「MARC MANIAX典拠」第11回目です。
前回、前々回にひきつづき、
人名典拠ファイルの記述形についておおくりします。
突然ですが、
外国語の発音を日本語で表すのってむずかしいですよね。
たとえば、apple
発音記号は 〔ǽpl 〕 ですが、
カタカナで表すと、
「アップル」。
でも、これだと実際の発音とは違ってしまいます。
「アポー」がいいのか?
それとも、「アェッポー」だろうか?
同じ問題が、本の世界でもおきています。
A 「「罪と罰」っておもしろいよね。」
B 「ドストエフスキーの?」
A 「それをいうなら、ドストエーフスキーでしょ。」
C 「いや、正確には、ドストイェーフスキイ なんだな。」
D 「わたしが読んだ本は、ドストイヱフスキーだったけど...。」
この論争、永遠に続きます。
Dostoevskii という言葉を日本語のカナにしたらどれが正しいのか?
正解はありませんよね。
こんな風に、同じ人なのに、いろんな形で表記される西洋人の著者。
典拠ファイルでは、どんな形で記述されていても、それが同じ人物なら、
ひとつの統一形の元にまとめておきます。
(記述形の基本についてはこちらを参照→記述形その1)
さて、ここで実例を紹介。
先ほど出てきた、ドストエフスキーの典拠ファイルです↓
12000007709-0000 Dostoevskii,Fyodor Mikhailovich
ドストエフスキー,フョードル・ミハイロヴィチ
12000007709-0001 ドストイエフスキー
12000007709-0002 フョードル・ミハイロビィッチ・ドストエフスキー
12000007709-0003 フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
12000007709-0004 フョードル・ドストエフスキー
12000007709-0005 ダストエーフスキイ
12000007709-0006 ドストイェフスキー
12000007709-0007 ドストイェーフスキー
12000007709-0008 ドストエフスキイ
12000007709-0009 ドストエフスキー
12000007709-0010 ドストエーフスキイ
12000007709-0011 ドストエーフスキー
12000007709-0013 Ф.M.ドストエフスキー
12000007709-0014 ドストイェーフスキイ
12000007709-0015 ドストイェフスキイ
12000007709-0016 ドストィエーフスキイ
12000007709-0017 ドストイエフスキイ
12000007709-0018 ドストイヱフスキイ
12000007709-0019 Dostoefski
12000007709-0020 ドストイヱフスキー
12000007709-0021 ドストイエーフスキイ
12000007709-0022 ドストィエフスキイ
12000007709-0023 ドストエフスキ
12000007709-0024 ドストイヱーフスキー
12000007709-0025 ドストヱーフスキイ
12000007709-0026 F・ドストエフスキー
12000007709-0027 フィオドール・ドストエフスキー
12000007709-0029 ダスタエーフスキイ
12000007709-0030 F.M.ドストエフスキー
12000007709-0031 ドストェーフスキイ
同じ記述形ができているのでは...?!
と、典拠班のわたしでさえ心配になるほどのよく似た30個の記述形。
どこがどう違うのか(お時間のある方)確認してみてください。
伸ばしたり伸ばさなかったり、大きかったり小さかったり、
それぞれ微妙に違っています。
典拠ファイルの統一形と記述形は、親子みたいな関係です。
主張のはげしい子どもたちをやさしく包み込むお母さん。
実際に典拠班では、
「その子(記述形)は、こっちの親(統一形)にぶら下げた方がいいね。」
なんて言ったりします。
使いやすいデータベースにするには、
たくさんの子どもたちを野放しにしておくわけにはいきません。
しかるべき親元に集めておいてこそ、正しい検索ができるというもの。
どんな表記ででてきても、この子はここの家の子どもだね、
と正しく判断するべく、日々猛進する典拠班なのです。
ちなみに、いま現在、最も子だくさんなのはこの人↓
67の子(記述形)をお持ちです。
12000028494-0000 Stevenson,Robert Louis
スティーヴンソン,ロバート・ルイス