています。ただし、縮率自体が明示されていることは多くなく、そうしたものは「地図資料: [縮尺決定不能]」といった具合に記述することになります。
これに対し、一定の縮尺によらずに自由に描かれているものについては「地図資料: [縮尺表示なし]」と記録することになっています。何となく逆のような気がしなくもないですが、NCRではともかくこうなっていますので、間違わないようにしましょう。
実例はそんなに多くはありませんが、「曲尺一寸一分半ヲ以テ道程一里ニ當ツ」とか「壱分十間六分壱町積」とかといった具合に、縮尺がはっきりと記されている古地図もあります。こうした文言はもちろんそのまま転記しておいたほうがよいでしょう。

古地図のタイトルは、絵図本体に題字欄がある場合は、それが最も優先される情報源になります。ただ、畳物の地図の場合は、題簽や袋に別のかたちの書名があることも多く、それらはきちんと記録しておいたほうがよいでしょう。もちろん、序文や凡例といったところにタイトルが記されていることもよくあります。
著者・製図者や出版事項の情報源としては、ちゃんとした刊記があるものもありますが、欄外にひっそりと記されているだけのことも多いです。

古地図については研究者や愛好家も多く、関連書籍もたくさん出ています。ことに、江戸市中を地域ごとに分けて屋敷や道筋を多色刷りで印刷した「切絵図(きりえず)」については、複製もいくつも出されており、それらを手に街歩きをするのを趣味とされる方もおられるでしょう。
近年活発に行われているデジタル化においても、やはり見た目のインパクトの強さから、こうした古地図や絵図の類をまず撮影・公開の対象としていることも多いかと思います。実際、大型の絵図などの場合は、原物の取り扱いもたいへんですし、図の中央に書かれている細かい記述を直接肉眼で見ることがむつかしいといったこともあったりしますので、高精細で撮影しオンラインで公開することは、非常に効果的かつ有意義と言えます。
デジタルアーカイブシステムADEACでも、高精細画像の地図・絵図の類を多数見ることができますし、なかには現代の実測地図との並べ重ね処理をしていたり、地名や事物の説明へのリンクやポップアップをつけていたりするものもあります。こうしたことができるのは、やはり現代のデジタル技術のたまものと言えるでしょう。

2023年12月22日

2023年の新設件名を振り返る~分類・件名のおはなし・134~

毎年恒例、12月の分類件名のおはなしは"今年新設した件名を振り返る"です。(件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。)

最初は動植物から。

へびくいわし
エミュー
けら
じんこう
ほんだわら

個人的に注目度が高いのはエミュー。ダチョウに似た二足歩行する鳥ですね。
卵が青いのが珍しくて印象に強く残っています。

次は、今までなかったんだと個人的に思った件名。

カリンバ
気孔

カリンバはアフリカの民族楽器で、音楽の教科書でも見たことがあるかもしれません。気孔は理科や生物の勉強をしていた時に見たことがあると思います。植物が呼吸などをするために存在する器官ですが、意外とこれに絞ったテーマの本はこれまでなかったようです。

そして次に時代の流れを感じた件名。

ボードゲーム
画像認識

ボードゲームは数年前からブームが続いており、図書館でイベントが行われることもすっかり馴染みのある話になりましたね。画像認識は今だと様々な分野で扱われる技術なので、今後も関連書籍が増えそうです。

最後はこちら。

サッコ・ヴァンゼッティ事件
フランコプロヴァンス語
土佐十一烈士墓

これらは私が今年件名として新設されて初めて知った言葉です。皆さんはご存じでしょうか?
知っている人も知らない人も一度件名を調べてみて、どんな本があるか見てみると面白いかもしれません。
件名に関わる仕事をしていなければおそらく私はどれも知らないままだったと思います。こういったいろんな言葉との出会いがあるので、件名は面白いですね。

2024年はどんな件名が登場するでしょうか。皆さんも毎月の「新設件名のお知らせ」を是非チェックしてみてください。

2023年12月20日

きょうのデータ部☆(12/20)

来年のカレンダーをいただきました。
(写真が下手すぎる)

1220.jpg

年の瀬だな~と感じる瞬間です。

2023年12月19日

お雑煮の後に...

本日は「週刊新刊全点案内」2337号の発行日です。
掲載件数は1141件でした。


*こんな本がありました*


本日は19日、あと2週間ほど経つとお正月がやってきます。我が家では家人が嫌いなためおせち料理は作りませんが、一応お雑煮は作ります。そしてお餅をお正月で食べきれず、毎年余らせてしまいます...。私のお餅のレパートリーはお雑煮、磯辺焼き、以上という感じなので消費するのに毎年苦労していたところ、こんな本に出会いました。


「お餅の便利帖」

飛田和緒(著)
東京書籍(2023.12)


焼き餅だけでもなんと20種類、他にもからみ餅、揚げ餅、お雑煮などの様々なバリエーションが! 特に気になるのが鍋で餅三昧。冬に鍋をよくするので餅の消費がはかどりそうです。

2023年12月21日

今週末までに、なんとか...

12月の雑記テーマは「ドラえもんの道具でほしいもの」です。

よく「魔法が使えたら...」なんて質問もありますが、私はかねてより「手を叩いたらお風呂からあがってさっぱり!ドライヤーも終了している状態になれる魔法」が使えるようになりたいと思っています。
ずぼらの極みが見えてしまう欲ですね。
のんびりとお風呂に入るのは大好きなのですが、髪を乾かしたりするのが微妙に面倒という言い訳です...。

そんな私にぴったりのひみつ道具がありました!
その名も「瞬間クリーニングドライヤー」。
なんでも乾かしてくれる!汚れもきれいに!!だそうです。すごいですね。
いい大人になっても服を汚しがちな私、さっときれいに、というのもできますし、掃除が大変な換気扇とかもいけるのでしょうか...?

年末が見え始め、大掃除をしなくては...と思いながら、まあまた来週に...とやり過ごす週末。
年内最後のゴミ収集が年末のお休みを待たずにやってくるので、大掛かりなお掃除は今週末がラストチャンス。
瞬間クリーニングドライヤー、でてこい~!

2023年12月18日

和漢古書あれこれ ―絵図

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

前回各種の「番付」について書きましたが、「一枚物」「畳物」全体では、大多数を占めるのはやはり絵画や地図などのヴィジュアル資料です。こうしたものとしては、境界線はあいまいな部分もありますが、芸術作品としての肉筆画や木版画などの「絵画」がある一方、そうしたものでない実用的な資料も数多くあり、それらは「絵図」と称されます。奇想の画家・曽我蕭白(そが・しょうはく)は、写生画の大家・円山応挙(まるやま・おうきょ)のことを罵倒して、「画を望まば我に乞うべし、絵図を求めんとならば円山主水(もんど)よかるべし」と言い放ったそうですが、社会的に両者がはっきり異なる価値を有するものと意識されていたからこその発言と言えそうです。

「絵図」としては、地理的な内容を示す地図が代表的ですが、地図以外にも建築物の構造を示した平面図(「指図(さしず)」)や、いろいろな器具や動植物、人体や事件の様子などを描いた図版などもあります。これらはもとより地図ではありませんし、城郭図や寺社の境内図なども地図とはしないほうがよいように思います。一方、鳥瞰図は地図の一種ということにはなるとは思いますが、鍬形蕙斎(くわがた・けいさい)や歌川貞秀(うたがわ・さだひで)といった著名な浮世絵師が製作していることもままあり、そうしたものはむしろ絵画作品として扱ったほうがよい場合もあるかと思います。
もちろん、こうした内容を冊子体にしたものも多数あり、それらは「図帳(ずちょう)」と称されたりします(絵画集の場合は「画帖」)。それらはふつうの図書と同じように書誌を作成し、「おもに図版」などと注記することになります。他方、絵画や書跡などを掛軸に仕立てた「軸物(じくもの)」もありますが、これについては、目録規則上は「博物資料」として扱うことになっているかと思います。

「絵図」をひっくり返した「図絵」という文言がタイトルに含まれている資料もあります。単純に字順を変えただけで「絵図」と置き換えたところで一向さしつかえない場合も多いですが、「図会(ずえ)」という文言の軽微な表記違いであるケースもよくあります。
「図会」とか「図彙(ずい)」とかというのは、内容を説明するのに挿絵を多く含んだ本のことを言い、「会」「彙」はともに「あつめる」という意味になります。『訓蒙圖彙』『和漢三才圖會』といった絵入り百科事典のことは以前に触れましたが、「訓蒙(きんもう)」というのは「童蒙(子ども)を訓(おし)えるもの」ということで、こうしたヴィジュアルを多めにしたものは、子ども向けの往来物などでしばしば目にします。
また、江戸後期には「名所図会」という一群の書物が多数作られました。これは挿絵をたくさん入れた、地名・名所・寺社などの沿革を説明した通俗地誌で、安永9年(1780)の秋里籬島(あきさと・りとう)著・竹原春朝斎(たけはら・しゅんちょうさい)画の『都名所圖會(みやこめいしょずえ)』6巻11冊の大ヒット以降、柳の下のドジョウを何匹もあてこんだ各書肆によって、全国各地の「〇〇名所図会」が続々と刊行されました。ことに天保7年(1836)刊の斎藤月岑(さいとう・げっしん)著・長谷川雪旦(はせがわ・せったん)画の『江戸名所圖會』7巻20冊は充実した内容で知られています。
このジャンルの本の特徴としては、サイズは大本のりっぱなものが多く、また「のど」の書名がしっかり記されていることがわりとよくあるといったことのほか、以前触れましたが、巻の目録と本文が一体化しているのがお約束のスタイルになっているといった点があげられるかと思います。

2023年12月15日

移動図書館車LiBOON(リブーン)

「老若男女すべての人が図書館を利用できる社会をつくりたい」という想いのもと提供を開始した、TRCの移動図書館車「LiBOON(リブーン)」。
先日本社に来ていたので見学してきました。


IMG_8049.jpg


専用ラッピングとして、ヨシタケシンスケ先生にデザインしていただきました。
ポップな黄色に素敵なイラストでとても可愛らしいです。
前方・後方・両側面には図書館名も入れられます。


IMG_8050.jpg


1台に500冊収納でき、雨除けカバーやスピーカーもついています。そのほかロック機能付きのストッパーや頭上注意マーカーなど、図書館側も利用者側も安心・安全・便利に使っていただけるような工夫が随所になされています。

軽自動車なので従来の大型車よりも小回りが利き、市民の皆さんにより近い場所まで本を届けることができるLiBOON。
これからも活躍の場がどんどん増えていきますように。

2023年12月14日

どこへでも行ける

12月の雑記のテーマは「ドラえもんの道具でほしいもの」。
私は「どこでもドア」です。

パッと目を引くピンク色のドアに、コロンと丸い形をしたドアノブ。見た目も可愛いこのドアの前で、行き先を思い浮かべてドアを開くとその場所にすぐ行くことができるなんて、最強の道具ではないでしょうか。
学校に遅刻しそうな朝、現実逃避でどこか遠くへふらりと行きたくなった日、旅先からの帰り道、疲れてヘトヘトなのに電車が混雑していた時など、今ここに「どこでもドア」があったらなぁと何度思ったことでしょう。

たくさんの道具を持っているドラえもん。どこでも移動できる道具は、ドアだけではありません。窓から移動する「どこでも窓」、大砲でドーンと送ってくれる「どこでも大砲」、矢と的をつかって移動する「どこでも行ける矢」などバリエーションも豊富です。なかでも私が気になったのが、風船に行き先を書くと連れて行ってくれる「どこでも風船」。出かけるのがおっくうな日も、風船でふわふわ漂いながら移動するのなら楽しそう。軽い気持ちで出かけられそうです。

2023年12月13日

きょうのデータ部☆(12/13)

寒いのはあまり好きではないですが
「西高東低」「冬型気圧配置」は好きです。

1213.jpg

雲一つない!

「冬型気圧配置」
...って、改めて漢字で書くと何かの機械みたいですね。

2023年12月11日

和漢古書あれこれ ― 番付

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

以前、「一枚物」「畳物」の資料について書きました。これらには表や系図など文字が主体のものもあり、そうした中でもことに「番付」は非常に日本的な資料と言えます。もちろん、今でもおなじみの相撲番付がベースであるわけですが、温泉や名所、諸国名産や料理、学者から花魁(おいらん)まで、ありとあらゆるものを、誰が大関だ何が前頭筆頭だとランク付けした一枚物が結構な量で残されています。現在でもテレビや雑誌で何かと言うとしょっちゅうランキング企画をやっていますが、これはもう江戸時代以来、日本人のDNAに深く刷り込まれているもののようです。

役者のランキングも数多くありますが、「芝居番付」というのはそうしたいわゆる「見立番付」とは別の性格のもので、配役やプログラムなどを記したちらしや小冊子のことです。歌舞伎の興行に際してはそうした「番付」がいろいろ発行されており、「顔見世番付」「辻番付」「役割番付」「絵本番付」といった具合に分類されますが、それらは上演史などの研究に不可欠なものになっています。
最後の「絵本番付」は、各幕の主要場面を絵で表した十丁ほどの中本(ちゅうほん)の小冊子で、「狂言絵尽」とか「芝居絵本」とか呼ばれたりもします。そもそもとしては草双紙類の一種として登場したものですが、筋の流れを示すものではなく、各幕の見せ場を配役つきで並べたもので、その意味において「絵による番付」と位置づけられる、ということになります。
芝居番付は、江戸と上方とでは形状・内容がそれぞれすこし異なり、上方の「絵本番付」は、もっぱら「絵尽し(えずくし)」と呼ぶ慣習になっています。ただ、「絵尽し」というと、菱川師宣(ひしかわ・もろのぶ)の『美人絵尽し』など、一定の主題による絵本類の呼称だったりもするので、注意が必要です。

芝居番付については、作者が判明することはほぼありませんが、絵本番付の画者があった場合は記録しておくべきでしょう。なお、番付は作品そのものではないので、記載されている狂言作者は、ほんらいは著者として記録しないほうが論理的には正しいでしょうが、検索の便を考えてそのように記録するというのもアリかとは思います。主要な役者や浄瑠璃の太夫なども同様に記録しておいてもよいかもしれません。
役割番付(紋番付)や絵本番付では、表紙や巻末に座元や版元、公演年月日が記されており、それらの情報は出版事項や注記に記録します。もっとも、何座ということは座紋(マーク)で示されていることもよくあります。また、古めのものは公演年月日が明記されていないことも多いですので、伊原敏郎著『歌舞伎年表』といった資料で確認して補記しておいたほうがよいでしょう。立命館大学アートリサーチセンターのデータベースも非常に内容が充実していますが、専門に特化した作りですので、慣れていない者からするとちょっと使いにくいかもしれません。
なお、これらの芝居番付は後人が合綴した冊子のかたちで残されていることもしばしばありますが、そうなると何十もの内容著作についてそれぞれの情報を記録しなければならなくなり、結構たいへんなことになったりします。。。

人形浄瑠璃でも歌舞伎に準じたかたちのものが作られましたが、歌舞伎のようにスター役者の姿かたちを観客に見せる必要もないためか、「顔見世番付」といったものはなく、大半は文字だけの「役割番付」です。丸本の見返しや巻末に「役人替名」とか「役割付」とかが付されている版本もよく見ます。なお、能・狂言においては、配役を記したものは「番付」ではなく「番組」と称されるということです。

2023年12月12日

大地の芸術祭

本日は「週刊新刊全点案内」2336号の発行日です。
掲載件数は1234件でした。


*こんな本がありました*

「越後妻有里山美術紀行」

北川フラム(著)
現代企画室(2023.11)


新潟の妻有というところでアートフェス?をやっているようだ?
というのがこれまでのわたしのぼんやりした知識でした。

この本を手にして、25年の歩みを経て4年ごとに「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が開催されていることを知りました。
越後妻有は十日町市と津南町を総称した名称だそうです。1994年にスタートした広域まちづくり事業が出発点。施策事業の総合的な発信として、2000年に第1回「大地の芸術祭」を開催。以後4年ごとに開催されているそうです。(※新型コロナウイルスによる延期あり)

長い時間をかけて芸術祭を地方に根付かせることの大変さを想像してしまいますが、この本を見ていると、美術ムズカシイ、芸術ワカラナイと身構えることなく、アートは生活の延長線上、生活と共にあるもの、という感じがしてきました。
いつか行ってみたい大地の芸術祭です。

2023年12月 8日

西洋人も姓名の順~典拠のはなし~

これまでの入門企画でも事例をご紹介してきましたが、個人名典拠ファイルは日本人だけではなく、海外の著者などももちろん作成しています。
今回は欧米圏の人名(西洋人)に焦点を当ててみましょう。

漢字圏以外の人名は西洋人として扱い、ファイルを作成しています。
図書に「スティーヴン・キング著」とあっても、図書に表記された形のままでは統一形を作成しません。
統一形はアルファベットの綴りとカナヨミをセットで作成します。
また、西洋人の多くは「名姓」の順序で表記されているため「姓名」の順序に並び替えます。
すると、このような感じになります。

1201272-0000 King,Steven(キング,スティーヴン)
1201272-0001 スティーヴン・キング
(IDは実例ではありません)

統一形(0000)のもとに図書に表記された形を記述形(000△)としてまとめます。

西洋人はカタカナへの翻訳のされ方が時代や訳者によって異なる場合が多いので、さまざまな表記違いを統一形のもとにまとめていきます。こちらの記事(第4回)でご紹介した「異名同人をまとめる」という方式です。

シェイクスピアで検索してみると...。

1201282-0000 Shakespeare,William(シェークスピア,ウィリアム)
1201282-0001 ウイリアム・シェークスピア
1201282-0002 W.シェイクスピア
1201282-0003 沙翁
1201282-0004 西基斯比耶
1201282-0005 セーキスピーア
1201282-0006 ヰリアム・シヱークスピーア
(IDは実例ではありません)

もしも手元にある本に書かれている形が西基斯比耶だったら、ほかの本を探そうと同じ形で検索してみても手元の本以外はヒットしないかもしれません。
ですが、典拠ファイルがあれば、表記は違えど同じ著者として様々な表記の本をまとめて知ることができるのです。

ちなみに西洋人で記述形のバリエーションが多いファイルの筆頭に「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」の著者であるロバート・ルイス・スティーヴンソンが挙げられます。

よろしければ、こちらの典拠ファイルも検索してみてください。

2023年12月 7日

決められません

12月の雑記テーマは「ドラえもんの道具でほしいもの」です。

実はあまり「ドラえもん」に触れずに育ってきたため、これ、と思いつくものがありません。
そこで、家にあった本に頼ることにしました(買った覚えは全くないのですが長男が言うところでは私が買ったのだという、ちょっとしたいわくつきの本です)。

「ドラえもん最新ひみつ道具大事典」

藤子・F・不二雄(監修)
小学館(2008.9)

「はじめに」は藤子・F・不二雄先生の文章です。その中にこんなことが書いてありました。
・連載が始まって25年間ででてきたひみつ道具は1300個ほど 
・ひみつ道具には「レンタル」と「セル」の2種類があり、高価なものは安い使用料で貸してもらっている。3分の2くらいはレンタル品
・メーカーが新製品を発売する時に試供品をくれることがある 

レンタル品もあるのか...。未来では当たり前の道具、ということですかね。

さて、資料もあることですし(索引付き、しかも初出情報も完備)、この時点でも1300個はあるという中から選ぼうと思ったのですが、読み始めるとどれも面白くて、とても一つには絞れませんでした。
目についたものをご紹介して終わりにしたいと思います。

「具象化鏡」...光線銃っぽい見た目です。「時の流れ」とか「暗い人」といった比喩的な表現が具象化されるそう。いろいろ当ててみたい。
「原子おはじき」...電子顕微鏡をのぞきながら原子をぶつけておはじきができるもの。技量をみがけば化合物が作り放題だろうか...。いや、おはじきだからくっつきはしないのか。
「おかし牧草」...缶詰です。入っている牧草を食べさせるとお菓子を増やせるとのこと。お菓子の牧場。住みたい。

2023年12月 6日

きょうのデータ部☆(12/6)

私のお気に入り。

1206.jpg

いただきもののボールペン。
使ってみたら非常に私好みの書き味で、一気に一軍エースに。

最近ではシャープペンシルでも事足りるメモもこちらのボールペンで書くようになりました。

確認したところ、私が(好きすぎて)廃盤を恐れて何本か買い溜めしているシャープペンシルを作っているメーカーさんのお品でした。

2023年12月 5日

求む!相棒

本日は「週刊新刊全点案内」2335号の発行日です。
掲載件数は1090件でした。

今月の表紙はこちら。

p20231205.jpg

クリスマスということでポインセチアのイメージです。

真ん中蕾で、回りは葉(苞)!
日照時間を調節して花芽が付くと回りの葉(苞)が赤くなるのだそうです。
不思議・・・・!?
思いきり赤くなって、寒い冬のクリスマスには欠かせない存在です。
(Juri)

*こんな本がありました*
「こまいぬぼしゅうちゅう」

尾崎玄一郎(作・絵) 尾崎由紀奈(作・絵)

ひさかたチャイルド(2023.11)

タイトルを漢字にすると、「狛犬 募集中」。
とある神社でのこと。
喧嘩をして、相棒の「うんうん」に家出(?)をされてしまったこまいぬの「あーあ」。

「にひきでひとつ」のこまいぬだから、別の相棒を見つけるため募集をすることに。そこで出したのが「こまいぬぼしゅうちゅう」の看板でした。
しかし、やってくるのはこまいぬの条件に合わないものばかり。
やっと見つけた相棒候補の正体は、なんと...!?

表紙の2匹の迫力がすごいです。見返しにあるこまいぬのイラストコレクションも楽しい。
ダイナミックな絵本にわくわくさせられました。

年が明けて、近所の神社に初詣に行く機会があったら、こまいぬがちゃんと仲良く2匹そろっているか確認してこようと思います。

2023年12月 4日

楽しい時間の過ごし方...~新設件名のお知らせ2023年11月分~

明日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名のお知らせ」を掲載しています。
新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。

2023年11月に新設した件名は1件でした。「ボードゲーム」です。

ゲーマー揃いのうちの家族。いわゆるテレビゲームだけでなく、ボードゲームもよくやります。家族よりも友だちと過ごす時間の方が断然長くなっている中学生長男がいつまで付き合ってくれるのだろうとちょっと切ない気持ちになりながら、時間を見つけては家族で、そして友人家族と一緒に、ボードゲームに興じています。よくやるのは、世界三大ボードゲームと言われているもののうちの2つ、「カタン」と「ドミニオン」。「モノポリー」はトランクケースに収納して携帯できるものを持っていて、友人宅に持ち込んでやったりもしています。つい先日は、旅先に「スカル」を持って行ってやりました。

最近では図書館でもボードゲームのイベントが開催されていて、ボードゲームに親しむ機会も多くなっているみたいですね。

テレビゲームもいいけれど、やっぱりその場にみんなで集まって美味しいものをつまんだり(飲んだり)、おしゃべりをしながらボードゲームを楽しめる時間が大好きです。

2023年12月 1日

和漢古書あれこれ ― 印譜

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

夏に載せた記事で書道手本について見てきましたが、近いジャンルのものとして、蔵書印・落款印などの印影を収めた「印譜(いんぷ)」があります。漢籍の四部分類では、「子部・藝術類・篆刻之屬」に分類されます。「〇〇印譜」というほか、「〇〇印存」「〇〇印賞」とかいったタイトルのものもよくあります。

印譜は著名人のものですと、版を起こして二色刷りした刊行物である場合もありますが、篆刻を趣味とする個人が印影を自分で製本したものもよくあります。もとよりこうしたものは不特定多数を相手にした出版物ではありませんが、といって書写資料でもありませんので、出版事項には「製作地不明」「製作年不明」などと記すことになります。また、鈔刻事項としては「鈐本(けんぽん)」と注記します(「鈐」は押印の意)。
印譜においては「ハンコを彫った人」が作成者creatorとなりますので、「篆」とか「刀」とかいうのが役割表示になります。「刻」「鐫」「摹」といった語が用いられることもありますが、これらは「きざむ」ということで版木の彫刻者=出版者にも使われることがある文字ですので、混同しないよう注意しましょう。得てして本名でなく雅号が記されていることが多いですので、できるだけきちんと正体を調べなければなりません。もちろん、多数の人の印影を集めたものといったものの場合は、編者・輯者がいることもあります。
形態としては、刊行物の場合はふつうの冊子体のものもありますが、個人製作のものはやはり折本(両面折帖仕立のものを含む)のものが多いようです。いずれにしろ趣味全開のものですので、特別にあつらえたかなり凝った用箋を用いている場合などもあります。

ちなみに、蔵書印については以前、国文学研究資料館の「蔵書印データベース」を紹介しましたが、その後2020年3月には「篆字部首検索システム(正式版)」が公開されました。2023年3月には、これらは人文情報学研究所の「蔵書印ツールコレクション」に引き継がれています。この「蔵書印ツールコレクション」のメインコンテンツは、画像から篆字を検索できるという「篆字画像検索(AI篆字認識)」で、奈良文化財研究所・東京大学史料編纂所の「木簡・くずし字解読システム」(2017年~)において崩し字で実現されていたのと同様に、一文字単位での篆書の解読ができます。現段階では、朱文(陽刻)一文字分にしか対応していないなど、まだふじゅうぶんなところもありますが、そういったあたりはきっとすぐ改善されていくことでしょう。願わくば、精度のよい篆書版の手書きパッドなどもネット上で整備されていくと、とてもありがたいですね。

和漢古書において、公開者publisherが「出版者」でも「書写者」でもなく「製作者」になるものとしては、この印譜や拓本のほか、御朱印帖の類などがあります。現代でもちょっとしたブームになっていますが、寺社の参詣は江戸時代の庶民の娯楽として広く行われたいうことはしばしば見聞きするところで、集印帳や納経帳といったものが図書館の蔵書に紛れ込んでいることが時たまあります。現代のものは折本(画帖仕立)のものが多いようですが、江戸時代のものは基本的に冊子の帳面であるようです。朱印が捺されたり墨書が記されたりしているほか、御札(おふだ)などを貼り込んでいる場合もあります。
各種切り抜きを貼り込んだものとしては、商品の見本帖の類などもあります。古書整理の現場でそんなにしょっちゅう出くわすものでもありませんが、文様や図案のサンプルとして型紙や布地などを貼り込んだ帳面や冊子などを目にすると、当時の豊かな文化的・経済的活動の一端をうかがい知ることができるように感じられます。

2024年7月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

アーカイブ

全てのエントリーの一覧

リンク